戦後８０年にあたり沖縄県を訪問した天皇、皇后両陛下と長女愛子さまは５日、太平洋戦争中に米潜水艦の魚雷で沈没した学童疎開船・対馬丸の生存者や遺族らと懇談された。 対馬丸記念館を後にしたご一家は、火災で焼失し、琉球王国時代の姿を目指して「令和の復元」が進む首里城正殿（那覇市）を初めて視察された。 沖縄の「かりゆしウェア」やワンピース姿で訪問されたご一家。仮設の見学エリアで、現場の総責任者を務める清水建設の川上広行・工事長（６４）が赤瓦屋根を前に進捗（しんちょく）を説明した。愛子さまは「外壁の塗装はいつ頃終わるんでしょう」と熱心に質問されたという。 総棟梁（とうりょう）や若手大工らにも声をかけられた。初の女性大工・後藤亜和（あや）さん（２２）は同年代の愛子さまや皇后さまから「どのようなきっかけでこの世界に入りましたか」「女性として大変なことはありますか」と尋ねられた。後藤さんは「仕事を理解しようとしてくださっているのが伝わり、感激した」と話した。皇后さまは「たくさんの方々が完成を楽しみにしています」とエールを送られた。 首里城は沖縄戦で壊滅した。本土復帰後、復元を求める世論が盛り上がり、延べ数百人の聞き取りや散逸資料の収集により１９９２年の「平成の復元」が実現した。だが、２０１９年の大火で焼け落ち、国の予算や寄付金で復元に着手。来秋の完成を目指している。２度の復元に携わる川上さんは「改めて責任をひしひしと感じた」と話した。
もっと
