参院選の行方とコメ価格問題 石破政権の命運を左右する2つの課題【国会トークフロントライン】

小泉進次郎氏が農林水産大臣に就任し、喫緊の課題であるコメ価格問題に取り組む姿勢を示した。この人事は、前任者の不適切発言を受けての緊急措置であると同時に、参議院選挙を控えた石破政権の命運を左右する重要な決断となった。コメ価格問題の解決は、単なる経済政策にとどまらず、日本の食料安全保障にも関わる重大な課題だ。小泉氏の手腕が問われる中、その成否が政権の存続と今後の政局に与える影響を探る。(聞き手:川戸恵子 収録:5月22日) 【写真を見る】参院選の行方とコメ価格問題 石破政権の命運を左右する2つの課題【国会トークフロントライン】 「コメ価格下落」に賭けた政権の勝負手、小泉進次郎農水大臣起用の真意と狙い ——江藤氏の「お米なんて買ったことない、売るほどある」あれはどうですか。 白鳥浩 法政大学大学院教授: 所管する大臣として、そもそも買ったことがなければ消費者マインドってわからないわけですよね。しかも自分だけはもらっていてしかも売るほどある。それは何か国民を少し愚弄しているような、そういうふうに聞こえますよね。 ——この失言によって辞任した農林水産大臣の後任は小泉進次郎氏。元農林部会長だった経験はありますが、この思いがけない人事の影響はどうみていますか。 白鳥浩 法政大学大学院教授: 小泉氏の起用は、場合によっては起死回生の一打になる可能性があって、ある意味、もう災い転じて福となすみたいな非常によく考えられた人事だっていうふうに言うこともできると思うんです。というのは、石破政権であまりパフォーマンスできる人がいないんですよ。非常に実直な人が多くてですね。そこでパフォーマンスをバンとできる華のある小泉進次郎さん。やっぱり発信力はあるということなので、江藤さんの問題発言というのが、小泉さんになることによって、何かもうかき消されてしまっている。小泉さんになるということが決まって以来、ほとんどもう小泉さん一色で、メディアジャックが始まってるわけですよね。自民党としては小泉さんがメディアジャックをしていることで、野党があまり映らないんで野党の批判も映らないというところで、してやったりというこういう人事に今なっている。 また、就任してすぐに随意契約をやるということを決めたり来週の入札を取りやめっていうような非常に動きが早いわけですね。ある意味で大きなゲームチェンジャーになっていく可能性っていうのはあるんだろうと思うんですね。 参院選に向けた与野党の攻防 選挙戦の新たな地平線「SNS選挙」の台頭 ——党首討論でも、国民民主党の玉木代表が「コメ価格、いつ頃下がりますか、どのくらい下がりますか」と石破総理を追及していましたね。 白鳥浩 法政大学大学院教授: 党首討論を見ていると少数与党というちょっと弱いところをうまく使われているところがあると思います。 日本維新の会の前原さんからは社会保険料の改革ができなかったら不信任出すぞっていうような強い態度に出られてしまったり、国民民主党の玉木さんにはコメの価格をさがらなかったら責任取るのかって言われて取るって言わされてしまったりですね。 出来なかったら本当に責任取らされると思うんですけれども。どうも相手のペースに引きずられている。少数与党の政権運営っていうところがこの党首討論から透けて見えちゃってる。あとちょっとで過半数になるんですけれども、どっちにしてもどれかと組まなきゃいけないっていう。 ——野田さんが言った年金制度改革法案の行方も気になりますが。 白鳥浩 法政大学大学院教授: 早速、自民党と立憲民主党で何か徐々に話し合いにつきそうな雰囲気はある。ただ、6月の22日までしか国会の日程がなくて。ちょうどひと月のところで、果たしてこの決められたタイムリミットの中に成案を得ることができるかどうかっていうところは非常に難しいところはあるんではないか。基礎年金の底上げ方式の問題は、そもそも底上げするんだったらどこから持っていくか、流用なんじゃないかという議論もあるわけで。氷河期世代をどうするかっていうことについて、早計な結論が出るかどうかっていうのは少し見ていかないといけないところがありますね。 ——もう一つ、消費税減税をめぐる各党の主張はどうみていますか。 白鳥浩 法政大学大学院教授: もう何かバナナのたたき売りみたいになっててですね。一つ一つ見ていかないとあまりよくわからない。非常に細かいところの違いがあるんですよね。自民党の中でもですねやっぱりこれ減税自民党が言わないと参院選勝てないっていうこともあるんですけれども。党首討論聞いてますとね、おそらく与党・自民党としては自民党は責任政党だっていうことを言ってたわけですね。それに対して減税を言ってる野党っていうのは、減税ポピュリズムだってそういうレッテル貼りで戦おうとしてるんじゃないかという。ただその反面ですね高度高齢社会に対して財源はどこから取るんだっていう長期的な展望っていうのも少し懸念材料ではあるわけですね。ですから多分その責任制度を、つまり消費税っていうのを維持していく自民党とそうではない減税ポピュリズム政党というレッテルを貼っていく、それが今後のですね選挙の一つのキーワードになってくるんではないか。 ——今回の選挙もおそらく昨年と同じようにこのSNS、あるいは動画配信サイトっていうのが大きな影響を及ぼしていくっていうふうに考えられますか。 白鳥浩 法政大学大学院教授: 国民民主党が群を抜いてやっぱり登録者数が多いですね。何よりもですねやっぱり玉木さんのこのSNSであるとかYouTubeの使い方ってのは非常に上手いですね。非常に短い動画をですね流して“所得を増やすよ”みたいな、何かささやくように言っていくっていうなんだろうな、何かちょっと見ていてくせになる動画なんですよね。 既存政党はですね、やっぱり自分の組織力があるのであんまりSNS使うのに長けてないんですね。やっぱりこういうあまり組織力のない国民民主党みたいな、あるいはれいわであったりですね、あるいは日本保守党みたいな参政党もそうですけどもそういったところをこのSNS選挙っていうのにかなり賭けてるところがあるというふうに思います。 年代的、世代的な違いというのはあって比較的高齢者中心のシルバー民主主義と比較的若年層中心のSNSとか動画配信サイトを使ったリモートワークの延長みたいなリモート民主主義みたいなのが今走っている。両方走っている状況の中で、そのせめぎ合いの中に今、この参院選があるんじゃないかと思うんですね。 「政策選択」から「政権選択」へ ——参議院選挙で今言われてるのは連立組み替えの話ですね。負けたら政権交代した状態になりますけど、本当にギリギリの場合はどうなると思いますか。 白鳥浩 法政大学大学院教授: 最近ちょっと気になるのは、岸田さんが玉木さんは次の総理候補だみたいなこと言ったこと。これはどうとらえられるかですね。国民民主と連立を組むのか、あるいは国民民主党と立憲民主と一緒になって大連立みたいな形を岸田さんは考えているんではないかと思います。この参院選っていうのは普通は政策選択選挙なんですけれども、ところが政権選択選挙に繋がってしまう選挙に今、意味合いが変わってきたんだと思います。 数の安定だけでなく引っ張っていくある種カリスマ性のあるようなリーダーの出現というのが今求められている。そういうふうに言ってもいいと思います。

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