石破首相「イキっている割に中身がない」元農相の人事ミスも影響大…終わりが見えた内閣「次期ポスト」のカギを握る人物の名前

困ったときの「進次郎」 「小泉(進次郎)さんが石破さんと話し、農水相を受けるらしい」 こんな話がLINEで飛び込んできたのは、「コメは買ったことがない」「支援者がたくさんくれる」「売るほどある」といった発言で批判を浴びた江藤拓前農水相が事実上更迭される前夜、つまり5月20日のことだ。 折り返し電話を入れると、LINEをくれた自民党衆議院議員は、「小泉さんは森山さん(森山裕幹事長)とも話したんじゃないかな。森山さんは農水族のドンだし、好きにやっていいというお墨付きを得たのだろう。もちろん菅さん(菅義偉元首相)の理解も得てのことなんじゃないか」と語った。 筆者ら庶民が5キロのコメを買おうと「津田梅子」を1枚差し出せば、いくらもお釣りが返ってこない昨今、所管大臣であった江藤氏の発言は怒りを通り越して噴飯ものだ。 それ以上に、第4次安倍第2次改造内閣で農水相として初入閣以降、「農水族だとイキっている割に中身がない」「オラオラ系で周りに当たり散らす」など、省内でとかく評判が悪かった御仁を再び農水相に起用した石破茂首相の眼力のなさ、そして一旦は続投させる考えを表明しながら一転して更迭した判断のブレは、宰相としてどうなのかと思わざるを得ない。 「石破さんとしては、困ったときの進次郎、という思いだったんだろうね。しかしこれは小泉さんにとっても試練だね」 とは前述の議員の弁だ。メディアの中には、小泉氏が自民党農林部会長だった2016年、農協改革を先導しながら、JA幹部や自民党農水族と対立し改革し切れなかった事実を挙げ、「小泉氏でうまくいくのか?」といぶかる声も多い。 確かに、農水相就任前、「消費税減税は時間がかかる」などと述べてきた小泉氏の発言は、システム改修などの面では理解できるものの、減税がもっとも即効性を持つという現実から目を背け、財務省の顔色を窺うような発言でしかない。 後に、小泉氏本人から森山氏と話をしたことが明らかにされたのは、「小泉氏で農水族やJAを押し切れるのか?」という懸念を払拭する意図が込められていたように思う。 小泉氏に交代したことで注目度は上がり期待度もいくばくかはアップする。石破首相の「5キロ3000円台には下げたい」との思いを受け、小泉氏本人が語るように「コメ担当大臣という思い」で取り組むなら、前任者の轍を踏むことなく成果を上げ、再び首相候補に躍り出る可能性もあると思うのである。 石破首相が森山幹事長に屈した日 では、これで石破首相は危機を脱したのだろうか。その答えは「NO」である。傷口に絆創膏を貼った程度のもので、石破首相自体は「退陣」のリスクに晒されていると言っていい。 その元になったのは、5月8日、東京・四谷の『日本料理さくま』で石破夫妻と森山父娘の4人による会食だ。 石破首相が佳子夫人、森山氏が長女の友久美さん(元大臣秘書官)を同伴させた会食は、終盤国会、そして参議院選挙に突入する前の手打ち式、詳しく言えば、「自民党の選挙公約に消費税減税を盛り込まない」を確認し合うための宴席だったと筆者は見る。 一時は、ジャーナリストの青山和弘氏の取材に、「物価高対策の1つとして考えられないことではない」と語り、消費税減税を視野に入れていた石破首相だが、4月15日、首相官邸で森山氏や小野寺五典政調会長と会談した際、「それはダメ」と押し切られた。その後の『さくま』での宴席は、石破首相が森山氏の軍門に下ったことを意味するかのようである。 いずれにしてもこれで、石破首相は、物価高対策で現金給付も消費税減税も出来ないまま、そしてガソリン税廃止や補正予算案の編成も先送りしたまま、森山氏だけを頼りに参議院選挙に突入することになった。 加えて、アメリカとの関税交渉や年金改革などの懸案事項も中途半端なまま選挙に入れば、昨秋の衆議院に続いて参議院でも自民・公明両党で過半数を割り込み、石破首相にとっては「退陣」の二文字が現実味を帯びてくるだろう。 自民党が4月26日〜28日に実施した情勢調査では、自民党の獲得予想議席は47と5議席減に留まり、公明党の10〜14議席と合わせれば「過半数割れはない」とのメドが立ったとされる。 実際にそうなら石破内閣は存続できるが、この数字は、私たち政治記者の予想とは10〜15議席の開きがある。この数字で安心したとすれば、選挙後は「石破降ろしの暑い夏」になることが避けられなくなるだろう。 翳りを見せる国民民主党人気 こうした中、野党でありながら、岸田文雄前首相などから「ポスト石破」の有力候補として名前が挙がるのが、国民民主党の玉木雄一郎代表だ。 「103万円の壁を引き上げる」「消費税を時限的に一律5%にする」「ガソリン税の暫定税率を廃止する」といった姿勢は、今なお有権者の注目を集めているものの、朝日新聞社が5月17日〜18日に実施した世論調査では、政党支持率が前月の12%から8%へと下落した。同じく、毎日新聞や読売新聞の調査でも支持率を下げた。 不倫騒動で叩かれた元衆議院議員、山尾(菅野)志桜里氏をはじめ、立憲民主党に所属し「反ワクチン運動」で知られた須藤元気氏、そして、「暴言王」とも揶揄される日本維新の会出身の足立康史氏らを、参議院比例区の候補として擁立したことがイメージダウンにつながっている。 なかでも山尾氏は、不倫騒動だけでなく、JRの議員パス不正使用などが指摘され、釈明もないまま政界を去った人物だ。 3年前の参議院選挙で選挙区と比例区合わせ5議席を獲得した国民民主党は、予算を伴う法案を提出できる21議席の確保を目指し、今回、16議席以上の獲得を目指しているが、党内からは「決定理由の説明がない」「山尾さんの能力は認めるが爆弾にもなる」といった不満の声が漏れ続けている。 筆者が取材する限り、昨秋の衆議院選挙で、選挙前の7議席を28議席まで増やしたほどの勢いはない。 もっとも、7月20日が有力視される参議院選挙で、自公両党が過半数を割り込んだ場合、「自公国」という枠組みが検討される可能性は十分ある。そうなった場合、「玉木首相誕生」の可能性も排除できない。ただそれは、あくまで選挙で大躍進してこその話である。 「ポスト石破」で動き出した次を狙う人々 一方、自民党内では「次の政局」に備える動きが目立っている。 新たにキングメーカー的存在となり、自らも再登板への可能性を残す岸田氏は、資産運用立国議員連盟の立ち上げに続き、能登半島地震の被災地を支援する勉強会を発足させた。さらに、先のゴールデンウイークには、脱炭素化議員連盟のメンバーとともに東南アジアを歴訪し存在感をアピールしている。 他にも、「ポスト石破」の有力者として名前が挙がる高市早苗前経済安保相や小林鷹之元経済安保相は各々が立ち上げた勉強会を維持し、茂木敏充前幹事長や河野太郎前デジタル相も、それぞれ外交や社会保障をテーマにした勉強会を発足させている。 筆者は、参議院選挙後、仮に石破首相が「退陣」となった場合、本命:小林氏、対抗:高市氏で、大穴が玉木氏と見ているが、特に、麻生派を除く全派閥が解体された自民党で、早くも「仲間集め」の仁義なき戦いが始まっている点には注目しておきたい。 次期首相に不可欠な5つの条件 誰が首相を務めるにせよ、直面するのが物価高対策とアメリカ・トランプ政権との関税交渉だ。他にも、少子化対策や台湾有事への備えなども避けて通れない。筆者が、石破氏、あるいは「ポスト石破」となる面々に求めたいのは、以下の5つの要素だ。 ・A diplpmat(外交官)=米中はもとより、新大統領が決まる韓国との外交はしたたかに! ・A democrat(民主主義者)=年金改革、夫婦別姓、皇室制度など広く声を聞け! ・An autocrat(独裁者)=意見を聞いたうえで、決めるべきときは大胆に決断を! ・An acrobat(曲芸師)=「これは期待できる」とわくわくさせる政策を打ち出せ! ・A doormat=(ドアマット)=踏んづけられても批判されても耐え忍べ! 元は、以前、東京ステーションホテルで総支配人を務めている藤崎斉氏が筆者に語ってくれた「ホテル経営に必要な5要素」なのだが、これを聞かされたとき、「日本の首相にも不可欠なものだ」と感じ、現状に当てはめたのが上記の内容だ。 残念ながら、今の石破首相には、どれもが欠けていると感じる。決して悪い政治家ではなく、むしろ政策通で実力がある人だけに奮起してもらわないと、「石破政権は夏まで」と思うのである。 日本の財政、じつは48兆円の「資産超過」だった…!石破総理「ギリシャ以下」発言のトンデモ度を証明する「驚きの試算内容」

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