【日本ダービー】赤ヘル軍団初優勝に沸いた昭和50年 府中沸いたカブラヤオーの大逃走劇

◆第92回日本ダービー・G1(6月1日、東京競馬場・芝2400メートル)  昭和7年の1932年に第1回が行われた「東京優駿」(日本ダービー)は、今年で92回目。数々のドラマを生んできました。今年2025年は「昭和100年」に当たります。節目の年のダービーを当時の世相とともに5回の連載で振り返ります。第1回はカブラヤオーが勝った「昭和50年」。  赤ヘル軍団・広島東洋カープの初優勝、年の瀬は大ヒットした「およげたいやきくん」一色だった昭和50年(1975年)は、山陽新幹線が岡山から博多まで延伸、東京から九州・福岡まで新幹線でつながった一年だった。  中央競馬は、ある一人のジョッキーが席巻した。菅原泰夫。牝馬クラシックの桜花賞、オークスをテスコガビーで勝ち、皐月賞をカブラヤオーで制した。デビュー12年目の29歳。それまで活躍の場はローカルが中心で、地味な実績にとどまっていた男に、同時に牡、牝の2頭の歴史的な名馬の背中がめぐってきた。  そのハイライトが5月25日の日本ダービーだった。カブラヤオーに圧倒的な人気が集中することを予想した日本中央競馬会は単枠指定(※)馬とした。無理もない。皐月賞を完勝したあと、トライアルのNHK杯(当時)を6馬身差でぶっちぎっていた。  レースはゲートオープンから驚きの展開になった。競りかけてきたトツプジローを制し、先頭に立ったカブラヤオーは、前半1000メートルを58秒6というハイペースで飛ばした。「このペースでは、2400メートルはもたないのでは…」スタンドで見守る誰の目にも暴走に映ったが、鞍上の菅原は自信を持っていた。長い、長い直線でよれながらも、2着ロングフアストに1馬身1/4差をつけて2冠のゴールに飛び込んだ。  菅原は引退後、カブラヤオーについて「極端に臆病な気性だった」と明かしている。その欠点を見抜かれないように気をつけていたという。屈けん炎で菊花賞に出走することなく3冠は幻に終わったが、「強いダービー馬」として今でも語り継がれている。(吉田 哲也)  ※9頭立て以上のレースで、人気が集中しそうな馬を1枠1頭に指定する制度。同枠馬が取り消した場合におこる問題の発生を防止するための措置として実施。91年、馬連全国発売に伴い廃止となった。

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