人工股関節手術の名医が「あえて古典的な方法」を使う理由とは⋯最新技術だけじゃない「本当に患者にやさしい病院」の実名

前編記事【糖尿病の「透析」に強い病院は「有名大学病院」ではなかった⋯! 知らないと命にかかわる「バスキュラーアクセス」という新しい考え方】より続く。 手術後4日で退院できる 整形外科の優れた病院については、知る人ぞ知る「街の病院」を推す医師もいた。東京・江戸川区の下町にある岩井整形外科病院は、キズが小さい腰椎内視鏡手術で日本トップクラスの実績を誇る。 「全国でもいち早く内視鏡を導入し、4〜6日で退院できる手術を行っていることで、医療界では知られた病院です。私もよく患者さんを紹介して、お世話になっています。症例数が多いだけでなく、スタッフの対応も丁寧でフレンドリーなんです」(金町駅前脳神経内科院長の内野勝行氏) 静岡県浜松市の浜松医療センターには、股関節・膝関節の人工関節置換手術で「世界の岩瀬」と呼ばれる名医がいる。 「副院長兼下肢関節再建・人工関節センター長の岩瀬敏樹先生です。首都圏など、遠方から岩瀬先生の手術を求めて来院する患者さんがたくさんいます」(前出・矢野氏) 名医が「古典的治療」にこだわる理由 その岩瀬氏が語る。 「私は年間120〜130例ほど、人工股関節置換術を執刀しています。決して目新しいことをしているわけではなくて、実績のある確立された術式を使い、合併症の少ない手術をめざしています。 股関節では、人工関節を骨に固定するために骨セメント(充塡剤)を使う方法と使わない方法があります。日本では85%の手術がセメントを使わずに行われていますが、術後に痛みが残る場合もあるようです。 私の手術はセメントを使う古典的な方法ですから、手術時間も多少長くかかります。しかし総合的に考えると、痛みが残りづらいですし、歴史の長い確立された手法なので、将来的にトラブルが起きたときにも対処しやすいというメリットがあります」 必ずしも、最新技術を駆使するだけが名医やいい病院の条件ではない。本当に患者のためになる医療を考え抜き、実践することが重要なのだ。 「週刊現代」2025年5月12日号より ・・・・・ 【つづきを読む】世田谷の駅前の小さな病院に「神の手」がいた⋯! あなたが知らない「街のスゴ腕ドクター」はここに隠れている 【つづきを読む】世田谷の駅前の小さな病院に「神の手」がいた⋯! あなたが知らない「街のスゴ腕ドクター」はここに隠れている

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