教員のなり手不足が深刻化する中、今年度の教員採用試験を５月に実施する教育委員会が、都道府県・政令市などの全国６８教委のうち、１０教委にとどまることが読売新聞の調べでわかった。 文部科学省は人材確保に向け、採用試験の早期化を教委に促し、５月１１日を実施日の目安としていたが、大半が前倒しを見送った。 教員採用試験は従来、７月に１次の筆記、８月に２次の面接、９、１０月に合格発表という流れが一般的だった。だが、民間企業の採用活動の早期化などを受け、文科省は昨年度の試験実施日の目安を６月１６日に設定。今年度はそれをさらに１か月程度早めた。 調査の対象は、都道府県・政令市の計６７教委と、独自に採用を行う大阪府豊能地区の協議会。 １次試験を５月に行うのは、静岡県や茨城県など１０教委で、うち島根県や長崎県の５教委が昨年度よりも日程を早めた。６月は３０教委、７月は２８教委だった。 昨年度の６月から５月に試験を前倒しした長崎県は、志願倍率が１・７倍から２・０倍になり、１４年ぶりに上昇した。企業の採用選考は６月１日に解禁されることから、「競合する民間の採用活動に対応した」（県の担当者）とする。７月から５月に試験を早めた島根県も、出願者数が前年度比８６人増の１１８２人となった。 ただ、５、６月は教育実習の時期とも重なる。東北学院大の教職課程で学ぶ学生（１８）は「教育実習で子どもと向き合ってから、試験を受けたい。前倒しが進むと、試験の準備期間も短くなるので心配だ」と話す。 教員採用に詳しい教育研究家の妹尾昌俊氏は「早期化で志願者が増えても、辞退者が多い場合もある。働き方の不安を解消し、確実な採用につなげることが重要だ」と指摘している。
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