2024年11月の第3回WBSCプレミア12で、日本を破って初優勝を飾った台湾。この快挙にも後押しされて、台湾ではプロ野球（CPBL）が盛り上がりを見せている。 球場の熱気をさらに高めているのがチアリーダーたちだ。2025年、そこに1人の日本人女性が加わった。2023年まで読売ジャイアンツの公式マスコットガール「ヴィーナス」に所属していた菊池桃子さんが、台中を本拠地とする中信兄弟のチアリーディングチーム「パッションシスターズ」に加入したのだ。 開幕からの最初の1カ月ほどを乗り切った桃子さんに、活躍の場を異国に移した経緯や、新天地で目の当たりにした台湾チアの実態、日本との違いなどについて話を聞いた。 前編記事『「直接インスタからDMを送って…」元巨人マスコットガールが「台湾チア」へと転身した意外なきっかけ』より続く。 ダンスのレパートリーは100曲近く！ 1カ月間ほどダンスや語学のレッスンを受け、3月29日に桃子さんはデビューした。舞台は台北ドーム、統一ライオンズとの開幕戦だ。 「最初に中文（中国語）で自己紹介する場面があったので、そのときは緊張しました。画面でしか見たことがないステージに自分が立っていて、憧れのメンバーと、憧れの曲を踊っているのが不思議な感じ。本当にいろんな感情が入り混じっていましたね」 早速、桃子さん得意の「1位ポーズ」を披露する機会もあり、台湾の野球ファンの心をわしづかみにした。 日本のプロ野球では、チアリーダーが駆け回るのは主にグラウンドで、イニング間などに踊りを披露してファンを盛り上げる。だが台湾では、チアが立つのは客席前に設けられたステージだ。イニング間だけでなく、ほぼ試合を通して踊り続ける。桃子さんは苦笑する。 「選手によって曲が変わったりするので、ダンスのレパートリーもすごく多くて、100曲近くあるんです。そこは苦戦している部分。10年目のメンバーなんかは曲が流れ始めると勝手に体が動くみたいですけど、私はまだイントロクイズ状態です（笑）」 “可愛すぎる”台湾チアの素顔 パッションシスターズのメンバーは年々増えているといい、今年は歴代最多の33人で活動する。試合中は笑顔を振りまく彼女たちだが、舞台裏の素顔はどんなものなのだろう。 「クールに踊る人は普段からクールだし、可愛らしい踊り方をする人は素の性格も可愛らしい。“ステージ顔”がないっていうか、素顔がステージに出ているなって思いますね」 パッションシスターズの中で知名度と人気がとりわけ高いのが、峮峮（チュンチュン）だ。"可愛いすぎる台湾チア"として日本のメディアで取り上げられたこともあるが、桃子さんによると、台湾での人気はさらに絶大なのだそう。 「私が台湾の空港に降り立って初めて目にした大きな看板に峮峮がいましたね。どこのお店に入っても峮峮を起用した広告が出ているし、信号待ちをしているとき目の前を通るバスにも峮峮の写真が載っていたり。実際に会ってみると、独特の雰囲気があって魅力的な人です。メンバーにちょっかいをかけたり、いたずら好きな一面もありますね」 サイドビジネスも充実…マルチに活躍する台湾チア 台湾のチアリーダーたちは、試合で踊って観客を盛り上げるのが仕事だが、それに加えて個人の活動にも積極的だ。桃子さんは言う。 「本当に幅広くマルチに活動していて、峮峮のように広告のキャラクターとしてお仕事をしていたり、歌を出しているメンバーもいる。ダンススクールやドリンクショップを経営しているメンバーもいますよ」 メンバーが経営するダンススクールのスタジオを、ほかのメンバーが練習で使うこともあるそうだ。また、ドリンクのお店は球場内にも出店しているとのこと。ただ可愛らしいだけでなく、商魂たくましい姿が垣間見える。 一般にチアリーダーは収入の面ではあまり恵まれているとは言えないようだが、桃子さんは「日本でも台湾でもさほど大きな違いは感じない」と話す。ただ、台湾では先述の通り個人の活動が活発であり、アイデアと努力次第でビジネスを大きく広げられる可能性がある。 桃子さんも、そこに魅力を感じている。 「チアとしての寿命も台湾は日本より長いですし、日本にはない希望がここにはある、という感じがしますね。私もいずれは、ほかのメンバーみたいに、いろんなお仕事を幅広くやってみたい。パッションシスターズの一員としては、日本と台湾をつなぐ役目を果たしたいと考えています。いつかは日本での公演や、日本の皆さんにパッションシスターズをもっと知ってもらえるようなイベントができるといいですね。そのときは私が通訳をしたいので、中国語を頑張って練習しておかないと」 できるだけ長く台湾に留まり、活動の幅を広げていきたいと語る桃子さん。海の向こうに渡った“女神”の挑戦は始まったばかりだ。 ・・・・・・ 【つづきを読む】「楽天にいる謎の美女」その正体は…？24歳の台湾チアが可愛すぎる！ 【つづきを読む】「楽天にいる謎の美女」その正体は…？24歳の台湾チアが可愛すぎる！