7日に発表された、全国のスーパーでのコメ5キロあたりの平均価格は4233円。また最高値を更新しました。食用のコメを使う酒造会社も打撃を受けそうです。店頭では、安いコメを求めてはしごする客の姿も。農家の実情や今後の見通しを取材しました。 ■蔵元「どれほど値上がりするか心配」 7日、東京・福生市にある酒造会社「石川酒造」を訪ねました。二重扉を開けると、お酒の発酵や貯蔵のタンクが並んでいました。ここで造られているのが、160年以上の歴史を持つ日本酒です。原料はもちろん国産米で、主に食用のコメを使っています。 蔵元・石川彌八郎さん 「(今年)秋くらいにお米が来て冬から酒造りが始まりますが、そのお米がどれくらい値上がりするのか心配ですよ」 そうでなくとも燃料代などの高騰によって、7月から2割ほどの値上げを予定するなど厳しい状況だといいます。石川さんは「今度(さらに)値上げがあるとしたら、その主たる原因はお米代ということになります」と話しました。 ■スーパーでの価格、17週連続で↑ 農林水産省から7日に発表された、全国のスーパーでのコメ5キロあたりの平均価格(4月21日〜27日、税込み)は前の週より12円アップした4233円でした。 17週連続で値上がりし、統計を始めた2022年3月以降でまた最高値を更新しました。 ■安いコメを求めて…翻弄される夫婦 埼玉・越谷市のスーパーに、安いコメを求めて隣の春日部市から来たという夫婦がいました。夫は「4000円台はちょっときついな」、妻は「年金暮らしは買えないわ」と漏らしました。 以前は3000円台でコメを買うことができたという、幸手市のJAに車で向かいますが、定休日でした。それでも諦めずに、30分ほどかけて別の直売所へ。しかし、店員は「お米は全部完売しています、すみません」。手に入れることはできませんでした。 ■コメ農家の倒産・休廃業、過去最多に 一方で、生産者にはある変化が起きています。 東京商工リサーチによると、コメ農家の倒産や休廃業の件数は去年89件となり、過去最多を更新しました。生産コストの上昇や後継者不足などが背景にあるとみられています。 ■高齢化や農機具の高騰で農家離れか 7日、茨城・河内町。2日後の田植えに向けて準備を行っていたコメ農家に実情を聞きました。高齢化が進む中、農機具の高騰などが農家離れにつながっているといいます。 ゆうゆう農園・山田浩之さん 「(稲刈りをする)コンバインという機械は、買うと2000万円くらい。6年後とか7年後を目安に(買い替えを)考えるんですけど、どうしようか考えて(コメ農家を)やめる人もいるんじゃないかと…」 こうした中でのコメ価格の高騰について、山田さんは「高すぎって思います。みなさんに食べていただきたいので、少しでも下がってほしいと思います」 ■専門家2人に聞く…今後のコメ価格は コメの価格について、2人の専門家に見通しを聞きました。日本国際学園大学の荒幡克己教授は、9月以降に新米が流通すれば5キロ3500円以下になると予想。宇都宮大学の松平尚也助教は、備蓄米が行き渡れば5キロ3500円になるとみています。 2人とも「今後3500円程度まで下がるものの、2000円台に戻ることはないだろう」と指摘しています。 ■首相、自民党に「価格対策」で指示 (自民党総裁の)石破首相は7日、同党に対してコメの価格対策を党としてまとめるよう指示しました。小野寺政調会長は「改善できるところがあるか党で議論していきたい」と強調しました。 (5月7日『news zero』より)