保育施設でバナナを喉に詰まらせた男児の今 体は動かず意思疎通も不可

岩手・北上市が再発防止に向け検証へ  岩手県北上市の民間保育施設で2023年6月、1歳2か月(当時)の男児が、バナナを喉に詰まらせる事故が起きた。  一命は取りとめたが、低酸素脳症で重い障害を負い、日常的にたんの吸引などが必要な医療的ケア児となった。事故から間もなく2年となる中、市は6月に第三者による検証委員会を設置し、再発防止に向けて調査することを決めた。(藤吉恭子) 母「こうした事故が二度と起きないように」  男児は北上市の会社員羽藤翔さん(37)と、妻・緋沙子さん(36)の三男・凰(おう)ちゃん(3)。  家族や市などによると、事故は2年前の6月1日の昼食時に発生した。子ども4人のテーブルに保育士が1人付いて見守る中、凰ちゃんは厚さ7ミリに輪切りされたバナナを喉に詰まらせた。救急車で病院に搬送されたが、呼吸が止まった状態が続いたという。脳のダメージが大きく、今は目を動かしたり首を少し動かしたりはできるが、体は動かず意思の疎通もできない。  凰ちゃんは、栄養を直接胃に送る「胃ろう」や気管切開などの手術を受け、8か月後の24年2月に退院。自宅では家族がおむつを交換したり、体位を変えたり、たんを吸引したりするなど24時間態勢で支えている。  事故当時8キロだった体重は現在16キロ超に。週1回のデイサービスなど、家族が「少しでも凰ちゃんの刺激になれば」と積極的に外に連れ出している。最近は外出先で声をかけられて反応することも増えたという。  市によると、凰ちゃんは事故の1か月前にも自宅で誤嚥(ごえん)を起こしていたことから、基礎疾患の有無など様々な検査が行われた。異常がないことがわかり、市は4月に事故報告書の確定版を国に提出。「原因不明の状況、運動機能の回復が難しい状態になったこと」などを踏まえ、検証することを決めたという。  設置される検証委員会は、医師や弁護士、保育関係者など5人で構成。関係者のヒアリングやデータ収集、分析を実施し、事故原因や再発防止策を含めた報告書を作成する。  事故の公的な検証が行われることについて、緋沙子さんは「やっとここまできたという思い」と心境を吐露する。そして、「まずは事故のことを知ってもらい、こうした事故が二度と起きないようにしてほしい」と再発防止策が講じられることを願っている。

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