年々増えている「紫外線量」銀座ケイスキンクリニックの院長が解説

 5月に入り、日中は外でも半袖で過ごせる季節になってきました。外出しやすい時期ですが、気を付けないといけないのが『紫外線』。晴れる日が多い5月は紫外線の量がぐっと増え始めるため、特に注意が必要です。  肌の老化や体の不調にもつながる紫外線。正しい対策方法とは?銀座ケイスキンクリニックの慶田朋子院長に聞きました。 空気がキレイになって紫外線量が増えた!?  実は、年々増えている紫外線量。1990年の観測開始以降、増加傾向にあり、10年あたり4.6%も増えているということです(気象庁データ「つくばの地表に到達する紫外線量」より)。紫外線を拡散させる大気中の微粒子が昔より減少し、紫外線が直接地表に届きやすくなっているそうですが、ディーゼル車の規制やクリーンエネルギーの普及などによって空気がきれいになったことがその原因であるとも言われています。  紫外線が人体に及ぼす影響度の指標「月別UVインデックス」というデータを見ると、最も数値が高い7・8月はそれぞれ「6.6」「6.8」で、5・6月も「5.6」という高い数値が出ています(気象庁データ 大阪の1997年〜2008年平均)。環境省は、この数値が「3以上」の場合には日陰に入ることを推奨していて、このデータでは3〜10月が該当します。  銀座ケイスキンクリニックの慶田朋子院長は「梅雨の晴れ間など、雨の後は要注意」と指摘。雨によって大気中の微粒子が地面に落ち、地表に到達する紫外線量が増えるということです。 紫外線「A波」が目の奥に届くと…  さらに慶田院長は「紫外線による『光老化』のリスクを知っていただきたい」と指摘。光老化とは紫外線を長期間浴びることによって蓄積され起こる老化で、紫外線にはA波・B波の2種類あり、それぞれが美容面だけでなく健康面にも影響を及ぼすと言います。  ▼紫外線A波:肌の奥まで届く→「シワ」「たるみ」などの原因に  ▼紫外線B波:肌の表面に影響→「やけど」「シミ」などの原因に  まずは、目への影響です。A波が目の奥に届くと、「白内障」を患う原因になるほか、角膜の炎症「雪目」や、白目の一部が黒目に入り込む「翼状片」といった病気になる可能性もあるということです。また、B波がDNAを傷つけてエラーが修復できなくなると、「シミ」や「老人性いぼ」、最終的には「皮膚がん」になる可能性も高まるそうです。さらにB波による「免疫低下」にも言及しています。  その上で慶田院長は「紫外線対策は全ての年齢で必要」と強調します。高齢者は抗酸化機能や肌の再生機能が低下しているためダメージを受けやすく、傷が治りにくくなるそうです。また、子どもの肌は再生スピードが速く、DNAの損傷を受けると修復する前に分裂してしまうため、発がんリスクが高いと言います。  なお、手のひらを太陽に1日5分〜15分かざす程度の紫外線を浴びれば、1日に必要なビタミンDを生成するには充分だそうです。 日焼け止めの選び方…室内では?屋外では?  紫外線対策といえば「日焼け止め」ですが、どのように選べばいいのでしょうか?また、どのように塗ればいいのでしょうか?「アネッサ」ブランドを展開する資生堂によりますと、日焼け止めにはその効果を表す2つの指標、「PA」と「SPF」があります。特徴は次の通り。  <日焼け止め効果を表す2つの指標>※資生堂より  ▼PA:対A波の効果(+〜++++で表示)→「+」の数が多いほど、肌が黒くなることや弾力を失わせることを防ぐ  ▼SPF:対B波の効果(1〜50+で表示)→数字が大きいほど、日焼けによる炎症が起きるまでの時間を延ばせる  選ぶ目安について慶田院長は、室内なら「PA+++、SPF30〜35くらい」、アウトドアなら「数値の高いものを何度も重ねてこまめに(2時間ごとに)塗り直し」と指摘。電気を付けずに室内の様子が見える場合、部屋の中にも太陽光・紫外線は入ってきていると言います。しっかり対策したい人は、裸の状態で体に塗ってから服を着るといいそうです。  また、日焼け止めには、紫外線を吸収し熱エネルギーなどに変えて放出する「紫外線吸収剤」と、細かい粒子で紫外線を乱反射させ肌を守る「紫外線散乱剤」という2つの成分が含まれています。ほとんどの商品にはこの両方が入っていて、中には吸収材フリーの「ノンケミカル」をうたったものもありますが、慶田院長は「肌の弱い人でもかぶれにくいものが増えた」「散乱剤自体でかぶれることはあまりない」と指摘。数値が低い方が肌に優しいわけではなく、また、ノンケミカルだからかぶれないわけでもなく、人によってかぶれる成分は違うため、肌に合ったものをつけ続けることを推奨しています。  さらに今の時代は、PA・SPFの数値が高くてもつけ心地の良い商品が各メーカーから出ているため、しっかり日焼け止め対策をしたい人は、それなりに高いものを買うといいかもしれません。 日焼け止めの塗り方「基本的に全エリア2度塗り」  次に、日焼け止めの塗り方です。慶田院長は「基本的に全エリア2度塗り」を推奨しています。顔は5つのポイントに塗って、肌のキメの間にしっかり入っていくように内から外へクルクル回すように塗るのがいいそうです。1回分の量は、乳液タイプの場合は500円玉2枚分、クリームタイプの場合はパール粒2つ分。これを2回繰り返して塗るのが理想で、手足に関しては、乳液・ミルクタイプなら、エリア全体にちゅーっと出してクルクル塗ることをおすすめしています。  また、日焼け止めの“寿命”は、「未開封なら3年もつが、開封後は酸化するので3か月〜半年で使い切ったほうがいい」と慶田院長は指摘。日傘については、「日よけ加工は裏側なので劣化しにくいが…」と前置きしつつ、「晴雨兼用は使用頻度が高いので劣化しやすく、日焼け止めの油分や摩擦で生地が劣化するため、傘自体のダメージにより寿命は2〜3年くらい」だと傘ソムリエの土屋博勇喜氏はコメントしています。  これからの時期、しっかり日焼け対策をして病気や老化などを予防しましょう。

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