カンヌに愛されたダルデンヌ兄弟、最新作が脚本賞受賞 若い母親たちの物語、来年日本公開決定

 フランスで開催された「第78回カンヌ国際映画祭」(現地時間5月13日〜24日)で脚本賞とエキュメニカル賞をダブル受賞したジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ監督最新作『Young Mothers(英題)』が、ビターズ・エンド配給で来年(2026年)、日本で公開されることが決まった。 【画像】『Young Mothers(英題)』場面写真  カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に選出されるのは10作品目というダルデンヌ兄弟。映画祭ディレクターのティエリー・フレモーはコンペティション部門作品発表の際、「カンヌ映画祭はダルデンヌ兄弟のような映画作家に忠実だ」として、選出の理由を語っていた。  ダルデンヌ兄弟の脚本賞受賞は『ロルナの祈り』(08年)以来、2度目。これまで、カンヌ国際映画祭コンペティション部門で最高賞のパルムドール(『ロゼッタ』『ある子供』)、男優賞(『息子のまなざし』)、女優賞(『ロゼッタ』)、脚本賞(『ロルナの祈り』)、グランプリ(『少年と自転車』)、監督賞(『その手に触れるまで』)、第75周年記念大賞(『トリとロキタ』)を受賞。主要賞の受賞は驚愕の9賞目。カンヌにここまで愛された監督は他にはいないだろう。  閉会式でダルデンヌ兄弟の名前がコールされると、尊敬を込めた大きな拍手が巻き起こり、審査員長のジュリエット・ビノシュをはじめ、ハル・ベリー、ホン・サンスら審査員たちも笑顔でふたりへ拍手を贈った。  本作の主人公は、ジェシカ、ペルラ、ジュリー、ナイマ、アリアンヌの5人の若い母親たち。シェルターに身を寄せている彼女たちは、ままならない毎日の中、なんとか自分たちと子どもたちのためにより良い生活を手に入れようと奮闘していた。そんな若い母親たちの物語を通して、母性、絆、葛藤、そして明るい未来への希望を、ダルデンヌ兄弟らしい鋭い洞察力をもって描き出す。  現地時間23日午後4時から行われたワールドプレミア(公式上映)は大盛況となり、上映後には10分を超えるスタンディングオベーションが巻き起こった。登壇した5人の若手女優たちは、涙を浮かべながらも喜びに満ちた笑顔を見せていた。  批評家からも絶賛の声が相次ぎ、「静かで卓越した新作。すべての登場人物に誠実さと知性を与え、希望を描く力強さがある」(The Guardian)、「緊迫感と優しさが融合したドラマ。ダルデンヌ兄弟の真骨頂」(IndieWire)、「ダルデンヌ兄弟の最高傑作。深く感動的でありながら、決して押しつけがましくない」(Variety)と、各メディアが高く評価している。  ダルデンヌ兄弟は「この美しい賞に感謝いたします。脚本は出発点に過ぎません。この若い5人の女優たちがいなければこの映画は完成しませんでした。私たちは『生命のもろさ』を守ること、育むこと、そして命が続いていくことをどう描くかに興味を持ちました。それがこの映画の核です。また、『人が人を必要とすること』についても語っています。若い母親たちには、親代わりとなって導いてくれる存在が必要です」とコメント。この母親たちの物語は国境を越え、世界を照らすに違いない。  ダルデンヌ兄弟は受賞の際、次のように語った。「この美しい賞に感謝します。脚本はあくまで出発点にすぎません。5人の若き女優たちがいなければこの映画は決して完成しませんでした。私たちは『生命のもろさ』を守り、育み、そして命がつながれていくことをどう描くかに興味を持ちました。それこそが本作の核です。 また、この映画は『人が人を必要とする』ことについても語っています。若い母親たちには、“親代わり”となって導いてくれる存在が必要です」  彼らが描いた母親たちの物語は、国境や文化を越えて人々の心に届き、世界にあたたかな光を灯していくに違いない。

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