【台北＝園田将嗣】台湾出身の歌手、テレサ・テン（蠟麗君＝本名・蠟麗筠）さんが急逝してから８日で３０年となるのを前に、テレサさんの兄で「財団法人 蠟麗君文教基金会」の蠟長富理事長が５日、台北で読売新聞のインタビューに応じた。 ホログラフィー技術で生前のテレサさんの姿を立体的に投影するコンサートを企画していることを明らかにした。 「ファンが現在もテレサの歌を愛してくれて光栄に思う」。蠟理事長は、１４歳でデビュー後に台湾や日本などで活躍し、「アジアの歌姫」と慕われた妹を懐かしんだ。テレサさんは１９９５年、旅行先のタイで気管支ぜんそくのため４２歳で亡くなった。 「日本での生活は大変つらいものだった」。蠟理事長によると、テレサさんは毎朝５時から２時間、日本語を学び、宣伝活動で全国を行脚した。「つぐない」「時の流れに身をまかせ」などのヒット曲で多くのファンを魅了した。 美しい歌声は中国でも愛された。当局は一時期、テレサさんの歌を「不健康」として規制したが、若者らは香港から持ち込まれたカセットテープを楽しんだ。 ８０年代後半に上海公演を計画したこともあったが、テレサさんは８９年の天安門事件を「中国が民主化しない限り、大陸には行かない」と批判し、生前の中国公演は実現しなかった。「没後３０年」となる今年は中国各地で記念コンサートが開かれるという。 蠟理事長は「テレサの歌を継承するため、持ち歌の１４７６曲を分類して発表したい」と意気込んでいる。
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