「脱サラ海外」NYで“おにぎり屋台”起業のワケ 日本の若い世代は“内向き”なのか?「海外で働く」という選択肢どう思う?【news23】

“働き方のイマ”に注目するシリーズ「work23」。第5弾は“海外で働く”という選択肢についてです。脱サラしてアメリカ・ニューヨークで、おにぎり店を起業した男性がいます。どんなきっかけがあったのでしょうか。 【写真で見る】NYで販売する1個約900円のおにぎり 「新たな挑戦」NYでおにぎり1個6ドル(約900円)で販売 アメリカ・ニューヨーク。 世界中から多くの人たちが夢や刺激を求めてやってきます。そんな賑やかな街角で、道行く人たちが足を止める一台のフードトラックがあります。 その名前は「musubin’(むすびん)」。 2024年5月に開業したニューヨーク初の“おにぎり屋台”です。現在は8種類のおにぎりを販売中で、人気のサーモンや明太子は1個6ドル、約900円。ニューヨークではお手頃価格のファストフードです。 客 「気に入っています。アジア料理は最高ですよ」 「お米の風味が大好き。自分には再現できない味です」 このお店を立ち上げたのは、加藤大暁さん、34歳。 加藤さんはもともと東京の大手警備会社で研究職をしていました。会社員時代に企業留学先のニューヨークで「高くて美味しくないおにぎり」を食べたことが起業したきっかけです。 musubin’ 加藤大暁さん 「カチコチになっちゃってて、ボロボロで崩れてしまう。結構残念な感じだったのでこれだったらもっと美味しいおにぎりを提供できるかなと思って始めた」 企業留学の費用の返済など「日本の会社を辞めることに対する心配はあった」といいますが… musubin’ 加藤さん 「日本でそのまま会社にいるよりは新しいことに挑戦しよう、面白そうだなと思ってアメリカに来た」 ——日本が嫌になったという感じではない? 「そうですね。住むのは絶対日本がいいかなと思うんですけど、ビジネスチャンスという面では、日本よりはアメリカの方があるのかな」 実は加藤さんは、三重県のコメ農家の出身。日本でおにぎり店を始める選択肢はなかったのでしょうか? musubin’ 加藤さん 「日本でビジネスとして成功させるために頑張る可能性は低い。100円であのクオリティのものを出そうとしたら、かなり利益が薄いんじゃないですか」 「日本はまだまだ薄利多売」という加藤さん。「海外の方がチャンスがある」と考えています。 とはいえ、ここはニューヨーク。簡単なことばかりではありません。 「強い心と強い体が必要」NYで店を構える大変さ musubin’ 加藤さん 「フードトラックの目の前で人が刺されてました。ピリピリした他の同業の人が『ここは俺の縄張りだぞ』みたいなことを言ってきたりするので、そういうのは慣れるまでは怖いかもしれない」 一番大変なのは同業者との「場所取り合戦」です。 ニューヨークのフードトラック業界は、エジプト人コミュニティを中心に回っているそうです。 エジプト出身 ホットドッグ店店主 「ほとんどのフードトラックがエジプト系だ。この仕事をするには様々なルールや規制があることを知る必要がある」 新参者が突然、店を構えれば様々なトラブルに発展する可能性もあるといいます。加藤さんはエジプト人の友人とタッグを組み、そのコミュニティに入っていくことで今のポジションを獲得したということです。 musubin’ 加藤さん 「めちゃくちゃたくさん壁があってなかなか一筋縄ではいかないんですけど、その分チャレンジする価値はあるかなと。強い心と強い体が必要です」 「アメリカン・ドリームではない」と謙遜しますが、おにぎりをニューヨークのスタンダードに押し上げるという大きな夢を追っています。 日本の若い世代は“内向き”? 小川彩佳キャスター: 15歳で起業されて中国をはじめ海外でビジネスを展開されている家本さんは、日本人が海外に出ていくということをどのようにお考えですか。 15歳で起業 家本賢太郎さん: 大賛成で、どんどん出て、どんどんチャレンジするべきだと思います。 日本にいても、会社が突然つぶれたり、M&Aで突然外資になるなども考えられますよね。体力・ライフステージが変化していく中でチャレンジできるタイミングはあるはずなので、早いうちにしたほうが良いと思います。 藤森祥平キャスター: 日本財団が2024年に実施した「18歳意識調査」では、「機会があれば留学や他国で就労をしてみたい」と思う割合は以下のようになりました。(調査対象:各国の17〜19歳男女) ・日本       52.8% ・アメリカ合衆国  71.5% ・中華人民共和国  72.6% ・大韓民国     79.3% 家本賢太郎さん: 実際には20ポイントの差がありますが、さらに「留学」「就業」したという人たちの数は、他国ともっとギャップがあると思います。 藤森キャスター: 他の国と比べて日本の若者は“やや内向き”とも感じられますが、どうでしょうか。 家本賢太郎さん: “内向きは”個人の課題ではなく、社会の責任ではないかと思います。 例えば、留学をするということに対しても「どういう風にすれば、高校から大学に留学できるか」「そもそもどういう選択肢があるのか」など、学校の先生や社会がどこまで伝えられているだろうか?と思います。 「返済できるのか心配だった」経済力・英語力 どう乗り越える? 藤森キャスター: おにぎりで挑戦した加藤さんはニューヨークで起業する際、「脱サラするためには、企業留学の費用を会社に返済する必要があった。その返済ができるのか心配だった」という不安があったそうです。 小川彩佳キャスター: 経済面や英語力など、さまざまな不安要素を抱えて決断できない方も多いと思いますが… 家本賢太郎さん: 実は、私は学校教育で英語を勉強したことがなくて、小学校6年生の時に病気になって中学校には、病気でずっと行けませんでした。 ところが海外で仕事をするタイミングがありました。今から20年ほど前にシンガポールの会社を買収する機会があったのですが、英語が喋れないまま買収をしました。シンガポールのシングリッシュ訛りを使ってうまく一緒にやらなきゃと思ったこともあったし、講演をしてくれと現地で言われてジョークを言わなければと思って必死に頑張ったけれど、全部滑ったこともありました。今思えば何を喋っていたのか…。 小川彩佳キャスター: 海外に出ていくことに向き・不向きがあると感じましたが、家本さんからどう見えますか? 家本賢太郎さん: むしろ日本で窮屈に感じていたり、あるいは観光に縛られて、ひょっとすると生きにくいかもしれない、もっと違うものを見てみたいと思う人たちこそ、早く海外でチャレンジをしてみる。ネットで調べたら出てくるので、ロールモデルをいろいろ見つけに行くために旅をして欲しいですね。格安航空会社はいくらでも安いのがありますからね。どんどん旅して欲しいですね。 小川キャスター: でも今の日本で十分生活していけるからこのままでもいいのではないかという気持ちの方ももちろんいらっしゃいますよね。海外に出ていくことが全てではないとは思いますけれども。 家本賢太郎さん: もちろん、それも当然だと思います。ただ、日本が経済的にずっと恵まれている状況のままなのか。相対的に見ると、外国と比べて日本が経済的に弱くなっているということについて知っておかないといけないですよね。後から知らされて「そうだった」と言ってももう遅いので、ちゃんと認識しておかなくてはいけないと思います。 ========== <プロフィール> 家本賢太郎さん 15歳で企業 8社を経営し中国でも事業展開 14歳で脳腫瘍に 3年間車いす生活

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