ロータス史に残る1台!初めて乗ったエミーラに感動した話【新米編集長コラム#30】

時間を捻出するだけの価値が十分にあった 一度は乗っておかねばと思いつつ機会のなかったロータス・エミーラに、ようやく試乗することができた。諸事情でタイトなスケジュールになってしまったが、結論から書けば、時間を捻出した価値が十分にある、感動的な試乗になった。 【画像】ロータスの魂はここに生きていた!エミーラ・ファーストエディション 全40枚 試乗車の第一印象は、ジンクグレー(Zinc Grey)と呼ばれるボディカラーの色合いが絶妙で、スタイリングも含めて実にポジティブなもの。直前にBEVであるエメヤとエレトレという『新時代のロータス』を取材していたので、ようやく『知っているロータス』に出会えて嬉しさが込み上げてきた。 なかなか機会のなかったロータス・エミーラに、ようやく試乗することができた。 小川和美 今回お借りしたエミーラは、『ファーストエディション』の2L直列4気筒ターボ(365ps/43.8kg-m)。エミーラがこれと3.5L V6スーパーチャージャー(406ps/48.9kg-m)の2本立てなのはご存知だろう。ちなみに2025年モデルからは、前者に『エミーラ・ターボ』と『エミーラ・ターボSE』、後者に『エミーラV6』というグレード名が与えられている。ターボSEなんて、エスプリみたいじゃないかと思いながら、スポーツカーらしい足元がタイトなコクピットに滑り込んだ。 まず、街中を流して考えたのは、エミーラの立ち位置だ。エリーゼより確実にラグジュアリーではあるけれど、エヴォーラほどではない。プリミティブではないという意味で、路面との距離感がセブンはもちろん、エリーゼなど歴代モデルより遠い感じがした。ちょっと『壁』があるかなぁと。 走っていると路面からの突き上げはしっかりあるが、不快ではない。トランスミッションは8速のデュアルクラッチだから走行マナーがよく、しっとり感、動的質感があり、現代的ないいクルマだなぁと思い始めた。 ロータスとしては軽い数値に聞こえない 快適装備のせいか、車重は1405kgとロータスとしては軽い数値に聞こえないが、最近大きく重いハイブリッドやBEVに多く乗っていたこともあり、十分以上に軽快だ。全長4413mm、全幅1895mm、全高1226mmのボディはいかにも手頃なサイズで、乗れば乗るほど自分の中で好感度が高まっていくのがわかった。 高速道路に乗り入れてペースを上げると、AMG製エンジンがそれほどレスポンシブではないと感じた。ドライブモードや条件によるのかもしれないが、シフトダウンをした時のサウンドが『ヴォン』ではなく『ヴォォン』とひと呼吸あるのだ。音質も、あくまで個人の好みとして「悪くはないが……」というもの。 全長4413mm、全幅1895mm、全高1226mmとなるエミーラは、いかにも手頃なサイズ。 小川和美 しかし、シフトダウンの変速自体はシームレスであったことは強調しておきたいのと、誤解を恐れずに書くならば、ロータスのパワーユニットに官能性を求めるのはそもそも間違いだと思う。初期型エリーゼのローバー製Kユニットも、その後のトヨタ製ユニットも、個人的にはエンジン自体に大きな特徴を感じなかった。 それよりも、やはりロータスは『身のこなし命』であり、その信条はエミーラもちゃんと継承していたのである。しかも似た成り立ちのクルマであるアルピーヌA110よりもピュアで走りに特化しており、スポーツカー好きの英国らしいDNAに溢れているのだ。 まさにエンジン車の醍醐味 そのまま高速道路を走っていて、レブカウンター4500rpm付近に『LOTUS』の文字が入っていることに気が付き、SAでドライブポジションを変えて常にその文字が見えるようにした。レブカウンターを見ながらのドライブ! まさにエンジン車の醍醐味だ。 そんなことを考えていたら、こういうスポーツカーを1台手元に置いておきたいと、感動にも似た思いが沸いてきた。そしてだからこそ、このラグジュアリーな皮を1枚剥いでみたいとも感じ始めた。『エミーラR』のような、ライトウェイトバージョンを作るべきでだと。 電動化時代への大転換期直前に生まれたロータスの集大成として、エミーラは間違いなく歴史に残る1台だ。 小川和美 そう思えるのは、スポーツカーとしてエミーラの素性がいいからであり、電動化時代への大転換期直前に生まれたロータスの集大成として、エミーラは間違いなく歴史に残る1台だ。とても正直に書けば、1610万円という新車価格を見て改めて意気消沈したものの、試乗中はエミーラを手に入れた未来を想像したほど気に入った。 電動化自体は今『踊り場』にあって、UK編集部のレポートによればトランプ関税の影響も直撃し、先行き不透明の状況にある。それはロータスに限らず全メーカーに起きている問題であるが、エミーラに乗って、少なくとも多くのスポーツカー好きに愛されてきたロータスの魂がここにあることは確信できた。願わくは、これからも生き続いて欲しい。 ロータス・エミーラ・ファーストエディションのスペック 全長×全幅×全高:4413×1895×1226mm ホイールベース:2575mm トレッド:F 1626mm R1608mm 最低地上高:F125mm R148mm 車両重量:1405kg エンジン:メルセデス・ベンツAMG製M139 エンジン形式:直列4気筒16Vターボ 排気量:1991cc ボア×ストローク83.0×92.0mm 圧縮比:9.0:1 最高出力:365ps/7200rpm 最大トルク:430Nm (43.8kg-m)/3000-5500rpm トランスミッション:8速AT(DCT) 燃料タンク容量:60L サスペンション形式:F&Rダブルウィッシュボーン ブレーキ:F&Rベンチレーテッドブレーキディスク タイヤ:F245/35R20 R295/30R20 最高速度:275km/h 0-100km加速:4.4秒 価格:1610万円 取材車はファーストエディションで、2025年モデルからはターボ、ターボSE、V6の3グレードとなる。 小川和美

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