【葬儀費用】母の死から立ち直れない26歳娘に「57万円の追加請求」は防げなかったのか?遺族と葬儀社に求められること

私は葬祭コーディネーターとして、葬儀社で働く従業員の育成に努めています。そのため、一般の皆さまから葬儀費用などにまつわる相談を受けることがあります。 今回、若くしてお母さまを亡くされた、喪主であるMさま(仮名、26歳、女性)から相談があったのは、前編記事〈【葬儀費用】母の死のショックで理解できなかった葬儀社の説明…「57万円の追加請求」に26歳一人娘の後悔〉でもお伝えしたように、以下の3点でした。 (1)基本の明細書にある、「エンバーミングと湯灌(ゆかん)」という項目は、全国必ず含まれていますか? (2)故人に対して必ず、エンバーミングをしなくてはいけないのですか?湯灌についても同じく疑問があります。私は家で、母の身体を綺麗に拭いてあげたのです。それでも、湯灌をするものですか? (3)明細書にあった「エンバーミング39万円」と「湯灌18万円」は、平均的な価格なのでですか? 母の死がショックで葬儀社の説明が頭に入ってこなかったというMさま。追加で高額請求を受けたのは、はたして彼女に全面的に落ち度があったのでしょうか。 葬儀社には遺族に伝わる説明をしてほしかった 先述した(1)から(3)の質問に順にお答えしていきます。皆さまも参考にしていただければ幸いです。 まず(1)について。 この明細書は異例です。というのも基本、「エンバーミング」と「湯灌」の2点は明細に入っていないものだからです。あくまで「オプション」(別途負担)として提案される場合はありますが。 「エンバーミング」「湯灌」ともMさまは何を示すか全く知らなかったこと。初めから記載されていれば「これは必要な事柄なのだろうな……」と遺族の皆さんは感じるでしょう。「改めて聞くのは、大人として恥ずかしいことかもしれない……」と遠慮していたことは、ご自身の責任もあるかもしれません。 ただ、葬儀社側が「全国民が、その言葉を知っているかのような説明」は避けたほうが良いでしょう。「何のためにこれを行う必要があるのか、無いのか」の詳細を伝えるべきでしたし、一度だけの説明で遺族にちゃんと伝わるのか、考えてほしかったポイントです。 費用は相場内だったのか? (2)について、数日の間で火葬にたどり着けるなら、ドライアイスと部屋の冷房などで調整すれば、大丈夫です。 葬儀社から前のめりに、「エンバーミング、いかがですか?」ということはまずありません。 真夏のご遺体保管に問題が生じるようでしたら、葬儀社が冷蔵庫も完備しているところも多いですから、葬儀社側から丁寧に提案くださいます。 (3)の「エンバーミング」「湯灌」の費用・計57万円については正直、高額すぎると思われます。エンバーミングの相場には幅がありますが、15万円から25万円。もちろん、専用の施設でエンバーマーと言われるプロが行います。エンバーミングを行ったあと、再度、葬儀社にお連れしますので、そこに費用は別途かかると思ってください。それでも、この金額の差は大きいですね。 湯灌費用も相場との差が大きいです。5万円〜10万円前後と、私ども葬儀関係者は聞いております。 昔から、葬儀費用に関しては葬儀社と遺族との間で、問題が尽きないのが現実のようです。これについては、葬儀社だけに問題があるとは言い切れません。だからと言って、遺族側にだけ落ち度があるとも限らないのです。 葬儀費用トラブルをなくすために この問題を無くしていくには、まずは葬儀社側が何度も説明を繰り返してみることだと感じます。一度で良いから、遺族側が納得できるように、子どもでも理解できる言葉で説明することです。また、説明している内容をメモに取り、最後に遺族側に渡すのも良いでしょう。 「疑問点については、いつでも聞いてください」と、安心感を与えることが重要です。後から議論になるのは、この点がまず多いからです。 接客態度はもちろん大事です。それでも金額に対する疑問は、対応がどれだけ良くても、簡単に納得されるものではないことを、葬儀社側は理解すべきでしょう。 葬儀社から、「集金に伺います」という連絡をもらったとき初めて、しっかり明細に目を通される遺族もおられるでしょう。 明細や請求書に目を通せるのは、葬儀を終えて、ひと段落してからになることが多いものです。 遺族側は葬儀を終えてからもまだまだ、疲れもひどい上に忙しいものです。だからこそ、通夜・葬儀の進行や、参列者への心配り、そして肝心な葬儀費用においてなど、葬儀社の人を信じて任せたい! と願うものなのです。 私からお願いしたいことは、皆さまも相場をだいたい調べてみること。そして、見積もり内容に関しては、今回相談されたMさまのように、身内がいらっしゃらない場合は、決して、1人で決めてしまわないこと。 友人や葬儀を体験した人、法律に詳しい人に隣にいてもらい、冷静な目と知識で判断を委ねるのも大切です。日頃から、葬儀関係の知り合いを作っておくことも心強いです。 今は安心度の高い葬儀社が増えています。ご自身の不安は勇気を持って伝えることで解消されるはずです。 さらに読む:45歳の一人息子が青ざめた…急逝した母の葬儀費用が「220万円」にふくらみ大後悔したワケ 【さらに読む】45歳の一人息子が青ざめた…急逝した母の葬儀費用が「220万円」にふくらみ大後悔したワケ

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