最高速は32km/h、ロンドンを効率的に移動するなら?

馬鹿げたアイデアではない 最高速は32km/h ロンドンを効率的に移動するなら? 自転車か地下鉄、バスが定番といえる。だが、ゴルフカートという手段が加わった。英国のユーゴー社が展開する、新サービスだ。 【画像】ユーゴーの新サービス ロンドンを走る「ゴルフカート」 電動マイクロカー 日本の軽EVも 全182枚 現在はケンジントン宮殿の西側、ハマースミス周辺のエリアで、10台の黄色い「もと」ゴルフカートが貸し出されている。まだ2024年9月から始まった試験運用中だが、運転してみると、馬鹿げたアイデアではないことが見えてくる。 ユーゴーが提供するマーシェル社の電動カート ユーゴーのカートには、大人2名が乗れる。最高速度は32km/hへ制限されるが、フロントガラスとルーフ以外、外界から身を守るモノはなく、スピード感は実際以上に高い。運転免許証を取得してから2年以上が経過した、25〜70歳の人が利用できるという。 レンタル費は、月額10ポンド(約2000円)の会員になれば、1分当たり0.1ポンド(約20円)。非会員は、1分当たり0.2ポンド(約40円)が請求されるそうだ。この料金設定は、レンタル自転車と渡り合える競争力を持つ。 駆動用バッテリーは5kWh 満充電で48km 運転前に、運転免許証や保険番号、支払い方法、郵便番号などを入力してユーザー登録する必要がある。認証までに24時間が必要だから、前日には済ませておきたい。 ユーゴーが整備する専用駐車場にカートは停まっており、QRコードのスキャンかアプリの操作で利用開始。駐車場へカートを戻し、ロックすれば返却終了だ。自宅前など、好きな場所での返却を可能にする計画もある。複数世帯での共有も検討されている。 ユーゴーが提供するマーシェル社の電動カート このサービスを考案したのは、サミュエル・ベイリー氏。彼は自動車技術者で、高価なバッテリーEVにかわる選択肢をロンドン市民へ提供するべく、中国製のゴルフカートへ目をつけた。マーシェルというメーカーの車両だという。 駆動用バッテリーの容量は5kWhで、モーターの出力は4kW(約5.4ps)。満充電で48kmほど走れる。充電は街灯用の電源や、ルーフ部分のソーラーパネルで行われる。陽光を丸1日浴びれば、最大10km相当の電気を蓄えられるそうだ。 軽快で活発な走り 荒れた舗装でも滑らか ユーゴーのカートは、基本的な技術はゴルフカートの延長だが、英国のマイクロカー規格へ合致するよう改良されている。実用性や耐候性も、高められている。 それでも、見た目は完全に黄色いゴルフカート。風が吹き込み、雨粒が入ってくる。ロンドン市民から冷笑されるのではないかという、一抹の不安がよぎる。内装は簡素なプラスティック製。後方には荷物置き場があるが、ロックはできない。 マーシェル社の電動カートを運転する筆者、ジョン・エバンス 足もとには、ストップ、ゴーと記されたペダル。シートは、それなりに座り心地が良いものの、ウインカーとワイパー以外の装備はなし。スマホでロックを解除し、シートベルトを締めて、シフトレバーをDに入れ、アクセルペダルを踏めば走り出す。 軽いカートだから、加速は活発。回生ブレーキが強く、速度調整しやすい。前のサスペンションは独立懸架式で、荒れた市街地の舗装を滑らかにこなす。トレッドも広く、速度抑止用のスピードバンプも軽々乗り越える。 歩行者の反応も概ね好意的 市民権は得られる? タイヤが車体の四隅に位置し、方向転換はキビキビ。急旋回を試みても、横転しそうにはならない。視界が広く、運転は想像以上に楽しい。歩行者の反応も、概ね好意的だ。 「利用者は、カートを直ぐに気に入ってくださいます」。ベイリーが説明する。「平均で、1日に3件前後の予約が入ります。ユーザー登録数は、5000名に達しました。学校への送迎目的の保護者や、面会の必要な弁護士、建設業者など、目的は様々です」 ユーゴーが提供するマーシェル社の電動カート レンタル自転車のように路上へ放置される可能性はあるが、事前の利用登録が必要で、セキュリティ技術も導入されており、ほぼ防げるだろう。一般的なバッテリーEVより専有面積が小さく、環境にも優しい。都心部では、スマートな移動手段になりそうだ。 もとゴルフカートが、ロンドンで市民権を得ることはできるだろうか。風雨にさらされても大丈夫な服装は、必要になる。答えは数年後に見えるはず。少なくとも筆者は、かなり希望があるように思えた。

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