【エルサレム＝福島利之、テヘラン＝吉形祐司】イスラエル軍は１３日未明、イランの核施設と軍事施設を標的に戦闘機で数十か所を空爆したと発表した。 　イラン国営テレビは、首都テヘランで攻撃によるとみられる煙が立ち上る映像を流した。昨年４月以降、イスラエルのイラン攻撃は３度目。イランはこれまで、攻撃があれば反撃すると予告しており、中東の２大軍事大国間の武力衝突に発展する恐れがある。 　イラン国営テレビによると、首都テヘランのほか、ウラン濃縮施設のある中部ナタンツ、アラク重水炉のある西部ホンダブのほか、西部ロレスタン州も攻撃を受けた。イランのタスニム通信は精鋭軍事組織「革命防衛隊」のホセイン・サラミ司令官が殺害されたと報じた。同テレビはテヘラン東部の革命防衛隊本部前で、建物から煙が出ていると報じた。 　攻撃された地点に近いテヘランの住民は本紙の電話取材に対し、「大きな音と建物の振動で目が覚めた。対空ミサイルのような発射音が聞こえた」と語った。読売新聞の支局がある北部付近では爆撃音は聞こえておらず、攻撃の正確な場所は不明だ。 　イスラエル政府はイランによる報復が予想されるとして、国民に警戒を呼びかけた。ベンヤミン・ネタニヤフ首相は１３日のビデオ声明で「作戦は、我々の存在の脅威を退けるという任務が完了するまで必要な限り続くだろう」と述べた。イスラエルの治安当局者は記者団に対し、作戦は数日間に及び、イランの激しい反撃が予想されるとした。攻撃の目的について、「イランの政権転覆ではなく、軍事施設と核関連施設の無力化」としている。 　イスラエル全土では１３日午前３時過ぎ、イランの報復攻撃に備えて、警報サイレンが鳴り響いた。住民に対し、防空施設にとどまるよう指示が出ている。 　イスラエルは「核兵器開発でイスラエルを破壊しようとしている」として、イランを強く警戒してきた。昨年４月にはシリアの首都ダマスカスのイラン大使館関連の建物がイスラエル軍の空爆を受けた。イランがイスラエルをミサイルや無人機などで攻撃し、イスラエルが反撃した。昨年１０月にもイランがイスラエルを攻撃したのに対し、イスラエルがイランの防空施設などへの攻撃を行った。