市場の乱高下と投資家の不安 2025年5月現在、ドナルド・トランプ大統領がふたたび就任したアメリカでは、政治・経済ともに混沌とした状況が続いています。再任直後の2025年初頭は、トランプ政権が掲げる各種の追加関税や、対外政策の強硬姿勢などがクローズアップされ、マーケットが過敏に反応しました。就任から最初の100日間は、株式市場が乱高下を繰り返し、S&P500やNASDAQといった主要株価指数が月間で10%以上動く局面すら出現しました。 この短期的なボラティリティの高まりは、投資家にとって大きなストレスです。特に政治的なイベントや、経済指標の悪化が重なると、一気に「リスク回避」の流れが強まり、株価の暴落と急反発が連続して起こります。2025年3月〜4月にかけては、米中貿易交渉が難航しているとの報道や、欧州連合(EU)との関税協議の不透明感が伝えられるたびに、VIX(恐怖指数)が2020年のコロナ・ショック以来の水準に迫ったこともありました。 さらに米商務省が発表した今年第1四半期(1〜3月期)のGDP成長率は、事前予想を下回るマイナス成長(-0.3%)となり、トランプ大統領は「一時的な在庫調整や為替の影響によるもの。8兆ドル規模の対米投資が今後本格化する」と強気の発言を続けているものの、投資家の不安はぬぐいきれません。実際、政策への期待感と不信感が交錯するなかで、指数が上下に振れやすい状況はしばらく続きそうです。 投資家としては「こんなに乱高下するのであれば、一時的にキャッシュ化して様子見をしよう」と考える方も多いでしょう。特に上昇志向の強いビジネスパーソンであっても、日々のニュースで相場が数%単位で動くのを見れば、不安に駆られてしまうのは自然なことです。しかし、短期的な混乱に振り回され過ぎるのは得策ではありません。むしろ、このような環境下でこそ、腰を据えた長期視点を維持し、大局を見失わない姿勢が求められるのです。 短期志向から長期志向へのシフト:人口動態と企業業績の本質 政治リスクが高まると、市場はどうしても短期材料に振り回されがちです。トランプ氏の一言で関税の対象国が変わったり、制裁措置が突如として発動されたりするリスクは常に存在します。それでも長期的に見れば、世界経済には「大きな流れ」と呼べる変化がじわじわと進行していることを見落としてはなりません。たとえば、以下のような長期トレンドは一朝一夕で変わるものではありません。 1.世界人口の増加と新興国の台頭 国連の推計によると、世界人口はすでに80億人を超え、今後もアフリカや南アジアを中心に増加が続く見通しです。高齢化や移民問題など先進国には別の課題もありますが、グローバルで見れば、人々の消費は拡大方向にあります。エネルギーや食料、インフラ、ITサービスなど、広範な領域で需要が増す可能性は高いのです。 2.技術革新(テクノロジー)の進展 デジタル革命がもたらすイノベーションは今や底を打つどころか、AI(人工知能)や量子コンピューティング、メタバース、バイオテクノロジーなど新領域を次々と生み出し、ビジネスモデルそのものを変えています。この流れに乗り遅れない企業が、中長期的に株式市場をリードするでしょう。 3.米国企業の強固な収益力 トランプ政権がどのような政策を打ち出そうと、米国企業が持つ構造的な強み(イノベーション力、多様な人材、巨大な内需市場など)はすぐには毀損しません。米国内で生み出される付加価値の高さは、世界経済をリードする重要な位置を占めています。 実際にS&P500構成企業のEPS(1株当たり利益)は、2024年まで着実な拡大を続け、2025年に入っても予想ほどの鈍化を見せていません。米国だけでなく、新興国や欧州の一部企業も含め、ファンダメンタルズが大きく崩れているわけではないのです。一部の企業には関税によるコスト増が生じても、別の地域に生産拠点を移転したり、値上げやコスト削減で吸収したりする柔軟な対応力を発揮しています。 投資家に求められるのは、こうした「世界経済の構造変化」と「企業の稼ぐ力」の本質をとらえ、短期ノイズとは切り離して考えることです。なぜなら、政治イベントに振り回されるより、人口や技術に支えられた長期的な需要拡大のほうが、企業の中長期的な業績にはるかに大きな影響を与える可能性が高いからです。 歴史が示す株式市場の回復力:暴落を乗り越えてきた実績 株式市場は、過去に何度も危機的暴落を経験しつつ、そのたびに回復してきた歴史があります。たとえば、1987年のブラックマンデー、2000年のドットコムバブル崩壊、2008年のリーマンショック、そして2020年のコロナ・ショック——。いずれの局面でも、一時は「相場はもう戻らない」という悲観論が台頭しましたが、長い目で見れば株価は以前より高い水準に達してきました。 実際、S&P500指数は1920年代以降で年平均6〜7%程度のリターンを積み上げ、長期投資の魅力を実証しています。個人投資家が怖いのは短期的な暴落ですが、暴落のあとのリバウンドで投資家が得るリターンは非常に大きいことが知られています。特に底打ち後の急反発は、一日の上昇率が10%を超えることも珍しくありません。もし暴落の際に退場し、その後の急反発を取りこぼしてしまったら、長期リターンは大きく損なわれてしまいます。 つまり、「危機は永遠には続かないし、相場は過去何度も立ち直ってきた」という歴史的事実を踏まえれば、短期的な下落を理由に優良企業の株式を売り払ってしまうことは、むしろ大きなチャンスロスになりかねないのです。歴史が教えてくれるのは、市場が騒がしいときこそ保有を続け、必要に応じて買い増しができる投資家が、長期では成果を上げてきたということに尽きます。 テクノロジー企業の躍進:マグニフィセント・セブン(M7) 世界の株式市場を語る上で近年欠かせないのが、米国の巨大テクノロジー企業群「マグニフィセント・セブン(Magnificent Seven)」の存在です。Apple、Microsoft、Amazon、Alphabet (Google)、Meta (旧Facebook)、NVIDIA、Teslaという7社は、その圧倒的な企業価値と成長期待から市場を牽引してきました。 2023年にはこの7銘柄だけでS&P500指数の年初来上昇分の大半を占めたとも言われ、2024年半ばには時価総額合計が約16兆ドルに達し、S&P500全体(約46兆ドル)の3分の1近くを占める規模にまで影響力を拡大しました。 2025年に入ってからは政治リスクに絡む調整も見られ、一時この7社合計で昨年末から1.5兆ドルの時価総額が吹き飛ぶ場面もありました。しかし長期的視点に立てば、彼らの強固なビジネスモデルと技術革新力は依然として世界経済を支えるエンジンであり、将来展望は明るいと言えます。ここではマグニフィセント・セブン各社の現況と市場への影響、そして今後の展望を個別に見ていきましょう。 【Apple(アップル)】 世界最大の時価総額を誇るアップルは、トランプ政権下の貿易摩擦の逆風にも巧みに対処しています。 2025年初頭には一部製品への関税リスクが取り沙汰されましたが、強力なブランド力とサプライチェーン再構築で影響を最小限に抑えています。 同社の2025年度第2四半期(1〜3月期)決算は売上高が前年同期比+5.1%と緩やかながら増収に転じ、サービス部門の収益が過去最高を更新して主力のiPhone販売減速を補いました。利益率も改善傾向を維持しており、巨額の自社株買いと増配によって株主還元も積極的です。 足元ではAIブームに直接乗る存在ではないものの、デバイス上でのエッジAI機能強化やサービスへのAI統合など、「静かなるAI戦略」を追求しています。依然としてグローバルブランドとして圧倒的な競争優位を保ち、現金創出力も群を抜いていることから、長期投資先としての地位は揺るがないでしょう。 ただし製造拠点を中国に大きく依存してきたため、米中対立の長期化はリスク要因です。アップルもサプライチェーンのインド・ベトナム分散を進めていますが、引き続き政治情勢には注意が必要です。それでも、膨大なユーザー基盤とエコシステム(iOS経済圏)の存在がもたらす収益安定性は群を抜いており、短期変動に惑わされず保有し続ける価値のある企業と言えます。 【Microsoft(マイクロソフト)】 マイクロソフトはクラウド事業とAIへの大胆な投資で第二の黄金期を迎えています。 2023年にOpenAIへの出資と提携を通じて生成AIブームを先導し、自社の検索(Bing)やオフィス製品群にAI機能を搭載する動きを加速させました。業績も好調で、2025年1月発表の2025年度Q2(10-12月期)決算では売上高が約701億ドルと市場予想を上回り、EPSも予想を上回るなど四半期ベースで増収増益を継続しています。主力のクラウド「Azure」の売上高成長率は直近四半期で31%増と高い伸びを維持しました。 もっとも、成長期待の高さゆえに投資家の目も厳しく、AI関連の巨額投資による利益圧迫や、中国勢の安価なAIモデル台頭による価格競争懸念から、決算発表後に株価が一時下落する場面もありました。実際、マイクロソフトの資本的支出(データセンター投資等)は直近四半期で226億ドルと予想(約209億ドル)を上回り、AI分野への先行投資負担が重石となっています。 しかしサティア・ナデラCEOは「AI技術の性能向上でコスト効率は大幅に改善しており、将来的には需要が指数関数的に拡大する」と強調し、長期的な収益貢献に自信を示しています。また、2023年にはゲーム大手のアクティビジョン・ブリザード買収を完了し、ゲーム事業でも世界有数のプレイヤーとなりました。 オフィスソフトからクラウド、AIプラットフォーム、ゲームまで幅広い事業ポートフォリオを持つマイクロソフトは、景気局面を通じた安定成長が期待できる存在です。短期的にはAI投資の費用先行や景気減速による法人IT支出の変動リスクはありますが、クラウドとAIという「次代のインフラ」を握る同社の長期的価値は揺るぎません。 【Amazon.com(アマゾン)】 Eコマースとクラウドサービスの二大柱を持つアマゾンは、2022〜23年にかけてコスト削減と効率化に注力した結果、収益性が大きく改善しました。 2024年通年では売上高6380億ドル(前年比+11%)・純利益592億ドルを計上し、クラウド部門AWSの年間売上は1076億ドル(前年比+19%)に達しています。直近の2024年10-12月期(Q4)決算でもAWSの売上高は288億ドルと前年同期比+19%の高成長を示し、ホリデー商戦の記録的成功もあって営業利益・純利益とも市場予想を上回りました。AI需要によるクラウド利用拡大や広告事業の伸長が原動力となり、株価も堅調に推移しています。 一方で2025年に入るとやや慎重な見通しを示し、2025年Q1の売上ガイダンスがアナリスト予想(約1586億ドル)を下回る1510〜1555億ドルにとどまる見通しを発表すると、株価が伸び悩む場面もありました。これは景気減速による消費需要の先行き不透明感や、前年閏年効果の剥落、ドル高による21億ドル相当の為替逆風などを織り込んだためです。 もっとも、アマゾンの強みは依然揺るぎません。巨大な物流ネットワークとプライム会員基盤により、競合他社を圧倒するサービス水準を維持しています。トランプ政権の関税方針によって、中国発の格安EC(SheinやTemuなど)には打撃となる一方、アマゾンは米国内物流と多様な調達先を持つため影響は相対的に限定的との見方もあります。 実際、廉価品セグメント強化のため2024年末に独自の低価格ECプラットフォーム「Haul」を立ち上げるなど、環境変化に合わせた戦略を打ち出しています。総じて、アマゾンは消費トレンドとクラウド・AI需要という両輪の成長ドライバーを持ち、短期的な逆風があっても長期成長ストーリーに大きな陰りは見られません。 【Alphabet(アルファベット)】 グーグルを傘下に持つアルファベットは、検索連動広告という堅固な収益基盤に加え、クラウドやYouTube、そしてAI分野への積極投資で次なる成長を模索しています。 2024年通年の売上高は3500億ドルに達し前年比+14%増、特に10-12月期(2024年Q4)は売上965億ドル(前年比+12%)を計上しました。 一方でAI分野への先行投資負担が重く、2025年初の決算発表時には「売上高が予想をわずかに下回り、AI関連費用の増大」で株価が一時9%急落する場面もありました。マイクロソフトとのAI競争や、自社開発の生成AI「Bard」投入などで研究開発費・設備投資が膨らんでいるためです。 実際、同社は2025年に約750億ドルもの設備投資をデータセンター増強に充てる計画を明らかにしており、AI時代に向けたインフラ構築に本腰を入れています。こうした短期的コスト増を市場は懸念しましたが、スンダー・ピチャイCEOは「我々のリーダーシップはAIとクラウドで示されており、これが業績を牽引している」と自信を見せました。 実際、Googleクラウド部門は収益性が向上しつつあり、一部四半期では黒字化も達成しています。また主力の広告事業も安定成長が続き、2024年Q4のGoogleサービス部門収益は前年同期比+10.2%増の841億ドル、そのうち広告収入は+12.5%増と好調でした。 ただしアルファベットには引き続き注意点もあります。米司法省による検索独占禁止法訴訟やEUの規制強化など、ビジネスモデルそのものへの圧力が潜在しています。またAI分野ではオープンAIやメタなど他社との競争も激化しており、人材確保や技術優位の維持が課題です。それでも、世界検索エンジン市場で9割超のシェアを握る「ゲートキーパー」としての地位や、Android・YouTubeといったプラットフォーム資産の価値は揺らぎません。アルファベットは膨大なキャッシュを原動力に次世代のAIインフラを構築しようとしており、長期投資の観点では引き続き有望と言えるでしょう。 【Meta(メタ)】 かつてGAFAの一角として隆盛を極めたメタ(旧フェイスブック)は、2022年に業績悪化と株価急落を経験しましたが、2023年以降「効率の年(Year of Efficiency)」として大規模リストラとコスト削減に踏み切り復活を遂げました。2025年1-3月期(Q1)決算では売上高が423.14億ドルと前年同期比+16%増となり、市場予想(約413億ドル)を上回る好決算となりました。EPSも6.43ドルと前年同期比+37%増となり、こちらも予想(5.25ドル)を大きく超えています。 主力のSNS事業(Facebook, Instagram, WhatsApp)の広告売上が順調に回復し、利用者エンゲージメントも向上したことが寄与しました。特にWhatsAppは月間ユーザー数30億人を突破し、収益化の余地が広がっています。また「X」に対抗する新SNSであるThreadsも、2024年Q4の月間ユーザー数3.2億人から2025年Q1には3.5億人へ伸び、徐々に存在感を高めています。 一方で、メタが将来を賭けたメタバース事業(Reality Labs部門)は依然巨額赤字を垂れ流しており、株主の頭痛の種となっています。2025年Q1のReality Labs部門売上高は4.12億ドルと前年同期(4.40億ドル)から減少し、営業損失は42.1億ドルに拡大しました。これは前年同季度の損失38.46億ドルより悪化しており、VRヘッドセット「Quest」シリーズの売上低迷やメタバース開発費の負担が重くのしかかっているためです。マーク・ザッカーバーグCEO自身「メタバース(Reality Labs)が黒字化するのは10年スパン」と公言しており、まだ折り返し地点とも言える5年目でこの赤字規模は投資家にとって辛抱のしどころです。もっとも近時のメタは明確に戦略の軸足をAIへシフトしつつあります。 ザッカーバーグ氏は2025年の最重要テーマをAIと位置付け、FacebookやInstagram、Messenger、WhatsAppといった各プラットフォームへの生成AI統合を進めています。実際、同社は大規模言語モデル「Llama2」をオープンソース提供し、生成AIを活用したチャットボット機能をインスタグラム等に実装するなど、AIでユーザー体験を高める施策を次々と打ち出しています。さらに2023年末にはレイバンとの提携スマートグラスにAIアシスタント機能を搭載し、その売上が前年比3倍に伸びるなど、新分野でも成果が出始めています。 こうしたAI推進が奏功し、メタの株価は2025年に入ってからも堅調です。5月時点で年初来+11.2%の上昇を見せ、同じマグニフィセント7でもAmazon(-6.6%)やTesla(-16.1%)が低迷する中でアウトパフォームしています。市場予想では2025年通年の設備投資計画が大幅増額され、その多くがAI関連プロジェクトに充てられる見通しとのことです。メタバースへの追加投資は抑制しつつAIに経営資源を振り向ける現経営判断は概ね投資家に歓迎されており、同社は再び高成長銘柄としての輝きを取り戻しつつあると言えるでしょう。 もっとも、広告市場自体は景気動向に左右される面が大きく、メタの収益もマクロ経済の影響は避けられません。加えて欧州の個人データ規制強化など逆風も存在します。それでも、強大なSNSプラットフォーム群と新規事業(AIやARグラス)の可能性を併せ持つメタは、長期的に見て依然魅力的な投資対象です。 【NVIDIA(エヌビディア)】 半導体メーカーのNVIDIAは、AI革命の最大の受益者として飛躍的成長を遂げています。同社のGPU(グラフィック処理装置)はディープラーニングに不可欠な計算エンジンであり、ChatGPTブーム以降、世界中のデータセンターで争奪戦となりました。その結果、業績は空前の伸びを示しています。 2023年通年の売上高は269.7億ドルから2024年通年で429.1億ドルへと約60%増加し、特にデータセンター部門売上は前年比2.5倍に達しました(※2024年1月期決算)。株価も2023年だけで+190%上昇し、NVIDIAは時価総額1兆ドル超の名実ともに世界有数のテック企業となりました。 2025年もその勢いは続き、AIチップ市場におけるNVIDIAのシェアは75%から90%に達するとの予測もあります。実際、主要クラウド事業者が導入するAIアクセラレーターの大半がNVIDIA製であり、競合のAMDやGoogle独自チップ(TPU)を大きく引き離しています。こうした寡占的地位により、同社は高い価格交渉力と利益率を享受しています。 もっとも供給逼迫が続くため、需要に応えるべくTSMCへの巨額発注や自社在庫積み増しを進めており、短期的には生産能力拡大とサプライチェーン管理が課題です。地政学リスクとしては、中国向け輸出規制の強化が潜在します。米政府は先端半導体の対中輸出を制限していますが、NVIDIAは仕様を落とした代替製品で対応しつつ、中国売上も確保しています。またNVIDIAはハードのみならずソフトウェアやサービスへの事業多角化にも注力しています。3D仮想空間構築プラットフォーム「Omniverse」や、自動運転車向けソリューション、さらには量子コンピューティング支援ツールなど、次々と新領域を開拓中です。これらはまだ収益の柱ではないものの、将来的な成長オプションとして注目されています。 同社CEOのジェンスン・フアン氏は「AIファクトリー時代」の到来を説き、あらゆる産業にAIモデルを組み込む動きが加速すると見ています。その中心にNVIDIA製品がある限り、同社の中長期的な成長は極めて有望です。短期的な株価変動は激しいものの、AI時代の“インフラ・プロバイダー”としての地位を考えれば、長期保有に値する銘柄と考えられます。 【Tesla(テスラ)】 電気自動車(EV)メーカーという枠に収まらないテスラは、自動車産業の概念を塗り替え市場を席巻してきました。2021年には時価総額が一時1兆ドルを超え、自動車業界で断トツの評価を受けました。しかし、近年は競争激化と金利上昇に伴う逆風で株価変動が大きくなっています。 トランプ氏の再選直後(2024年11月)には規制緩和期待もあってテスラ株は急伸しましたが、その後は需要動向に対する懸念から売り圧力が強まりました。実際、中国勢(BYDなど)の台頭によるシェア争い、主要市場での受注減速、そして販売台数確保のための度重なる値下げが利益率を押し下げています。欧州では2024年にテスラ車の販売が急減し、中国勢EVの攻勢にさらされまし。 2025年2月には株価が昨年末高値から10%以上下落し、マグニフィセント・セブン指数の中でテスラが最も大きな下落率を記録する局面もありました。こうした課題に直面していますが、テスラには依然として他社にない強みがあります。それは垂直統合されたビジネスモデルとソフトウェアによる収益機会です。同社はEV販売だけでなく、自社開発の「完全自動運転(FSD)」ソフトウェアのサブスクリプション販売や、世界最大規模の充電ネットワーク、さらには蓄電システム「Megapack」事業など、多面的な収益源を育てています。 2023年にはサイバートラックの生産開始も発表し、新車種サイクルによる需要喚起も期待されます。またIRA(インフレ抑制法)によるEV補助金恩恵で米国販売は底堅く推移する見込みです。テスラの2023年通年売上高は814億ドル(前年比+51%)に達し、純利益は126億ドルと業界屈指の利益率を叩き出しました。価格競争で四半期毎の利益は変動していますが、それでも自動車業界平均を大きく上回る営業利益率を確保しています。 さらにテスラは膨大な走行データを武器に、将来的なロボタクシー網の展開などモビリティ・プラットフォーム化を視野に入れており、単なる車両メーカーを超えた存在といえるでしょう。短期的には利上げ環境で消費者の自動車購入意欲減退や競合のEV攻勢といった逆風がありますが、EVシフトという不可逆的な大潮流の中で、テスラが果たす役割は依然として中心的です。イーロン・マスクCEOの発言や経営スタイルにはリスク要因もあるものの、長期投資の視点ではテスラの成長余地と破壊的イノベーション力は無視できません。ポートフォリオに組み入れる際はボラティリティの高さに留意が必要ですが、将来の巨大産業のプラットフォーマー候補として引き続き注目すべき企業でしょう。 以上、マグニフィセント・セブンの現状を見ると、短期的には政策リスクや競争環境の変化で明暗が分かれる局面もあります。しかし共通して言えるのは、彼らはいずれも長期的視野で見たときに次代の経済を牽引するポテンシャルを持っているという点です。株価は政策ニュースに反応して乱高下することもありますが、例えば関税措置ひとつとっても状況は流動的であり、関税措置の見直しも協議されるなど、政策は常に変化します。一喜一憂して保有を手放すより、これらテクノロジー企業の本質的な競争力と成長機会に賭け、腰を据えて保有し続けることが最終的に大きなリターンをもたらす可能性は高いでしょう。 政治リスクとどう向き合うか、冷静な長期視点の意義 トランプ再任によって市場が乱高下する中、多くの投資家が改めて感じているのは「政治リスクは予測不能である」という現実でしょう。大統領や議会の動向、外交交渉の結果がどのようなタイミングで株価に反映するのかを正確に見極めるのは困難です。加えて、2025年の地政学リスクはウクライナ情勢や中東問題など多岐にわたり、投資家が日々追うニュースは膨大です。 しかし、歴史を振り返ると、株式市場が政治リスクで下落したとしても、それが致命的な株価崩壊につながったケースは多くありません。むしろ、リセッションと重なったりバブル的な過熱があったりする場合に大きな調整が起こりやすいのであって、経済の基調や企業の収益力が堅固であれば、政治的な混乱は一時的なノイズとして捉えられがちです。 投資家に必要なのは、こうした不透明な環境でも「なぜ自分はこの銘柄を長期で保有するのか」という根拠を明確に持つことです。短期的には関税の影響でコストが上がる企業があっても、最終的に製造拠点をシフトして収益を回復するかもしれません。あるいは、AI時代に合わせてビジネスモデルを変革し、新たな収益源を切り開く企業も出てくるでしょう。その可能性を見抜くためには、日々のニュースに流されるのではなく、企業のファンダメンタルズや経営戦略、業界構造をしっかりと把握することが肝要です。 また、長期投資といっても「永遠に持ち続ける」わけではなく、市場や企業の構造的な変化に応じてポートフォリオを適切に見直す柔軟性は必要です。特定の国やセクターに偏りすぎると、政治リスクの影響をモロに受けてしまう可能性が高まります。グローバル分散や資産クラスの組み合わせ(株式だけでなく、債券やコモディティ、不動産投資信託など)を意識することで、ボラティリティを抑えつつ、リスク許容度に合ったリターンを追求できるでしょう。 最後に、投資家のメンタルバランスという視点も見逃せません。急落局面ではどうしても「このまま大損してしまうのでは」という不安が募りますが、過去の危機を乗り越えた事例が示す通り、相場の急変動は長期的には一時的なゆがみであることが多いのです。むしろ、安値で優良銘柄を拾える機会と捉え、冷静に行動を取れる投資家が将来的に大きな果実を手にするケースが少なくありません。 2025年という不確実性の高い時代において、トランプ大統領の再任は市場を揺るがす大きなイベントになりました。しかし、歴史を振り返れば、どの政権であれ株式市場は時に大きく下落し、そして必ず反発してきたという事実があります。大切なのは、こうした波の中でも長期的な成長要因(人口動態、技術革新、企業の収益基盤)をしっかりと見定め、焦らず長期視点で資産を育てていく覚悟ではないでしょうか。 政治リスクは常に存在し、短期的な乱高下は避けられません。しかし、優良企業の稼ぐ力や世界経済の大きな成長トレンドは一朝一夕では消失しません。投資家としては、目先の変動に振り回されず、大局を見据えた判断を続けることが、長い目で見たときの成功につながるでしょう。日々のニュースを確認しながらも、自分自身の投資目的やリスク許容度を再確認し、ブレない投資スタンスを貫く——これが、不透明な時代を勝ち抜くための最良の策だと考えます。 【マンガ】グーグルが上場したときに株を「100万円」買っていたら、今いくらになっている?
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