【空母】米軍を「魚雷」で撃沈…! 日本海軍の最大空母「加賀」、その”海軍少尉”が手記で明かした「超低空飛行訓練」「ハワイ航路」「発射の瞬間」のスゴすぎる中身

第二次大戦終結から今年で80年。緒戦の真珠湾攻撃で米太平洋艦隊に大打撃をあたえた日本海軍の空母6隻の中で最も大型の艦が「加賀」である。もともと戦艦として建造されたが「加賀」は、軍縮条約などの影響によって「赤城」とともに空母に改造され、日中戦争から大東亜戦争緒戦で大活躍した。だが、開戦から半年後のミッドウェー海戦で、米機の奇襲を受けて沈没した。そんな起伏に富んだ「加賀」を特集したミリタリー雑誌「丸」7月号が早くもファンの間で話題を呼んでいる。真珠湾攻撃で米戦艦「オクラホマ」を雷撃した「加賀」艦攻隊の元海軍少尉・吉野治男氏の手記「加賀雷撃隊・戦艦オクラホマに進路をとれ」から一部抜粋・再構成してお届けする。必殺の航空魚雷1本をひっさげて米戦艦群に挑んだ艦攻隊員の迫力に満ちた戦記が綴られている。 ハワイ真珠湾を想定した「勘」による超低空飛行訓練 空母「加賀」の雷撃隊は、昭和16年8月ごろから鹿屋航空隊を基地として、鹿児島湾内で超低空による魚雷発射訓練を行なっていた。真珠湾の水深に合わせて超低空(4〜6メートル)の発射訓練がくり返された。高度計には10メートル以下の目盛りがなく、それほど精密なものではないから、訓練はすべて「勘」である。高度が高すぎれば魚雷は海底に頭を突っ込んでしまうし、あまり低いと飛び散った魚雷の框板で昇降舵を穴だらけにしてしまう。そんなトラブルも何度かあった。 そして11月8日、飛行機隊は日向灘で母艦に収容された。同20日、豊後水道を南下して千島に向かい、同23日、機動部隊の集合地点であるエトロフ島ヒトカップ湾に入港した。 各艦の搭乗員は、旗艦「赤城」に集められ、オアフ島の模型(2坪ほどの大きさ)を前にして、源田実航空参謀から、島内軍事施設の状況、湾内泊地の状況、艦船の停泊状況、航空兵力の配置状況などが示され、ついで制空隊、攻撃隊の攻撃目標があきらかにされた。 荒れ狂う北太平洋を一路ハワイへ 11月26日、機動部隊は航行序列にしたがって単冠湾を出港、進路を東にとって荒れ狂う魔の北太平洋に進撃を開始した。連日、曇空で海は荒れに荒れ、その高波は「加賀」の飛行甲板にまで打ち上げたほどだから一般の船がこんな航路をとるはずもなく、隠密行動には打ってつけで、航海の最後まで一隻の外国船と出会うことなく、目的地点に到達することができた。 12月8日、午前零時(日本時間)には機動部隊はオアフ島の北約200マイルに達した。 「予定搭乗員整列」のスピーカーが、艦内に鳴り響いたのは午前1時ごろだったろう。 午前1時30分、いよいよ発艦が始まり、戦闘機9機、水平爆撃隊14機、雷撃隊12機がぶじに発艦した。われわれは堂々の編隊を組み、オアフ島めざして進撃を開始した。 オアフ島近くは一面の雲におおわれていたが、雲の間に岸辺にくだける白波が認められた。幸いにしてこれがオアフ島の北端で、当初から進入の予定地点であったのである。 高度6メートル、戦艦「オクラホマ」に放たれた必殺の航空魚雷 攻撃隊総指揮官機から「トツレ」(突撃準備隊形作れ)につづいて、「加賀」の指揮官機、雷撃隊指揮官機と矢つぎばやに「トツレ」の電報が発信され、進撃してきた大編隊は、順次分離して攻撃隊形を作り突撃進路に向かった。 「加賀」雷撃隊は島の西北部で編隊をとき、単縦陣になって突撃態勢に入った。カアラ山を左下に見て海上に出てバーバースポイント付近から海岸線にそって湾口へと進む。 機はヒッカム飛行場にさしかかった。高度は200メートルくらいに下がっていただろう。B-17の四発大型機がならんでいた。後席の電信員が、これを目がけて機銃掃射をかけたが、7.7ミリでは手ごたえもない。 目標は近い。さらに高度を下げて左に旋回し、入江に入る。目標の戦艦群は行儀よくならんでいる。いよいよ雷撃進路に入る。 浅い湾内では、所定高度での発射がカギである。鹿児島湾で連日くり返された成果は、この1本にかかっていた。目標を左端のペンシルベニア型にさだめた(その後の資料によると、それは「オクラホマ」であった)。 高度は約6メートル、操縦員の、「発射用意、射て!」で魚雷を発射した。この瞬間、機はわずかに浮き上がった。 【第二次大戦】「米軍45万人」vs「日本軍10万人」の“全貌”…! 「1時間で特攻5機が米艦に突入」「彼らは死ぬまで戦った」、1945年「沖縄戦・90日間」を追った“記録本”の中身…!

もっと
Recommendations

岩井千怜が米女子ツアー初優勝で“初代女王”に、姉・明愛からシャンパンシャワーの祝福【海外女子ゴルフ】

■米女子ゴルフリビエラ・マヤ・オープン(日本時間26日、メキシコ…

コロナ禍に不意に書いた小説、ストレートな恋愛モノで少し恥ずかしい気持ちに…渡邊圭祐の[箸休め]

もう季節は夏っぽいですね。そのうち夜も暑くなって半袖で過ごして…

【辻󠄀希美・長女】希空さん 「リボンヘアー」のオフショットを公開 ツインお団子スタイルで魅せる新たな一面

元モーニング娘。でタレントの辻󠄀希美さんと杉浦太陽さんの長…

男子3000m障害・東京世界陸上代表の三浦龍司、8分13秒39で13着【DLラバト大会】

■陸上ダイヤモンドリーグ第4戦ラバト大会(日本時間26日、アフリ…

亀田製菓、「柿の種」など菓子を4〜23%程度値上げへ コメなどの高騰受け

歴史的なコメ価格の上昇が「柿の種」を直撃です。亀田製菓は、コメを…

初夏の風物詩「夕張メロン」初競りで2玉100万円 小樽市の業者が落札…店頭で展示 北海道

初夏の風物詩・夕張メロンの初競りが札幌の中央卸売市場で開かれ、2…

あすはほぼ全国的に晴れるものの東日本太平洋側は雲が多い

梅雨前線が南下し、日本列島は大陸からの移動性高気圧に覆われ、東日…

ネット時代でも、なぜ万博は必要なのか VIデザイン担当クリエイターが説く「体験」の意義

大阪・関西万博のVI(ビジュアル・アイデンティティ)デザインシステ…

トランプ氏「プーチン露大統領は完全に正気を失ってしまった!」…大規模空爆を非難

【ワシントン=池田慶太】米国のトランプ大統領は25日、SNSへ…

話題のドラマ「最後から二番目」視聴率が意外な下降トレンド 視聴者からまさかの指摘

小泉今日子と中井貴一今期の連ドラでとりわけ注目されているのが、…

loading...