移住しても通いたい学校 主体性育む 「答えを教えない」教育とは 地方創生に…未来のヒント?

「news zero」の木曜パートナーを務める建築家の津川恵理さんが、移住してでも通いたくなる学校を取材しました。教育の場として積極的に地方に開かれた学校で、子どもの主体性を育むための「空間」や「仕掛け」が満載でした。     ◇ 今年4月に開校した私立小学校「うつほの杜学園」。学園長は仙石恭子さん(46)です。 仙石学園長 「うつほの杜学園は古い小学校をリノベーションしています」 津川さん 「絶妙に新旧が入り交じるというか、あまり小学校では見ない雰囲気かもしれない」 現在は小学1年生〜3年生の17人が通っています。この学校が大切にしているのは、子どもの「主体性」です。 仙石学園長 「全員で集まってディスカッションする機会があります」 津川さん 「ディスカッション…小学校で…」 世界遺産「熊野古道」が通る和歌山県田辺市。人口減少が進むこの街に「教育移住」する家族が増えています。地方に“移住したい”と思わせるうつほの杜学園ならではの教育は、世界と積極的に関わる「グローバル」な視点と、身近な人や地域を大切にする「ローカル」な視点をかけあわせた“グローカル教育”です。 学校のすぐ近くにある川での探究や、自分たちで学校のルールを考える会議もあります。 津川さん 「『コメントください』ってこれ子どもが書いたんですよね。『うれしいコメントください』これは何ですか?」 仙石学園長 「学校の授業のことを日記で書いたものに対して、先生や他の学年の子たちがコメントを」 津川さん 「人との関わりを積極的に生み出すきっかけが、ちりばめられていますよね。教室のレイアウトが見たことないなと思って」 子どもたちが発言しやすい空間をつくっているといいます。また、小さなスペースもあります。 津川さん 「ちょっと秘密基地っぽい…」 仙石学園長 「一般的な学校ってなかなかちょっとくつろげる場所ってない」 津川さん 「みんなと関わる時間と1人で隠れて過ごしたい時間が、両方用意されている。集団でいることを強制しない」 なぜ、さまざまな教育方法を取り入れているのか—— 仙石学園長 「子どもたち一人ひとりが十人十色に、その時なりの答えを導き出していくという学び方」 津川さん 「答えを与えない。答えを教えない」 “答えを教えない”——教育はもっと多様であるべきだと仙石学園長は言います。その考えに共感し、この春に10人の児童とその家族が教育移住しました。 息子・紬貴くんの入学に合わせ、仕事を辞めて神奈川県から移住した山本誠一郎さん(42)と妻の絵理さん(33)に話を聞きました。入学からおよそ1か月半で、紬貴くんに早くも変化があったといいます。 誠一郎さん 「家の中でも自分から英語をしゃべってみたりとか、おしゃべりがすごく増えてきた」 絵理さん 「毎日楽しい。もう休みがいらないっていうぐらい楽しんでくれている」 取材中、「うつほの杜のみなさん、昼休みは楽しかったですか?」と校内放送が流れてきました。 絵理さん 「ノーチャイムを取り入れてるみたいで、時間を子どもたちで把握して動く」 津川さん 「子どもたちが子どもたちの環境をつくっている」 絵理さん 「子どもたちのための学校」 子どもたちが型にはまらず自由に成長できるように—— 仙石学園長 「これからの時代にあった新たな教育をつくっていくことが、私たちの故郷やこの国にとってもっとも重要なことなのではないかと。未来を自分たちの手で切り開く子どもたちを育てていきたい」     ◇ 取材を終えた津川さんに思いを聞きました。 津川さん 「この学校に通う子どもたちや先生たちが、本当にキラキラしていて、すごくすてきな学校だなと思いました」 「地方創生って、今の日本が抱えている大きな課題だと思います。移住って大人になるとなかなかできないと思います。ただ、子どもがいる人は、子どものために動ける」 「その熱量は本当にすごくて、いい場所をつくれば子どものためというエネルギーで自然と人が集まって、結果的に地方創生につながっているという、そういう課題の解決につながる形を見られた気がします。課題解決が目的化していない本当に素晴らしい学校をつくっていて、日本のこれからの未来を見た気がしました」 (5月22日『news zero』より)

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