デビュー5周年を迎え、冠番組のスタート、サブスク解禁とその勢いはとどまるところを知らないSixTONES。中でも京本大我は、個人としてドラマ、ミュージカルなどで存在感を発揮するほか、クリエイティブ・プロジェクト『ART-PUT』の始動やアルバムのリリースなど、ジャンルを問わない活躍を見せている。そんな彼が、6月6日公開の映画『見える子ちゃん』で、物語のキーパーソンを熱演。昨年30歳となり、新たなフェーズへと進んだ京本に、最新作への思いや30代を迎えての変化を聞いた。 【写真】京本大我、色気あふれる撮りおろしショット! ◆ホラー作品のキーパーソン挑戦に試行錯誤 本作は、泉朝樹による同名コミックを中村義洋監督が実写映画化したホラーコメディー。ある日突然、霊が“見える”ようになった女子高生みこ(原菜乃華)。ヤバすぎる霊たちに囲まれる毎日をまさかの「見えていないフリ」でやり過ごそうとするが、親友のハナ(久間田琳加)に霊が取り憑いたことから、親友を救うために選択を迫られる——。 京本が演じるのは、みこたちが通う高校に代理の担任として赴任してきた教師・遠野善。遠野は寡黙で優しく真面目そうな人物ながら、どこか異質な雰囲気が漂う謎めいたキャラクターだ。 ——本作出演オファーをお聞きになった時のお気持ちはいかがでしたか? 京本:僕自身ホラーをたくさん観てきたわけではなく、どちらかと言うと怖いのは苦手かも…というタイプなのですが、原作や台本を読ませていただいたところ、ホラーなのに楽しい!と思ったのが新鮮でした。 ——演じられた善はどんなキャラクターですか? 京本:登場のインパクトとは裏腹に、繊細な部分を抱えている役どころです。演じる上では大変な部分もありましたが、一筋縄ではいかないような魅力を届けられたらなと思いました。似ている部分ですか? …難しいですね。善ほどじゃないですけど、控えめなところは似てるんですかね。社交的じゃないところは近いかもしれないです。自分の中にあるそうした部分を膨らませて役作りしていったところはありますね。 善はやりようがいくらでもある役というか、解釈もそれぞれ持てる、演じ方によって変わるキャラクター。どれくらいのところまで暗く演じていいものなのかなど、役の打ち出し方の調整は監督とまめに相談させてもらいました。CGやホラーの要素も加わって、どこまでのトーンが正しかったのか分からなかった部分もあったので、仕上がりを見るまではソワソワしていましたが、もともとのお話の面白さを凌駕する魅力やクオリティーにしっかりなっていて感動しました。 ——普段、“男感”あふれるグループで活躍されている京本さんですが、女子生徒の多い撮影現場の印象は? 京本:先生役は何度か経験があるのですが、1人の生徒と向き合っていくような役だったので、クラス全体と向き合った時に、もう生徒役ではないという現実を突きつけられた感じがありました(笑)。皆さんとそこまでジェネレーションギャップはなく会話させていただいて、今流行っているものを教えてもらったり(笑)。皆さんしっかりされていて、役者さんとしても素敵な方たちで勉強になりましたね。 そもそも学校というものから10年くらい離れていますし、校舎という存在にも懐かしさを覚えました。みんなが制服でキャッキャしている姿を見ると、学生時代の感じそのままでまぶしかったです。撮影の空き時間も本当の休み時間みたいな空気になるんですけど、僕は先生なので若干薄い壁がある(笑)。マネージャーさんと「みんな若いね」と言いながら端のほうにいました。 ◆30歳になって「健康」への意識に変化 ——原菜乃華さん、なえなのさん、久間田琳加さんとの共演はいかがでしたか? 京本:原さんはみこにぴったりだなと思いました。原さん以外は考えられないくらいに“見える子ちゃん”だなと撮影中も思いましたし、完成した作品を観ても思いました。原さんはアニメがお好きなので、オススメのマンガを聞いたりしました。なえなのさんとはバラエティーでも共演させてもらったりと本作での共演後にもご縁があります。久間田さんとは心の距離が近い役だったのですが、撮影期間が短かったこともあって意外とお話できなかったかもしれないです。 僕が撮影に入った時には、すでに3人の関係性が本当の友達のような、打ち解けている感じがしたので、先生面するわけではないですけど(笑)安心感というか、素敵な撮影をされているんだろうなと感じました。 ——みこは突然霊が見えるようになりますが、京本さんご自身に霊感は……? 京本:ちっちゃいころは霊感があったみたいです。壁に向かってよくしゃべっていたようで、「何をしゃべってたんだろう?」と思って聞いたら、僕が生まれた時には亡くなっていた父方のおじいちゃんのことを、3〜4歳の僕が壁に向かってしゃべっていたみたいです。全然怖い感じはなかったので、守護霊だったのかもしれないですね。あとは心霊スポットの映像を見るとめっちゃ肩が重くなるので見ないようにしています。 そもそも僕は日々生きていてツイてないことが多いんです(笑)。自分の中で運の悪さが目立つんですよ。自分だけ何かもらえないことがあったり、リーダーを決めるじゃんけんで1回も勝ったことがなかったり。責任転嫁したくなるくらい、ちょっと弱い部分があるんですよね。 グループで霊感のあるメンバーですか? 聞いたことないなぁ。でもYouTubeの遊園地ロケなどでもおばけ屋敷に率先して行く人もいないので、きっといないんじゃないのかな。 ——劇中では高校の文化祭の出来事も描かれますが、ご自身の文化祭の思い出は何かありますか? 京本:文化祭は大好きでしたね、準備はサボっちゃうタイプでしたけど(笑)。一大イベントで毎年楽しみにしていた記憶があります。僕のクラスではベーグルを出してたのかな? そのへんは曖昧ですが、いろいろな場所を回っていました。でも、根っから明るいタイプではなかったので、自分なりに背伸びして楽しもうとしてましたね(笑)。 ——昨年30歳を迎えられましたが、何か変化はありますか? 京本:30という節目を迎えたことで自分の変化を大きく感じていますし、衰えも感じています。ライブの次の日に体力が回復してないのがショックでしたね。しゃがむ振りで尻もちをつきかけた時には自分の足腰の弱さにめちゃめちゃ落ち込みました。人間ドッグにも行ったんですけど、自分を労わり始める時期になりました(笑)。 お仕事の面では方向性は大きく変わっていないです。自分の中で意識しているのは20代はとにかく挑戦していく。自分に何が合うのかもわからないから、いただいたことを大事にやっていこうと。30代はアート活動も始めたりしたので、量も大事ですけど質もより大事にお届けする責任というか、そういうことを意識しています。 プライベートではなるべく健康にしていたいなと思うので、休みの日もちょっとでも出かける予定を作ってみたりしていますね。アートに関心があるので、いろんな展示を調べてカメラで風景を撮りながら美術館に向かったり。1時間くらい観て帰るというのをやっていると「健康的だなあ」「心に余裕があるからできるんだろうな」と思ったりしています。仕事でもプライベートでも健康的にいろいろなことをやっていけたらなと考えています。 (取材・文:佐藤鷹飛 写真:高野広美) 映画『見える子ちゃん』は、6月6日公開。