ファンの間では「クソデカネックレス」の愛称で親しまれ、発売しては即完売が続いている埼玉西武ライオンズの応援グッズ「ビッグチェーンネックレス」。巨大な金色の鎖に、これまた大きなライオンズの公式マスコットであるレオのチャームがついており、存在感は抜群。試合を重ねるごとにネックレスを身につける獅子党が増えており、レフトスタンドはもはやまばゆいほどだ。 いったいなぜ、ビッグチェーンネックレスは空前の大ヒットとなっているのか。誕生の理由、そして新作の予定まで、グッズの生みの親である事業部リーダー・中村作氏が明かしてくれた。 前編記事『埼玉西武ライオンズの「デカすぎるネックレス」が空前の大ヒット…!生みの親が明かした「開発秘話」』より続く。 ヒット商品を生み出すきっかけ 実は中村氏、界隈を大いにザワつかせた「チームロンゲ なりきりヘアーキャップ」の開発者でもある。次々にヒット商品を世に放つ中村氏とは、いったい何者なのか。 「今年で入社5年目になります。それ以前は長らくアパレル会社の企画職に就いていました。子どもの頃からずっとスポーツが好きで、プレーヤーとしてはバスケットボールをしていましたが、観るのも大好き。野球だったら断然パ・リーグ派です。ライオンズの試合に何度も応援に行っていたこともあって、いつかこの業界で働きたいなという思いがありました。ちょうどタイミングがあって転職し、現在に至ります。 入社以来、グッズの担当をしているのですが、『なりきりヘアーキャップ』は本当に思い出深い商品ですね。これは選手側からの依頼でスタートした企画だったのですが、かなり自由にやらせてもらえました。『こういうものが作れるんだ』と驚き、柔軟な発想を持つきっかけになりました」(中村氏、以下同) 「なりきりヘアーキャップ」にも中村氏のこだわりが随所に見られる。試作品を何度も作って髪の毛の質感や長さを確かめ、髪の毛部分を取り外し可能にして普段遣いできるように工夫した。この“思い切った”経験が、今回のビッグチェーンネックレス発案にも大いに活きている。 「このキャップと今回のネックレスは、忘れられないものになりました。野球の応援グッズというのは、常に先に販売したものを超えていかなければならない、常に新しいものを生み出していかなければならないと思っているので、プレッシャーがないといえば嘘になります。 野球はもちろんのことですが、自分がプレーしてきたバスケはもちろん、他にもサッカー等々、さまざまな業界のグッズを参考にして、いつもアンテナを張るようにしています」 度肝を抜かれた『しゃけまる』ぬいぐるみ そんなヒットメーカー・中村氏が「これはすごい」と感じた他球団のグッズはあるのだろうか。 「北海道日本ハムファイターズさんの『しゃけまる』ぬいぐるみには度肝を抜かれました。この時はコロナ禍で声出しの応援が制限されている頃で、声の代わりに叩けるものが応援グッズの主流でした。そんな中、本当にわけがわからないといいますか(笑)。これはすごいと思いましたね。ファイターズさんはこの後にもジンギスカン鍋型のタンバリン(『成吉思汗バリン』)だったり、スイングタオルであったり、毎回アップデートがあり素晴らしいと思います。 ジャイアンツさんの『パペットシリーズ』もすごい。今でこそこういうぬいぐるみなどと写真を撮ってSNSにアップする“推し活”は普通ですが、ブームになるよりずっと前から発売されている。尊敬の一言です。 最近ビックリしたのは、広島東洋カープさんの『タイパンツ』。どういうこと!? とめちゃくちゃ戸惑いましたね。私も寝間着でタイパンツを持っていますが、それをグッズにする発想がなかった。まだまだ全然頑張らなきゃいけないなと思いを新たにさせられました。 私生活、日常生活のどこにヒントが転がっているかわからないですね」 選手モチーフのグッズは、たしかに売れるかもしれない。ただ、試合結果や順位、その選手の調子など、さまざまな事情によって販売数が減ってしまう可能性がある。だからこそ「こういった選手に頼りすぎない着想のグッズが大事になってくる」と中村氏は言う。ビッグチェーンネックレスが人気になった理由のひとつも、そこにあるのかもしれない。 5月18日に発売された「べるーにゃVer.」のビッグチェーンネックレスも即完売。レオ、ベルーにゃときて、ファンとしては「ライナVer.」の登場を待ちかねているだろうが、はたして今後発売されることはあるのだろうか。そんな質問をぶつけてみると、中村氏は急に無言になった。 「ファンの皆さまよりさまざまのバージョンのビックチェーンネックレスのご期待はいただいていますので…あらゆるものを検討しています。ちなみに今後の新商品でいいますと、交流戦の対ジャイアンツ戦に向けて、炭谷銀仁耦選手が中心となった『炭谷カンパニー』グッズの新展開を考えています。ありがたいことに、ジャイアンツさんにも全面協力をいただきました。ぜひ交流戦でチェックしてください!」 ベルーナドームのレフトスタンドは、交流戦でもさらに金の輝きがジャラジャラと音を立てて増していくことだろう。 この先、中村氏はどんなユニークな新作グッズを生み出してくれるのだろうか。期待は高まるばかりだ。 (取材・文/井上華織) ・・・・・・ 【こちらも読む】『あまりに不運だった西武・松井稼頭央「王道キャリア」での監督就任だったはずが…スーパースターの「悲しき去り際」』 【こちらも読む】あまりに不運だった西武・松井稼頭央「王道キャリア」での監督就任だったはずが…スーパースターの「悲しき去り際」