白鵬退職で高笑い!照ノ富士親方の「ひとり勝ち」と伊勢ヶ濱親方の禁じ手「借株再雇用」

「辞めたいなら辞めれば」と言い放った理由 「白鵬の電撃退職劇からは角界が抱える問題や矛盾が透けて見えます」 こう指摘するのは、相撲担当記者だ。 日本相撲協会は6月2日に臨時理事会を開催し、元横綱白鵬の宮城野親方(40歳)が提出した退職届を受理した。同時に、照ノ富士親方が年寄名跡「伊勢ヶ濱」を継ぎ、伊勢ヶ濱部屋の師匠になること、伊勢ヶ濱部屋が旧宮城野部屋の力士らを継続して預かること、白鵬が襲名していた年寄名跡「宮城野」を伊勢ヶ濱親方(元横綱旭富士)が継承襲名することを明らかにした。 相撲協会が報道陣に配ったプレスリリースには以下のような内容が記されていた。 〈八角理事長(元横綱北勝海)が浅香山親方(元大関魁皇)に「今後は浅香山部屋で(旧宮城野部屋の弟子を)預かること、準備期間も踏まえ、預かりの解除を11月場所後とすることを検討するように」と指示した〉 この内容について、前出の記者はこう首をかしげる。 「初めて聞く話であり、記者から『白鵬を退職に追いやった批判をかわすために後付けしたのではないか。白鵬はこの内容を知っているのだろうか』との声が出ました。しかし、一番の驚きは、伊勢ヶ濱親方が『宮城野』を襲名し、参与として協会に残ることが決まったというものでした」 角界では白鵬の退職が話題になる一方、「宮城野」の行方に注目が集まっていた。 「白鵬は以前から弟子の炎鵬のために名跡を探していました。当然、『宮城野』を譲るのであれば、炎鵬だとみられていました。『宮城野』は伝統ある名跡であり、代々宮城野部屋の関係者が継承してきました。同じ一門とはいえ、他の部屋の親方が引き継ぐのは前代未聞であり、複雑な思いです」(旧宮城野部屋の関係者) 伊勢ヶ濱親方は7月6日で65歳定年となり、照ノ富士が名跡と部屋を継承するのは既定路線だったが、すんなりとは決まらなかった。相撲担当記者は言う。 「伊勢ヶ濱親方は定年延長をすれば、参与として70歳まで協会に残ることができ、年間1000万円ともいわれる給与をもらえます。そのため、伊勢ヶ濱親方としては『伊勢ヶ濱』の名跡を無条件で照ノ富士に譲ることに難色を示していたと言われています。照ノ富士が名跡を継ぐためには、伊勢ヶ濱親方の定年延長分の給与の補償をする必要がありましたが、条件をめぐって折り合いがつかなかった。 しかし、白鵬が退職したことで、照ノ富士はその義務から解放されました。さらに伯桜鵬や草野ら将来有望な白鵬の弟子を棚ぼたのような形で手中にしました。白鵬に対して『貯めたいなら辞めれば』という態度だった照ノ富士は高笑いしていますよ」 不可解な「宮城野」継承劇 もちろん、伊勢ヶ濱親方も白鵬の退職で「得」をした。 「白鵬が退職しなかった場合、伊勢ヶ濱親方が弟子の宝富士が所有する年寄名跡『桐山』を借りて協会に残るという話もありました。しかし協会に『借株はダメだ』と却下されてしまった。一時は定年退職するという見方もありましたが、最近になって残るという話が出ており、『宮城野』を狙っていると噂されていました。 『宮城野』を継承と伝えられていますが、おそらく借株であり、実質的な所有者は白鵬のままでしょう」(同前) 白鵬が名跡を貸した背景には、何かしらの密約があったとみられている。 「旧宮城野部屋の間垣親方(元幕内石浦)が将来的に弟子を連れて独立すること、炎鵬が引退したら名跡を渡すことなどが考えられます。 じつは、白鵬は名跡の譲渡をめぐり、痛い思いをしています。白鵬は脊髄損傷という大怪我から復帰して現役を続けている炎鵬のために年寄株を探しており、ある年寄株を取得する目途が立ち、手付金も払いました。ところが、横取りされてしまったのです。これは海千山千のベテラン親方にしてやられた形でした。したたかな伊勢ヶ濱親方に約束を反故されなければいいのですが」(旧宮城野部屋の関係者) 伊勢ヶ濱親方の「宮城野」継承に対し、若手親方や引退が見えてきた現役力士からは「借株での再雇用はあり得ない」との声が出ているという。 若手の未来を奪う「再雇用制度」 「本来、金銭による売買も借株も禁止されていますが、実態を見ると、借株で協会に残っている親方は少なくない。ただし、借株で再雇用が認められたケースはなく、前代未聞です。 現役引退後、親方として協会に残るためには105ある年寄名跡のいずれかを取得する必要がありますが、2014年に再雇用制度が導入された結果、年寄名跡の循環が悪くなり、現役時代に実績を残した力士が協会を去らざるを得ないというケースが続いています。 借株での再雇用という手法が許されるのであれば、名跡がますます現役力士に回ってこなくなる。若手親方や現役力士から不満が出るのは当然です。 協会の対応も不可解です。協会は『桐山』のときには却下したにもかかわらず、なぜ今回は認めたのか。『白鵬を追い出した論功行賞ではないか』との声も漏れ伝わってきます」(相撲担当記者) もとより再雇用をめぐっては、若手親方や引退が見えてきた現役力士から「雇用延長するのであれば、名跡を持ったまま残るのではなく、しこ名で残ってほしい。それによって問題が解決する」と制度の改正を訴える声が出ていたという。 「年寄名跡を保持したまま協会に残る再雇用によって、仕事が限られる65歳以上の親方が増えている一方、将来を担うはずだった大事な人材が流出しており、現場の若手親方は仕事を兼任するなど疲弊しています。しかし、再雇用制度について議論する雰囲気はありません。苦しむ若手とは対照的に、重鎮たちは既得権益を守っています。まさに協会の体質がにじみ出ています」(同前) 白鵬問題から垣間見えるのは、国技を蝕む根深い「闇」なのかもしれない。 【こちらも読む】『「あの人の下では無理」「師匠と呼びたくない」…退職報道の宮城野親方が抱える「照ノ富士との確執」』 【こちらも読む】「あの人の下では無理」「師匠と呼びたくない」…退職報道の宮城野親方が抱える「照ノ富士との確執」

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