今月22日に投開票となる東京都議会議員選挙と夏の参議院選挙が迫っています。日本テレビのニュース番組では、「投票前に考える それって本当?」と題して、選挙の際にあふれるさまざまな情報とどう向き合っていくべきか、シリーズでお伝えしています。 12日は、政治に関する動画などを配信している「政治系ユーチューバー」についてです。中には“再生回数目当て”に、情報の正しさが後回しになったと答えるユーチューバーもいました。 ◇ 先月、とある街頭演説を訪れると、あちこちにスマートフォンや望遠カメラを構える人たちがいました。演説や政党の会見などをSNS上で配信する「政治系ユーチューバー」です。 取材したのは…。 ──機材すごくないですか? 政治系ユーチューバー 「腕がないので機材に頼ろうという戦術。150万円くらいかけてる」 普段は、空調設備会社の社長をしている50代の男性。ある政治団体の主張に共感し、演説のライブ配信などをしています。活動頻度は週6日ほど、収益は月に約10万円といいますが…。 政治系ユーチューバー 「活動にかかる費用もそれ以上にかかってます。駐車場とガソリン代だけでもそれくらいいってます。(支持する団体の活動が)広がってくれればいいなって思いが強いです、圧倒的に」 配信の視聴者は2万人を超えることも。演説に来ることができない視聴者に感謝され、支持する党の活動が広がっていくことがやりがいだといいます。 ◇ 政治系ユーチューバーは、現場に足を運ぶ人ばかりではありません。 切り抜き系ユーチューバー 「切り抜きチャンネルを始めてからは、あっという間に次の月には(月収)10万円、20万円、30万円、40万円。どんどん伸びていって最高(月収)80万円くらい」 ネットで配信される政党の会見などを、切り抜いて投稿する「切り抜き系ユーチューバー」の男性。コメント欄の盛り上がりなどを参考に、注目の会見の中でも、さらに注目の部分を切り抜き10分ほどの動画にまとめます。 特定の政党の主張を広めるためではなく、視聴者に広く政治に関心を持ってもらうため活動しているという男性。 しかし一時期は再生数や収益を上げることに熱中するあまり、誇張した表現をしてしまった経験があるといいます。 切り抜き系ユーチューバー 「感情的になって怒ったかな?ってところを“マジギレ”とか“ガチギレ”とか。過激なワードを使っていかないと、再生数が保ちづらいということになっている。春くらいにこの傾向は嫌だなと思って、そういうことはやめた」 ──収益への影響は? 切り抜き系ユーチューバー 「3分の1(に減少)ですね」 過激な表現を使うほど、再生数や収益が上がりやすいと実感した男性。自身の経験から、こう警鐘を鳴らします。 切り抜き系ユーチューバー 「どんどん政治チャンネルが増えていって、後から入ってきた人はどんどん過激なワードになっていく。再生数を取るために都合のいい組み合わせ(編集)をするチャンネルも最近増えてきたので、ユーチューブをはじめ、SNSでバズったものを(簡単に)信用しないようになっていただきたい」 ◇ 藤井貴彦キャスター 「エブリンさんは、ユーチューブ参考にすることありますか?」 馬瓜エブリンさん(バスケットボール選手・『news zero』木曜パートナー) 「政治家本人でなく、第三者が解説を加えるような動画もありますが、できる限り本人が話しているものしか見ないですね。政治に興味を向けるという意味では、SNSを通じた情報発信は第三者が投稿するものもありだとは思っていて、受け手側がいろんなものを見てファクトを捉えていくということかなと思います」 藤井キャスター 「小栗さんは、こうした動きをどう見ていますか」 小栗泉・日本テレビ解説委員長 「有権者が情報を信じて実際に投票してしまうかもしれないのに、情報を誇張したり、正確ではない情報を発信したりする人は、怖くないのかなと率直に思います。正しくない情報発信を取り巻く環境は、これから変化していく気もするのですが、今は過渡期なんですかね」 藤井キャスター 「見る側が気をつけなければならない時代かもしれません」 (6月12日放送『news zero』より)