2回目の日米関税交渉で、貿易赤字の解消などを突き付けるアメリカに対し、日本が交渉カードとしたのは、大豆などの農作物でした。農家はこの動きに、不安を募らせています。 【写真を見る】「国産大豆なくなる」日米関税交渉に不安募らせる農家 日本が交渉カードとしたのは大豆などの農作物【サンデーモーニング】 トランプ関税…2回目の日米交渉 大豆が交渉に?農家の不安は 赤沢亮正 経済再生担当大臣 「日本の自動車メーカーのある社は、1時間ごとに100万ドルずつ損が出ているという状況にあります」 5月2日、2回目の交渉を終え、改めてトランプ関税に危機感を示した赤沢大臣。 そんな日本側の足元を見るように、トランプ大統領はこう語っていました。 トランプ大統領 30日 News Nation電話出演 「私はあなたたちほど急いではいない。我々は優位な立場にある。彼らは私たちを求めているが、私たちは彼らを必要としていない」 2時間あまりに及ぶ閣僚級協議で、今回は米軍駐留経費などは議題に上らず、関税や貿易について話し合ったといいます。 赤沢大臣 「今回は、日米間で非常に突っ込んだ議論ができた」 今回、日本の交渉カードとして注目されたのが大豆。アメリカは世界第2位の大豆生産大国です。 これまでその大半を中国へ輸出。しかし、極端な高関税の応酬によって、中国との取引が止まる懸念があるなか、その分を日本が引き受けようというのです。 農産物の輸入には慎重な自民党・農水族の重鎮・森山幹事長も大豆については… 自民党 森山裕 幹事長 「大豆もわが国は輸入に頼っておりますし、協力ができることなのではないか」 確かに大豆の自給率は低い日本。生産者はどう見ているのでしょうか。 「国産が大豆なくなる」大豆農家の不安 大豆農家の石塚さん夫妻。大豆がアメリカとの交渉カードにされるのは、許せないといいます。 大豆農家 石塚晴香さん 「(大豆の輸入が)日本を守ることになるみたいに(政治家が)コメントしてる。なんなのって、そういう感じの心境です」 東京ドーム4つ分ほどの畑で、25トンほどの大豆を育てていますが価格は安定しません。 大豆農家 石塚さん 「我々ぐらいの規模感でも、もう数百万単位みたいな差とかが全然出ます。 大豆は博打だから」 大豆の生産量と価格を示したグラフ。生産量が少ない年は高値ですが、生産量が増えた年は急落していて、供給量によって値段の変動が激しいのです。 今、日本の大豆の自給率はわずか7%。アメリカからの輸入が増えて価格が下がれば、国産の農家はどうなるのかと、石塚さんは危惧しています。 大豆農家 石塚さん 「手間もかかるし、何か安定性がなくて、経営が成り立たないぐらい。だから大豆農家さんっていうのもどんどんいなくなって、国産大豆なくなるよなって」 影響を受けるのは農家だけではありません。 大豆からコメに切り替える農家も 日本の“伝統”どうなる? 創業100年を超える老舗の醤油メーカー「弓削多醤油」。一番のこだわりは原材料の大豆。すべて国産なのです。 大豆を蒸し、炒った小麦と塩を混ぜて、昔ながらの木の桶を使って熟成します。 アメリカ産大豆の輸入拡大が取りざたされ、国内の大豆農家に危機感も広がるなか、取引先の青森の大豆農家に電話すると… 弓削多醤油 弓削多洋一社長 「国内で大豆作ってらっしゃる人が、辞めちゃうんじゃないかって。えっ辞めてます?本当…」 青森ではすでに多くの農家が、見通しの立ちづらい大豆から、高騰するコメに生産を切り替えているといいます。 もし、大豆の輸入拡大が決まれば、さらに追い打ちをかけることになりかねない懸念があります。 弓削多醤油 弓削多洋一社長 「農家さんがすごく大変なことになるなと思っていたんだけど、一番大変なのは(国産)大豆を使ってる加工品業者じゃないかと、改めていま感じました。何とか国産大豆を守っていきたい」 日本の農家や伝統的な醤油づくりは、守られるのか。この先の交渉について石破総理は… 石破総理 「(アメリカとの)一致点というのは、見出せる状況には今のところなっていない。“ゆっくり急ぐ”ということなのであって、早ければいいというものではない」 今後、一致点を見出すための打開策は見つかるのでしょうか。