「お茶で血圧が下がるなら薬を飲む前に試してみようか」「健康食品でダイエットできるならそれがいちばん楽でしょう」「食生活が不規則だからビタミンやミネラルで補うしかない」などと、健康食品はすっかりわれわれの生活に浸透している。 しかし巷では機能性や安全性について何の保証もない健康食品が多く販売され、健康被害の大半はこれらの製品によって発生している。そんな状況において、どんな製品を購入するかを見極める力は不可欠である。 粗悪な健康食品の被害に遭わないための基礎知識をさまざまな事例を通してわかりやすく解説した著書『健康食品で死んではいけない』から抜粋・再編集して紹介する。 『ダイエット効果のある野菜が牙をむく…「アマメシバ」に含まれる化学物質がもたらす恐ろしい健康被害とは』より続く。 コンフリーにおける健康被害 アマメシバに含まれている少量の化学物質が健康食品として濃縮されてしまい健康被害が出たように、コンフリーにおいても同様のことが起きている。コンフリーはロシア・コーカサス地方原産の植物である。関節炎、潰瘍、あざや打ち身、傷などへの効果が知られた薬草で、若い葉は食用になっている。この地方の人々が長寿であることから、健康野菜として注目された。日本でも長寿に効果があると宣伝され、一時積極的に栽培し、てんぷらやお浸し、炒め物などに調理されていた。 しかし、米国において、コンフリー根の粉末をサプリメントとして常用していた49歳の女性に、肝細静脈閉塞を伴う門脈圧亢進が認められた。肝臓の検査で小葉中心性の壊死と鬱血が見られ、バッド・キアリ症候群タイプの静脈閉塞性疾患と診断された。ニュージーランドでは、23歳の男性が肝臓の門脈閉塞性疾患および門脈高血圧症を発症し、肝不全で死亡した。 日本では禁止されている コンフリー摂取中毒による患者の主症状は、急性または慢性の門脈圧亢進、肝肥大、腹痛で、ときに肝不全を発症して死にいたるケースもある。この原因物質はピロリジジンアルカロイドという物質であることが判明している。 厚労省は外国で重篤な肝障害事例が報告されていることから、日本では2004年に野菜としての販売を禁止し、食用の提供も禁止とした。ただ植物図鑑などを見るとよくわかるが、大変きれいな花を咲かせる植物なので園芸用としては売られている。 コンフリーの場合も、少量のピロリジジンアルカロイドの摂取では何も起こらなかったので全世界で食用植物として扱われていた、と考えられる。 【前回の記事を読む】ダイエット効果のある野菜が牙をむく…「アマメシバ」に含まれる化学物質がもたらす恐ろしい健康被害とは