匿名・流動型犯罪グループ、いわゆる「トクリュウ」による強盗や特殊詐欺などの犯罪が相次ぐ中、警察庁は10月1日に、「トクリュウ」グループの取り締まり強化のため、「匿名・流動型犯罪グループ取り締まりターゲット捜査チーム（仮称）」＝「T3」を立ち上げることがわかりました。 「T3」は、全国の捜査員を集結させるもので、首都・東京を守る警視庁が設置する予定の、「匿名・流動型犯罪グループ 対策本部（仮称）」に配属され、トクリュウグループの首謀者を”ターゲット”として定めた捜査を推進することになります。 ■全国警察の捜査員集め”ターゲット”検挙へ 警察庁は、2025年10月1日に46道府県から、100人規模の捜査員を警視庁に集結させ、「匿名・流動型犯罪グループ取り締まりターゲット捜査チーム（仮称）」＝「T3」を立ち上げることになります。 「T3」は、同じ日に警視庁に新設される予定の、「匿名・流動型犯罪グループ対策本部（仮称）」に配属される予定で、警視庁の捜査員と合わせると、「本部」は2026年春には、約340人体制となる見込みです。 対策本部は、警察庁に新たに発足予定の「匿名・流動型犯罪グループ情報分析室（仮称）」と緊密に連携しながら、トクリュウグループの首謀者＝”ターゲット”検挙に向けた情報収集や分析を進めていくということです。 さらに、「T3」の捜査員がトクリュウグループが行う犯罪の捜査を行う各課に加わり、実際の捜査を進めていくことになります。 ■「実行役」の検挙進むも「首謀者」特定に課題 これまで全国警察では「トクリュウ」グループの捜査を重点課題として、実行役などの検挙を推進していました。 ただ、トクリュウの実行役は「闇バイト」などを通じて集められる事例が多く、犯行の指示も「シグナル」や「テレグラム」といった、秘匿性の高い通信アプリによって行われるため、事件の指示をした人物の特定が困難な状況がありました。 トクリュウの首謀者たちにとって、実行役はいわば「使い捨て」の人物で、今後は実行役にとどまらず、グループの全容解明が不可欠となっています。 ■“ターゲット”にはあらゆる法令を駆使 今回、新たな組織を立ち上げることで捜査幹部は「あらゆる法令を駆使して取り締まる」としています。 「あらゆる法令」とは様々な容疑での検挙を意味するもので、トクリュウグループの首謀者たちは特殊詐欺に加え、違法な性風俗店の運営や薬物犯罪などさまざまな事件に関与している可能性があります。 そうしたことから警視庁は、「刑事部」と、これまで薬物などの捜査をしていた部門や暴力団対策部門などが置かれている「組織犯罪対策部」を統合し、さらにトクリュウグループの捜査を専門的に行う「特別捜査課」が、統合された刑事部の中に設置されることになります。 「特別捜査課」は約450人の体制で発足する見込みで、従来の特殊詐欺や強盗容疑での検挙にとどまらず、薬物事件や、名義貸しなどまさに「あらゆる法令」の適用を視野に捜査していく方針です。 捜査幹部は「人員などを集中することでスケールメリットを生かして、捜査能力を発揮していきたい」としています。 今や全国または海外からも犯行の指示を出すことが出来るボーダーレス化した社会の中で、対策本部が、司令塔機能を発揮することで、トクリュウグループの首謀者＝“ターゲット”を特定し、「特別捜査課」を中心として検挙を目指すことになります。