6月1日、刑罰などを定める改正刑法が施行され、刑務所などの刑事施設で行われてきた「懲役刑」と「禁錮刑」が廃止され、新たに「拘禁刑」が導入されます。 日本の刑罰が変わるのは、刑法が制定された1907年（明治40年）以来、118年ぶり。全国の刑務所などでは、受刑者への対応が大きく変わります。 ■118年ぶりに日本の刑が変わる 日本では約118年間、刑務作業を行う「懲役刑」と作業を強制せずに刑事施設に拘置する「禁錮刑」の2つがありましたが、これらの刑罰が一元化され、「拘禁刑」が導入されます。 「拘禁刑」は、6月1日以降に起きた事件や事故の裁判で有罪となった被告を対象に言い渡されることになります。 なぜ、刑罰が変わるのか。「拘禁刑」の大きな目的は、受刑者の改善更生。つまり、受刑者が自らが犯した罪を反省し、立ち直ることです。 ■「拘禁刑」これまでと何が変わる？ これからの刑務所では、刑務作業などを科すことで受刑者を懲らしめるのではなく、改善更生を促すための様々な取り組みを通して、受刑者が出所した後に再び犯罪に手を染める「再犯」を防止することなどに重きが置かれるようになります。 例えば「拘禁刑」では、刑務所の中で行われる刑務作業は、受刑者が改善更生のために必要に応じて行うものと定められており、「懲役刑」での刑務作業のような義務ではなくなるのです。 一方で、受刑者に対しては再犯を防止するための「改善指導」や、出所後に自立した生活を送るための「就労支援」、「福祉的支援」などが積極的に行われるようになります。 障害のある高齢受刑者のリハビリを行ったり、受刑者が刑務所職員らと対話をする機会を設けたりするなど、受刑者は様々な指導・支援を通して、円滑な社会復帰を目指しながら服役生活を送るようになるのです。 ■受刑者を24種類のカテゴリーに分類 拘禁刑の受刑者は、刑務所に入る前に、年齢や性格、犯した罪の内容などに応じて24種類のカテゴリーに分けられることも特徴です。 現在、刑務所で服役をしている受刑者の約15％が65歳以上の高齢者。 刑務所には幅広い年齢の受刑者がいるだけでなく、高齢で認知機能に障害がある人や、薬物依存症の人、日本語が話せない外国人、さらに同じ犯罪を繰り返している人など、それぞれの受刑者が持つ特性は大きく異なります。 似たような特性を持つ受刑者を同じカテゴリーに指定し、その特性に合わせた指導・支援を行うことで、受刑者の改善更生をより効率的に促すことが狙いだといいます。 ■「拘禁刑」で再犯を減らす いま、課題になっているのが、受刑者が刑務所を出所した後に再び罪を犯す「再犯」の数です。 2023年の1年間に犯罪で検挙された人のうち、再犯者の割合を示す「再犯率」は47.0％と約半数を占めています。近年、この再犯率が高止まりしていることが課題とされてきました。 受刑者の改善更生を促し、社会復帰後の再犯を防止することによって世の中の犯罪の数をさらに減らしていく、これが「拘禁刑」の大きな目的です。