批判殺到…!日本相撲協会vs.元横綱白鵬「根深い対立」と「確執の深層」

現役時代からあった「根深い対立」 元横綱白鵬の宮城野親方が6月9日付で日本相撲協会を退職することが、6月2日に決定した。 史上最多の45回の幕内優勝を誇り、一般知名度の高い宮城野親方の退職は相撲協会にとっても大きな痛手だ。若貴ブームの頃とは違い、今は現役横綱であっても一般的にはそれほど知られていないのが実情だが、白鵬を知らない人は少ない。 「相撲の普及」という未来に向けての課題を考えると、宮城野親方は世間と大相撲を繋ぐ数少ない存在だったと言えることから、本来であれば相撲協会に残ってほしかったことは間違いないだろう。 そして相撲の将来についてもう一つ心配なのは、宮城野親方への対応を巡って相撲協会への批判が絶えないことである。 批判の内容については大きく分けて二つある。一連の不祥事を受けての宮城野部屋閉鎖の妥当性と、宮城野部屋再興に向けた相撲協会の対応だ。 メディアや世論を見る限りでは宮城野親方への同情、相撲協会の対応の悪さを指摘する声が多い。元大関栃ノ心がXで動画をアップし、協会を批判したこともそうした動きを加速させているように感じる。 現役時代から根深い対立があった両者ではあるが、現役時代から言動について不適切な部分があると相撲協会から指導が入り、これを受けて賛否両論はあった。白鵬に同情的な見方もあれば、そもそも白鵬が悪いという見解を示す人もいた。 当時の見解は人によって異なっている部分が強く、ある種健全と言える状況だったと言えると思う。ただ、今の論調は当時とは変わってきている。 はたして相撲協会の対応は批判されるものなのだろうか。 まずは宮城野部屋閉鎖について見てみよう。 部屋の閉鎖は本当に「厳しかった」のか 宮城野部屋の閉鎖については厳しいという指摘もあるが、北青鵬の長期にわたる悪質な暴行に加えて状況を把握していながら報告を怠ったこと、さらには協会の調査妨害があったことを重く見ての決定である。 これについては部屋を存続させるという選択肢は考えにくい。というのも、宮城野親方はこのことからも部屋を預かる能力があるとは言いがたく、仮に部屋を再興させるとしても指導が必要なのは間違いないからだ。 別の親方に宮城野部屋を管理させ、宮城野親方は指導を受けるという選択肢もあったのだが、それよりは部屋を閉鎖させて弟子と共に移籍したほうが効果的だと判断したのだろう。少なくとも誰も介入することなく宮城野部屋を当時のまま存続させるという選択肢は無かった。 私はこのニュースを聞いた時に思ったのは、「宮城野親方が解雇されるのではないか?」ということだった。そのため、処分はむしろ軽いと感じたほどだ。 通報義務違反と調査妨害の“重大性” あまり良い例えではないが、仮にこれが一般企業だとしたら、解雇・退職しか選択肢はなかっただろう。部下の不祥事だけならまだしも、通報義務違反と調査妨害をする人を組織に置くのは難しいからだ。 宮城野部屋の閉鎖、再興に向けて指導を受けるという処分に留まったというのは、これまでの実績と、他ならぬ宮城野親方だったからこその裁定だったと思う。 この指摘をすると、他の部屋も不祥事を起こしており、その時の処分は非常に軽いものだと批判する方もいる。確かに同じ時期に未成年飲酒が発覚した部屋もあったが、通報義務違反と調査妨害を伴っていたのは宮城野部屋だけだ。 相撲協会が身内に甘いのは間違いない。かつてそうした批判をたびたび受けてきたのだが、組織に反する対応に厳しい処分を下す傾向にある。新型コロナウイルス感染対策ガイドライン違反をした朝乃山に6場所出場停止処分を下したのも、虚偽の報告をしたことが原因だったと言われているが、宮城野親方への処分が重かったのも同じ理由だろう。 そして、宮城野部屋再興に向けての相撲協会の対応について見てみよう。 報道によると、退職理由として「再興に向けて具体的な期限が提示されなかった」ということと「対立が噂されている照ノ富士親方が伊勢ケ浜部屋を継承し、その下に付くことが耐えがたかった」と言われている。 これらが正しいかは諸説ある。 反故にされた誓約書の存在 ただ、いつ再興するかを具体的に提示されなかったことは批判されることではないように思う。というのも、大事なのはあくまでも相撲協会として、宮城野親方を“部屋の運営に相応しい人物”として認めることだ。 時期を定めれば頑張れるという面もあるし、指導を受ける側としてはそのほうがもちろんいいのだが、これは決して時期を定めて行うことではない。一定期間の務めを果たせば戻ってこられるという類の話ではないのだ。 相撲協会として再興に慎重にならざるを得ないのは、宮城野親方の一連の不祥事を巡る対応に大きな問題があったこともさることながら、親方に就任するに際して相撲協会の意向に従うということで書いた誓約書の存在もある。 誓約書を書いたにもかかわらず数年でこの騒動が起きてしまったとなると、適切に行動してもらうために指導はもちろん、その資質についてもかなり注意深く見定めていかなければならない。 宮城野親方の不祥事は、相撲協会の不祥事でもある。他の競技と異なり、相撲に関わる者が何かを起こすとどうしても相撲全体が悪く見られてしまう傾向にあるうえ、組織としての責任問題にも波及する。 宮城野親方視点で見れば耐えがたいことかもしれないが、相撲協会のリスク管理の視点で考えると再興の期限は設けられないし、長期間を要するのも致し方ないところだ。 なお、過去に木瀬部屋が閉鎖になった時は再興までおよそ2年掛かっている。これは起こした問題が宮城野部屋の時とは異なるので比較はできないものではある。ただ当時と比べてもコンプライアンス委員会もあり、暴力や不祥事に厳しい体制で臨んでいる中で1年での再興というのは厳しいものがあったのではないかと思う。 組織を統べる側の視点 問題があるとすると、宮城野親方と相撲協会の間でゴールとプロセスが共有されていなかったことではないだろうか。仮に再興までに何をすれば良いのかがクリアであれば、ここまで再興の時期が退職のキーワードとして報じられることはなかったのではないかと思う。 振り返ると改善点もあるが、厳しい処分と時間をかけての再興プロセスについて、世間で言われているほど批判されるものではないというのが、個人的な意見だ。 たとえば同じことを別の親方が行ったとして、はたして相撲協会はここまで批判されるだろうか。 これほどまでに話が大きくなっているのは、ひとえに渦中の人が宮城野親方だったからだ。現役時代の実績、白鵬杯をはじめとした相撲普及への貢献、そして現役時代から続く相撲協会との対立といった部分が、宮城野親方への同情的な見解に繋がっているのではないかと思う。 今回の問題について宮城野親方は差別されていると主張する方もいるが、むしろ逆で、宮城野親方でなければここまで議論されることはなかった。不祥事の内容を考えると、本来同情的にはなりにくいものだからだ。 ただ、相撲協会としては処分と再興プロセスまでディスカウントする訳にはいかない。それは組織を統べるという視点から当たり前のことで、同情的なファンとの間に軋轢が生まれたということなのだろう。 相撲協会は本当に「冷たかった」のか 相撲界の恩人に対して冷たい、失うことへの怒りの感情を抱く気持ちは理解できる。そして、そのような見方を影響力のある有名人や相撲関係者が示したことに共感を抱くことも自然なことなのだが、ここまでの対応については冷静に見てほしい。 今回のことは果たして何が悪かったのか。 どうすればよかったのか。 相撲協会は次の恩人を失ってはならないからこそ、正しく振り返る必要があるのだ。 【さらに読む】『これはひどい…大相撲「結びの一番」で“とんでもないヤジ”が!いま大幅に低下している「相撲ファンの質」』 【さらに読む】これはひどい…大相撲「結びの一番」で“とんでもないヤジ”が!いま大幅に低下している「相撲ファンの質」

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