「なんでMEGUMIが?と私自身も何度も考えた」カンヌ国際映画祭で「JAPAN NIGNT」を開催する理由

タレント、俳優、そして「美のカリスマ」などさまざまな顔を持つMEGUMIさんだが、ドラマ「完全に詰んだイチ子はもうカリスマになるしかないの」(22)、映画『零落』(23)『FUJIKO』(26公開予定)をプロデュースするなど、映像コンテンツの作り手としての活躍の場が増えている。 そんなMEGUMIさんが2024年、世界三大映画祭のひとつであるカンヌ国際映画祭会期中に海外の映画産業に携わる関係者の交流を目的とする「JAPAN NIGHT」を開催。俳優・斎藤工や深田晃司監督がプレゼンテーションを行った同イベントは1000人の動員を集め、成功を収めた。そして今年の5月16日、第2回目が開催される。 そもそもなぜ、MEGUMIさんは日本の映画産業を盛り上げるために自ら動いたのか。渡仏を前に、ご本人に率直な思いを聞いた。 「なんでMEGUMIが?と私自身も何度も考えた」 ——「JAPAN NIGHT」に関する話の前に、国際映画祭に対して漠然としたイメージしか持っていない人も多いと思いますので、具体的にどんなことが行われているのか教えていただけますか? MEGUMI:皆さんがよく見ている景色でいうと、レッドカーペットをセレブの方々が歩いて、その裏にある劇場に向かっていき、そこで新作の上映がされる、というものでしょう。それも映画祭の内容の一つですが、マーケット的な側面もあります。 カンヌ国際映画祭では「フィルムマルシェ」といってまるでお野菜のように映画が売られています。何度か行ったなかでは、スペインのブースの規模が最も大きかったように思います。日本においては国で固まって売られている場合もありますが、濱口竜介監督のように海外で活躍されている方は各国と契約して、例えばドイツのフィルムメーカーズのブースで売られたりもしています。 あとは何百ものパーティが大小問わず日々行われています。ブランド主催のものもあれば映画のPRとして行われているものもあり、本当にさまざま。皆さんハシゴされて映画関係者の方とコネクションを作って、共同制作やご自身の映画を海外に売るビジネスの話につなげていきます。映画にまつわる多種多様な方々がさまざまな形でシンポジウムやワークショップ、記者会見を行っている場が国際映画祭になります。 ——2022年に初めてカンヌ国際映画祭に参加された際、日本映画や日本文化を愛している人にもっと情報を届けたいと思ったことが「JAPAN NIGHT」開催のきっかけだったそうですね。目の前に課題が見えていても、自分が動こうと思える人は少ないと思います。なぜMEGUMIさんは動けたのでしょう? MEGUMI:自分でもよく考えますが、自分がこれまで行ってきた点と点がこの場でつながったんだと思います。自分が俳優として表に出ているなかで“もう少しこうだといいな”と思っている部分、プロデューサー業を行うなかで“こういった感じでやっていきたい”と思う部分がこのタイミングで出合った。 “なんでMEGUMIが?”と皆さん思うでしょうし、私自身も何度も考えましたが、自分でも説明できないような御役目をいただいた感覚が正直なところです。 参加者が300人だと思ったら1000人に!初イベントの苦労 ——ノウハウや前例もあまりないなかで、実際にイベントを運営するのは相当大変だったのではないでしょうか。 MEGUMI:第1回のとき、実施が決定したのが2月で、本番が5月。実質3カ月間の勝負でした。まずは会場を押さえることとイベンター探しが最優先で、その次は招待状の発行と資金集め。当時はこんなに大きくなると思っていなかったのもあって、手分けして同時並行で進めていきました。300人くらいなら自分の範疇でできるかなという想定でしたが、蓋を開けてみたら1000人ほどの方々がお越しくださいました。 最終的な参加者が前日にわかったため「お酒を+700発注しなきゃ!」となったり、日本からのゲストのホテルを押さえたり、空港からのアテンドやレストランの手配等々、無限にやることがありました。当日も「動線はどうするんだ」という話になりましたし、問題が起きてそれを一つひとつクリアしていく日々でした。少人数で本当によくやったなと思います。 日本の注目度が増している!? 昨年のカンヌで見たもの ——昨年のカンヌでの日々を振り返って、特に印象に残っていることはありますか? MEGUMI:初めて参加したときよりも日本のブースの規模感がかなり大きくなり、良い場所に設置されていたりと変化を感じました。映画祭の公式ポスターが黒澤明監督の『八月の狂詩曲』をモチーフにデザインされていて、日本に対する注目度も増している印象です。 映画祭の中で、お互いに存在は知っていても日本だとお話する機会がない方々と集まってご飯を食べながら交流を深める機会があったのですが、皆さんと「これからどうしよう」という建設的な会話をできたことはエモーショナルな経験でしたし、「またカンヌに戻ってこられるように頑張ろう」という気持ちを共感できる映画人との出会いは貴重な財産になりました。 今後も継続的に開催。ベネチア国際映画祭からもオファーが ——今年第2回も開催されますが、今後も継続的に行っていくのでしょうか。 MEGUMI:「JAPAN NIGHT」は私自身が俳優と裏方の両方をやっているからこそ信頼してくださる方々が参加や応援をしてくださった部分にもあると思います。また、プロデューサーをやっている身としては日本文化をちゃんと外に出していかなければならないとも考えています。 2024年に「JAPAN NIGHT」を開催したことで、映画を軸にビジネスや文化、政治のリーダーが集まる場でもあると実感し、これは一過性でなく続けていくことが重要だと考えるようになりました。是枝裕和監督にご相談したときにも同じことをおっしゃっていただけたので、今後もコンテンツとしてしっかりと組み立てていきたいと思っています。 ——継続的に行っていくことで、期待値やクオリティのアップデートも含めてハードルは上がっていくのではないでしょうか。 MEGUMI:ありがたいことに、今年は横浜国際映画祭やウディネ・ファーイースト映画祭(ヨーロッパ最大級のアジア映画祭)、ベネチア国際映画祭からもオファーをいただいている状況です。 とはいえ、私たちは長くこうした活動を行ってきたメンバーではないので物理的に実現していくことは大変ですし、多くの方に直接お会いして「どういう意味を持って行っているのか」を理解していただく必要性も生じます。規模感や数が増えるぶん、関わってくださる方も増えるので、意識の共有や意思の疎通がより重要になってきました。 「大変さ」はチャレンジできている証明 ——お話を聞いているだけでも苦労の数々があると推察しますが、大変なとき、どうやってモチベーションを維持しているのでしょう? MEGUMI:私は、全てのことにおいて乗り越えられないことは起きないと思っています。それに、人って大変な時じゃないと思考しませんよね。思考して一生懸命動いた先に初めて見える景色は絶対にあると信じて今までやってきたので、根本的に苦と感じないのかもしれません。 ここで折れてしまえば終わるけれども、向き合って“どうしたらいいのでしょうか”と教えてもらいたい人にちゃんと聞くことで道が開ける場合もありますから。俳優としても、つらい経験が後々の財産になることはありますし、大変さはチャレンジできている証明でもあり、幸せなことかもしれないと目線を変えるようにしています。 ◇続く後編【MEGUMI「“退化”しないために、なるべく“怖い”ことを選んでいる」】では、多忙な中でも新しいことにチャレンジし続けるMEGUMIさんの原動力に迫ります。 【後編】MEGUMI「“退化”しないために、なるべく“怖い”ことを選んでいる」

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