特別なエサでメタン削減“地球にやさしいウシ” 大自然の島タスマニアに日本の技術…桝が取材【バンキシャ!】

「地球にいいこと、人にいいこと。」を考える、日本テレビ系キャンペーン『Good For the Planet ウィーク』略してグップラ。先週に続き、舞台はオーストラリア最南端・タスマニア州です。地球温暖化を引き起こす原因の一つとしていま問題視されているのがウシのゲップ。それに立ち向かう日本人の研究者を「バンキシャ!」桝太一キャスターが取材しました。     ◇◇◇◇ 桝が取材したのは、オーストラリア最南端・タスマニア州。さまざまな生き物が生息し人口よりウシの数が多い、「畜産王国」としての顔も持つ。ところが、このウシたちが世界的な問題を生み出しているという。 牧場を家族で経営 モリーさん 「ウシが牧草を食べて消化するときに、メタンが発生してしまうんです」 メタンとは、地球温暖化の原因となる、温室効果ガスの一つ。ウシがゲップをすると、メタンが放出され、地球温暖化を加速させてしまうのだ。 この問題の解決に、日本人が生み出したある技術が期待されている。     ◇◇◇◇ タスマニア州にあるレストラン。運ばれてきたのは、厚さおよそ5センチのオーストラリア産牛肉のステーキだ。 桝キャスター 「では、いただきます!」「うまい、肉のうまみ濃厚です」 日本が輸入する牛肉で最も多いのがオーストラリア産だ。中でも桝キャスターが食べた、このステーキ。実は、特別なエサで育った“地球にやさしいウシ”だという。 では、その“特別なエサ”とは? 桝キャスターは、同様のエサを使った乳牛の牧場を訪れた。 桝キャスター 「一頭ずつ自分から入っていくんですね、搾乳のところに」 モリーさん 「中にエサがあるので、ウシが入っていくんです」 特別に近くで見せてもらった。すると… 桝キャスター 「エサに何か混ぜていますね。ウシがエサを食べる直前に液体をふりかけていますね」 エサにかけた茶色の液体。これで、ウシにある変化が起きるという。 モリーさん 「これは、カギケノリという海藻を混ぜた植物油です。ウシが出すメタンを減らすことができるんです」 ウシが食べた草などは、胃の中にいる微生物によって分解され、発酵する。その際にメタンが発生し、主にゲップと一緒に放出される。しかし、カギケノリという海藻を混ぜたエサを与えた場合、微生物の活動がおさえられ、最大で98%、メタンの発生が減るというのだ。 タスマニアでこの海藻の研究をしているのが、日本人だった。辰巳正幸さんは、およそ17年間、海藻一筋で研究を続けている。 カギケノリとは、どんなものなのか? 辰巳さんと一緒に、水深およそ2メートルの海に潜ってみた。 すると…。 桝キャスター 「あ〜これですか、これが先生が研究している海藻? とっても色鮮やかな海藻です」 ひときわ鮮やかな赤い海藻、これがカギケノリだ。タスマニアの海では、1年中いたるところで、生息しているという。辰巳さんが研究している施設を、日本メディアで初めて案内してもらった。 辰巳さん 「ここがカギケノリを養殖している場所です」 桝キャスター 「おお!なんだこれ、宇宙ステーションの中みたい!」 辰巳さん 「この水の中で浮遊しているのが、カギケノリです」 ここでは、水槽ごとに水の流れや光の強さを変え、カギケノリが効率的に育つ環境を研究している。 辰巳さん 「研究を始めたときは、3つからスタートしたんです」 これまで、ほとんど研究されてこなかったというカギケノリ。辰巳さんは研究を重ね、水槽8個分まで増やすことに成功した。そして、いまでは…屋外の養殖場で、日本で長年培われてきた海藻の養殖技術を使い、さらに増やすことに成功した。今後、さらに規模を拡大していくという。     ◇◇◇◇ ウシのゲップに含まれるメタンを大幅に減らすカギケノリをより多くのウシに食べてもらうため、辰巳さんたちは、あるものも開発していた。 桝キャスター 「おぉ、これはいったい?え?」 辰巳さん 「リックブロックって呼んでいるんですけど、ウシがなめるキャンディーみたいな感じです」 牧草などに、カギケノリの成分を混ぜ、ブロック状に固めたエサ。これをウシの前に置くと…。 桝キャスター 「あ、きたきた、本当に!なめてる!」 辰巳さん 「そうなんです、大好きなんです」 牧場に置いておくだけで、ウシが集まり、カギケノリを与えることができる。辰巳さんが勤める企業の代表は、開発した養殖技術をこう評価する。 シーフォレスト サム・エルソムさん 「辰巳さんのおかげで大規模な養殖ができるようになりました。この技術は、世界をリードするものです」 カギケノリを食べて、メタンをほとんど出さない“地球にやさしいウシ”。タスマニアの人々も、その価値を理解し始めている。町のスーパーには、カギケノリを食べて育ったウシの牛乳、「エコミルク」が並んでいた。 購入した人は—— エコミルクを購入 「環境にやさしい選択をしたいんです。豊かなタスマニアの自然がなくならないように…」 地球温暖化に立ち向かう、日本の技術。辰巳さんが見据えるのは—— 辰巳さん 「ノウハウを世界中でシェアして、将来的にはウシといえばカギケノリを食べているのが当たり前っていう世界ができれば」 (6月8日放送『真相報道バンキシャ!』より)

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