ジープ新型『コンパス』発表 デザイン一新、全長4.5mへ大型化 航続距離650kmのEVモデルも導入

人気SUVがフルモデルチェンジ ジープは、第3世代となる新型『コンパス』を発表した。大胆な新デザイン、高級感のあるキャビン、そして初めてEVモデルも導入された。 【画像】シンプルながらも存在感のある力強いデザイン【新型ジープ・コンパスを写真で見る】 全20枚 コンパスは2006年の初代の発売以来、世界中で250万台以上を売り上げている人気モデルだ。ジープの欧州部門責任者であるファビオ・カトーネ氏は、今回登場した最新世代について、「ジープの成長を牽引する重要なモデルになる」と期待を込める。 ジープ・コンパス ジープ 欧州ではオーダー受付中で、納車開始は秋を予定している。コンパスが属するC-SUVセグメントは、同地域における市場シェア全体の約4分の1を占め、2026年末までに90%が電動化されると予想されている。新型の投入はジープのシェア拡大に大きく貢献するだろう。 新型コンパスは、最新のシトロエンC5エアクロスやプジョー3008と同じSTLAミディアム・プラットフォームをベースに開発されている。しかし、ジープによると、このクラスで「最も有能」なクルマを目指し、特にオフロード性能を重視して設計されたという。 そのため、他ブランドの兄弟車よりもサスペンションが高くセットされ、最低地上高は200mm、最大渡河能力は470mmとなっている。また、前後オーバーハングを短縮し、アプローチアングル20度、ブレイクオーバーアングル15度、デパーチャーアングル26度を実現。全グレードに、さまざまな地形に対応したドライブモードが搭載されている。 全長4548mmと、先代モデルよりも150mm長くなったが、このプラットフォームを採用したモデルとしては短い部類に入る。ホイールベースは2795mmと、159mmも延長され、後部座席のレッグルームが55mm広くなった。 ミニマルだが存在感のあるデザイン 外観的にも先代モデルとはほとんど共通点がなく、小型のアベンジャーから影響を受け、ジープの伝統をさりげなく取り入れたデザインとなっている。 このデザインは、イタリアのトリノに拠点を置くデザイン部門が主導しつつ、世界各地のスタジオが共同で手掛けた。 ジープ・コンパス ジープ ステランティスのデザイン責任者、ラルフ・ギレス氏はAUTOCARの取材に対し、「トリノは、欧州のライフスタイルを象徴する都市の1つです。人々が駐車したり、物を踏んだりする様子は、まさに都会のジャングルそのものです。そのため、森で機能するものは都市でも機能します」と語っている。 同氏は「コンパスのようなアイコンを再設計する機会は滅多にありません」と付け加え、競争の激しいセグメントでモデルを際立たせる必要性を強調した。「数年前、コンパクトSUVはほとんど存在せず、ジープが唯一の選択肢でした。当然、多くの競合が参入し、わたし達を模倣していきました」 その点を踏まえ、ギルス氏がデザイン部門に出した指示は「タフで大胆に、しかし同時に『デトックス』効果も実現すること」というものだった。 新型コンパスでは、環境への配慮と見た目を「クリーン」にするために、クロームパーツを一切使用していない。全体的に以前よりボリューム感をもたせながら、ミニマルなデザインに仕上げている。 新しいフロントフェイスについて、ギルス氏は「ジープの新型車を開発する上で最も難しい部分の1つ」と語った。 インテリアも刷新され、10.0インチのデジタルメータークラスター、16.0インチのタッチスクリーン、その他数多くのタッチコントロールを採用した。 複数の電動パワートレインを設定 新型コンパスは、ジープとして初めてマイルドハイブリッド、プラグインハイブリッド(PHEV)、バッテリーEVの各種パワートレインを選択可能となる。カトーネ氏は、これにより「欧州のセグメント需要の90%に対応できる」と述べた。 内燃エンジン搭載モデルはいずれも前輪駆動だ。最高出力145psのマイルドハイブリッドモデルと、最高出力195psの1.6L PHEVモデルがある。後者は21kWhのバッテリーにより、エンジンを停止した状態で約85kmのEV走行が可能だ。 ジープ・コンパス ジープジープ・コンパス バッテリーEVモデルは、フロントに213psの電気モーターを搭載し、73kWhバッテリーで500km、96kWhバッテリーで最大650kmの航続距離を実現する。 最上位モデルは、四輪駆動のコンパス4xeだ。リアアクスルに180psのモーターを追加することで合計出力は375psに達し、STLAミディアム採用車としては欧州で最もパワフルなモデルとなっている。 このリアモーターはジープ専用に開発されたもので、23.5kg-mのトルクを発生し、14:1の減速ギアを介して後輪に伝達される。これにより、後輪に最大33kg-mのトルクを伝達でき、コンパス4xeは前輪にトラクションがなくても傾斜度20%の坂を登ることができる。 4xeではさらに、サスペンションを10mmリフトアップし、最低地上高を向上させ、27度のアプローチアングル、16度のブレークオーバーアングル、31度のディパーチャーアングルを実現している。 発売記念モデルのコンパス・ファースト・エディションの英国価格は、マイルドハイブリッドモデルが3万5700ポンド(約680万円)から、EVモデルが3万9200ポンド(約750万円)からとなっている。PHEVモデルの価格は後日発表される。 Q&A:ステランティスのチーフデザインオフィサー、ラルフ・ギレス氏 ——モジュール式でオンロード重視のグループ共有部品をジープのニーズに適合させるのは難しい? 「幸いなことに、ステランティスにとってジープがどれほど重要か、皆が理解しており、アーキテクチャーにはかなりの自由度があります。可能な限り大きなホイールを採用し、オーバーハングを若干減らすなど、わたし達は多くの交渉を重ねました。そのため、その能力はあらかじめ見込んでいました。このプラットフォームは、今後の複数の製品で確実に活用することができます」 ステランティスのデザインを統括するラルフ・ギレス氏 ——他のブランドが実用性を重視したデザインを売り出す中、ジープは独自のセールスポイントを失ったと感じるか? 「結局のところは『There’s only one(唯一無二)』、わたし達のキャッチフレーズですが、本当にそう信じています。ジープであれば、顧客がまさに求めるものを提供できるという自信があります。適切なイメージと適切な堅牢性を両立させる『スイートスポット』を見つけたのです」 ——ジープには80年の歴史がある。誰もがレトロを追求する中、デザインでその歴史をもっと活かせばいいのでは? 「それは既にやり尽くされています。わたし達がやる必要はありません。むしろ、今の方向性には誇りを持っています。より未来志向でタイムレスです。デザインは現代的ですが、控えめな美しさがあり、それが長く愛され、魅力を広げる要因になっていると思います」

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