中国ヘリの領空侵犯が明らかにした尖閣諸島周辺の領空に「日本の主権が及んでいるとはいえない」現状

中国海警局のヘリコプターが今月3日、尖閣諸島周辺で領空侵犯を行った。中国機による領空侵犯は4回目だが、防衛省幹部からはこれまでと「レベルが違う」と強い懸念の声があがる。 5月3日、午後0時21分ごろ、尖閣諸島周辺の日本の領海に侵入していた中国海警局の船、4隻のうち1隻からヘリ1機が飛び立ち、15分ほどで領海内の船に戻った。ヘリが発艦する直前には、周辺を日本の民間航空機が飛行していた。 日本政府は外交ルートを通じて中国政府に厳重に抗議を行ったが、中国側は「日本側の民間航空機が先に中国の領空に不法侵入し、中国側はヘリコプターで警告して追い払った」と主張し、日本に対し逆に抗議した。 中国機による領空侵犯は4度目で尖閣諸島周辺では3度目だが、尖閣周辺の領空を飛行した日本の民間機に対応するかたちで中国機が領空を侵犯するのは初めて。 防衛省幹部は「自国の領空だと主張してそれを維持するために領空侵犯を行ったことはこれまでとはレベルが違う」と懸念の声をあげる。 また、さらに「深刻な影響」を指摘する声も。 当時、尖閣周辺を飛行する民間航空機に対しては、海上保安庁から「危険なため、その場を離れるように」との警告が送られていた。 ある防衛省関係者は「この海保の対応が明らかになったことが、もう一つの由々しき事態」と話す。 海保の対応によって、「尖閣諸島周辺の領空は日本の機体が自由に飛行できない、実質的に日本の主権が及んでいるとはいえない状況を知らしめることになった」というのだ。実際、尖閣周辺を飛行している日本の航空機は「警戒監視のための自衛隊機ぐらい」だという。 なお、尖閣諸島周辺の領海では中国海警局の船舶の領海侵入が常態化しているが、沿岸国の安全などを害さなければ通過できる「無害通航権」がある領海と、その内側を許可なく自由に飛行することが、国際法上認められていない領空では、その重みは異なる。 尖閣諸島をめぐる現状にどう取り組むのか、日本の姿勢が問われている。

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