小学生の1年間の学校生活1200時間に対し1600時間 貴重な「資産」に

小学生の1年間の学校生活1200時間に対し、放課後の時間は1600時間。この未来の貴重な「資産」となる時間を、塾や習い事だけで埋めていませんか? なんてもったいない!! 1600時間を「未来への投資をする時間」と考えると、小学生のうちにまず優先してやるべきことは、学校や塾の勉強での認知能力の向上ではなく、社会につながるための人間力=非認知能力をいかに育むか。 民間保育園・学童を広く展開する著者・島根太郎が、多くの子どもたちと接し、キッズコーチと子どもたちのかかわりを通じて学んできたヒントを明かした書籍『子供の人生が変わる放課後時間の使い方』より、抜粋してご紹介します。 認知能力の土台になる非認知能力 その自由な放課後時間の中で身についていくのが、非認知能力です。認知能力に「あらず」をつけての非認知能力とはどういったものか。 まず認知能力とは、数値で測れる能力のことです。わかりやすくいえば、「これは何点だ」と点数をつけられる力のこと。代表例は学力で、算数も国語も社会も理科も英語もテストの点数で力を測ることができます。 一方、非認知能力は点数のつけられない能力全般のことです。想像力、集中力、判断力、好奇心、やり抜く力といった内面的なもの、共感性や公共心、コミュニケーション力などの他者との関わりを築いていく社会的なスキル、またそれらを含んだ本人の人間性も非認知能力に含まれます。 経済協力開発機構(OECD)では、非認知能力を「社会情動的スキル」(social and emotional skills)と呼び、自分の感情面をコントロールする情緒的スキルと他者との関わりをつくる社会的スキルに分類し、生涯にわたって伸ばしていける能力として重要視しています。 例えば、子どもたちの日常のこんなところから認知能力と非認知能力の違いが見えてきます。算数ドリルの計算の問題を10問解くという宿題が出たとしましょう。 この10問をどれだけ間違いなく、速く答えられるのかで見えてくるのが認知能力です。間違いと正解の数ははっきりと数字にできますし、10問解くのにどれくらいの時間がかかったかも、はっきりと数値化できます。速く正確だった順に順位をつけられるのが認知能力です。 それに対して非認知能力は、数値化できません。でも、子どもたちの様子を見ると、伝わってくるものがあります。 算数ドリルの宿題に対してのやる気や集中力はもちろん、ちょっと難しい問題が途中にあったとしても、「やめたー」とならずに挑戦する能力。あるいは、途中で飽きてやめてしまった後、しばらくして再開するやり直す力。その他、わからない問題について「ここわからないから、おしえてー」と保護者や友達に聞けるコミュニケーション力も、非認知能力側にあるものです。 どれだけ速く正確に解ける力があっても、わからない問題が一つあったら挫けてしまうようなら親はやきもきしますし、基本的な問題でつまずいて「うちの子は計算苦手で大丈夫かな……」と心配でも友達に聞きながら宿題を済ませてしまう一面を知ったら、「聞ける子に育っていていいな」と思います。 学習において、認知能力と非認知能力はお互いに影響し合います。非認知能力が土台となって認知能力が伸びることはよく知られていますが、認知能力の高さが自信となって非認知能力の土台が厚みを増すこともある。つまり、どちらも子どもたちにとって重要な力なのです。 放課後で身につく非認知能力 「子どもの非認知能力、人間力を伸ばしたい、伸ばしてあげたい。そう思ったとき、親は何をしてあげたらいいですか?」 私は学童保育の現場で何度となく、こんな質問を受けてきました。そのとき、私は「特別なことをしてあげる必要はありませんよ」とお伝えしています。そうすると、保護者の方は「ん?」という表情をされます。 それはそうかもしれません。KBCのパンフレットには「社会につながる人間力=非認知能力を育みます」と書いてありますから。たしかに私たちは子どもの非認知能力を伸ばせる体験価値のあるプログラムを、子どもたちが過ごす放課後時間に盛り込んでいます。しっかりと考え抜かれたプログラムであることには自信を持っていますが、ただそれは大それた取り組みではないのです。 根底にあるのは、子どもたちの小さな「やった!」や「できた!」、「やりたい!」や「どうして?」、「わかった!」を大切にしていくという想い。そのどれもがKBCに来なければ味わえない達成感や疑問や喜びではありません。 かつての放課後には、広がりのある空間があって、そこで友達とともに自由な時間を過ごし、自分たちがやりたいことをやっていました。その中で、仲間とのコミュニケーションや遊び方の工夫などを通して、身近な出来事の変化に気づいたり、学んだり、そこから何か別の物事へと意識を向けていったり……。子どもたちは遊び、楽しみ、ときには一人でぼんやり過ごしながら自分の世界を広げていったのです。 その時間には、たくさんの小さな「やった!」や「できた!」、「やりたい!」や「どうして?」、「わかった!」があり、それが非認知能力を育んでいました。 もし、そこで子どもが工夫をこらしていた遊びの時間に「そんな遊びはつまらない」「遊んでいる時間がもったいない」「それよりもっと勉強しなさい」と、大人が介入し、勉強の時間にすり替えてしまったとしたら、それは成長の邪魔になっているといえます。遊びよりも勉強のほうに価値があるなんていうのは大人の勝手な偏見ですから。 今の子どもたちは学校や塾、習い事などの座学に忙しく、試行錯誤しながら自分の世界を広げていく遊びの時間を持ちにくくなっています。そんななか学童保育は、子どもたちに遊びの体験価値と人との関わりを持てる放課後を提供できるのです。 【オススメ】学校教育時間より400時間も長い学童時間。「安心してぼーっと過ごせる時間」が何より大事なワケ

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