大阪万博からすぐ「さきしまコスモタワー」が詐欺同然の手口で落札…!?「血税26億円」をドブに捨てた維新・橋下徹時代から続く「恐るべき金銭トラブル」

取材・文/竹輪次郎(ジャーナリスト) ちくわ・じろう/民放テレビ局で20年以上にわたって報道企画に携わってきた記者・ディレクター。独自取材を信条として、性犯罪や経済事件を追い続ける 大盛況を見せている大阪万博。開催地近くには、府民の血税を闇に葬った男が運営していたホテルがあった。恐るべき「金銭トラブル」に迫る。 カジノ遊びに興じる「破産者」 3月下旬、韓国・仁川国際空港から2キロほどの距離にある高級リゾート「パラダイスシティ」。'17年にオープンしたこのリゾートには、外国人専用のカジノがある。 宮殿を模した入り口を通って中に入っていくと、真っ赤なカーペットにギラギラした照明が目に飛び込む。賭場はぎらついた目つきの日本人や中国人で賑々しい。フロアの奥、ハイレートのテーブルに、目的の男はいた。 表情ひとつ変えずバカラに興じている男の前には30枚ほどチップが積まれている。ディーラーによると1枚あたり1000万ウォンだという。日本円にして約100万円、総額約3000万円を賭けていることになる。周囲を見回しても、これほどチップを積む観光客はいない。 まるで大富豪かのようにカジノ遊びに興じているが、実はこの男は大阪府民の血税をドブに捨てさせた「破産者」なのだ—。 大阪府が回収できたのは3000万円のみ 大阪府と賃貸契約を結んだホテル運営会社が、総額26億円もの賃料を滞納。現在に至るまで、府は経営者の男から3000万円しか回収できていないことが明らかになった。 府が貸し出したのは大阪市内ベイエリアの人工島・咲洲にある「さきしまコスモタワー」内のオフィス区画だ。 「この建物は、入居率が低迷して運営元の第三セクターが破綻したため、'10年に橋下徹府知事(当時)が約85億円で購入しました。咲洲地区を活性化させるため、批判を押し切って府庁の一部オフィスを移転してビルを活用しようとしたのです」(大阪府庁の職員) ところが府庁を一部移転しても空室率の高い状態が続く。購入コストに見合うテナント収入が得られていなかった。 そこで大阪府は、より幅広い目的で建物を使えるよう、'17年に条例を改正して従来の用途制限を大幅に緩和する。事務所や店舗に限られていた用途が、ホテル経営などにまで拡大されたのだ。当時の府知事は、日本維新の会の元代表・松井一郎氏だった。 「コスモタワーが建つ咲洲は、大阪万博が行われている夢洲の隣。トンネルでつながっており、車なら5分の距離です。万博客や、万博後に建設が噂されているカジノ目当ての客を見込んでいたことは明らかです」(全国紙社会部記者) そのタイミングで、コスモタワーでのホテル事業に名乗りを上げたのが、「さきしまコスモタワーホテル開発」の誉田喜博氏(62歳)だった。冒頭、韓国のカジノで豪遊していた当人である。 賃料の滞納から訴訟に発展 誉田氏はビルの7階から17階をホテルの客室に改修し、「外国人観光客を呼び込む」と意気込んだ。 大阪府は審査を経て、誉田氏と20年間の賃貸契約を締結する。その後'19年1月にホテルは開業し、当初の稼働率は8〜9割と絶好調。同年4月には、維新の吉村洋文代表が府知事に就任した。 施設を誉田氏に貸している大阪府は、毎月3500万円のテナント料をホテルから得られる予定だった。だが、府の目論見は大きく外れ、事態は意外な展開をみせる。 開業から10ヵ月で早くも賃料の滞納が始まったのだ。次第に賃料だけでなく管理費すらも支払われなくなった。業を煮やした大阪府は'20年7月に契約解除を通知し、訴訟に踏み切る。 これに誉田氏は「エレベーターの騒音が酷いことを事前に知らされていない。契約に問題がある」と主張。開き直った末に建物に居座り続け、ホテルの営業を止めなかった。積もりに積もった家賃と管理費の滞納額は、26億円にまでのぼったというわけだ。 泉佐野のホテルも「破産状態」に追いやった 実は誉田氏は、今回と同じような「金銭トラブル」を起こした過去があるいわくつきの人物だ。'13年に彼は、大阪・泉佐野市で民間企業が建設したオフィスビルの一画を購入し、ホテルへと改装するプロジェクトに関与していた。一連の流れは「さきしまコスモタワーホテル」の運営と酷似する。 このホテルは「泉佐野センターホテル」と名付けられたが、開業からしばらくすると大阪府への税金滞納、銀行への返済遅延などで破産寸前となり、競売にかけられた。 競売になっている間もホテルの営業は続けていて、最後には誉田氏の息子の会社が落札している。これはどういうことなのか。誉田氏を知る人物が解説する。 「『飛ばし屋』と呼ばれる典型的な手口です。表向きの会社が債務や税金を滞納し、実質的な破産状態にします。こうして支払いを逃れたあと、別名義の関連会社が競売で物件を落札する。ホテルの事業を継続しながら、借金をチャラにする常套手段ですね」 【つづきを読む】後編『大阪万博のかたわらで…維新の会・吉村洋文がドブに捨てた「血税26億円」の行方』へ続く。 「週刊現代」2025年5月12日号より 【つづきを読む】大阪万博のかたわらで…維新の会・吉村洋文がドブに捨てた「血税26億円」の行方

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