与野党は１３日に告示された東京都議選に、国政選並みの態勢で臨む。 　結果が夏の参院選の行方を左右するとみているためで、都議選の初日から党首や党幹部らを投入し、９日間の熱戦をスタートさせた。（伊賀幸太、金山真梨） 　「物価高を乗り越えられなければ、経済はまたマイナスに戻ってしまう。総力を挙げて物価高対策をする」。自民党の木原誠二選挙対策委員長は１３日、東京都清瀬市で第一声に臨み、経済対策に最優先で取り組む姿勢を強調した。 　都議会自民会派では政治資金パーティー収入の不記載問題が発覚し、自民は批判の再燃を警戒しながら選挙戦を展開している。石破首相（自民総裁）はこの日、第一声に立つのを見送り、首相官邸で記者団に「全力を挙げて臨みたい」と意欲を語るにとどめた。 　自民は組織戦を展開して支持基盤を固めるのが基本戦略だが、今後は下落の兆しが見えてきたコメ価格など「都市部の有権者に効く実績」（自民幹部）を訴え、多数の無党派層にも浸透していきたい考えだ。 　都議選を重視する公明党は、「政治とカネ」の問題を受けて自民候補の推薦を見送った。自民とは距離を取りながら、候補２２人を全員当選させ、参院選へ弾みをつけることを狙う。斉藤代表は同日、調布市で記者団に「都議選は民意の方向を決める大きな一つの指標になる」と強調した。 　野党も支持拡大に注力している。立憲民主党は、自公と地域政党「都民ファーストの会」による「知事与党」の過半数割れを狙い、一部の選挙区で共産党と候補者をすみ分けた。この日、野田代表は中野区で「物価高が一番重要なテーマだ。都民の暮らしに根ざした政策を打ち出す」と訴えた。 　共産は政権批判票の取り込みを図る。田村委員長はＪＲ新宿駅前での演説で、「裏金事件に無反省の自民、それをかばう公明、都民ファーストに厳しい審判を」と呼びかけた。 　一方、大阪が拠点の日本維新の会は、議席を積み増して、「全国政党化」への足がかりにしたい考えだ。前原誠司共同代表はＪＲ蒲田駅前で「大事なことは社会保険料を下げ、減税することだ」と訴えた。 　都議会で初の議席獲得を狙う国民民主党の玉木代表はこの日、都心から南に約３００キロ・メートルの八丈島（八丈町）で、「より大きな存在感を発揮できる政治集団になる」などと第一声を上げた。相次ぐ不祥事などで失速気味との指摘もあるだけに、都議選を通じて流れを変えたい考えだ。