山本由伸の無双投球、背景に同僚の助言「自分の優れた才能を信じるべきだ」

昨季ポストシーズン初戦のKO後、キケがかけた言葉  メジャー2年目のシーズンで快進撃を続けるドジャースの山本由伸投手。7登板を終えて4勝2敗、防御率0.90と安定感抜群の投球を見せている。1年目よりも大きく進化を遂げた背景には、同僚の“キケ”ことエンリケ・ヘルナンデス内野手の助言が深く関わっていた。地元紙が、その舞台裏を詳細に報じている。  メジャー1年目の山本は18試合で7勝2敗、防御率3.00だった。実力の片鱗は見せたものの、途中で故障離脱があったほか、韓国で迎えたメジャー初登板やポストシーズン初戦では炎上するなど、12年総額3億2500万ドル(約470億8900万円)の大型契約としては評価が分かれる内容だった。  地元紙「ロサンゼルス・タイムズ」のジャック・ハリス記者は4月27日(日本時間28日)の記事で、山本が1年目の課題をどのように克服し、2年目の進化につなげたのかを取り上げた。その過程で、同僚のヘルナンデスの存在があったと指摘する。  昨年10月、パドレスとの地区シリーズ第1戦に先発登板した山本だったが、3回5失点で降板。ヘルナンデスは以前より、山本の潜在能力に確信を持っていたが、なぜ不本意な内容に終わってしまったのかを理解しようとしていたという。  その中で、ヘルナンデスは「真のメジャーリーグのスターが持つような自信に満ちた態度」や「自己主張の強い態度」が山本には欠けていると感じざるを得なかった。そのため、山本が地区シリーズ第1戦でKOされた後、1対1で会話する機会を設けた。 山本へ「自分の優れた才能を信じるべきだ」  その際、山本は打者に対してどのように自分の武器を使うべきか疑いを感じていたといい、ヘルナンデスは「彼は自分が投げる球にあまり自信を持っていないように感じたよ」と回顧。そして「そして彼は、ちょっと圧倒されているとも話していた」という。  日本で抜群の成績を残し、大型契約で入団した山本でも、メジャーでは新人。怪我の影響で先発登板が18試合に限られ、言語の壁があったことも、メジャーへの適応を妨げる要因だったとハリス記者は指摘する。  しかし、ヘルナンデスは1対1の面談で「自分の最高の持ち球を投げることに集中し、打席に誰が立とうとも、自分の優れた才能を信じるべきだ」とシンプルな助言を送った。ヘルナンデスはこの時のことを「彼が最高の力を発揮するためには、自分が投げる球に確信を持つ必要があるんだ」と振り返っている。  その言葉は山本に響いたようだった。地区シリーズ第5戦では先発し、5回無失点と好投。チームのリーグ優勝決定シリーズ進出に大きく貢献。先発投手が手薄だった中、その後もポストシーズンで好投は続け、ワールドシリーズ制覇を支えた。  その頃の山本を「まるで別人のようだった」とヘルナンデスは振り返る。自信をつけた山本の力強い投球は今年のスプリングトレーニングでも続き、開幕からの快進撃につながった。ミーティングでより積極的に発言するようになり、クラブハウスでの振る舞いにも自信を感じさせるようになったと、ハリス記者は述べている。  ヘルナンデスも「彼のボディランゲージや、今年の立ち居振る舞いを見ていると、以前よりも自信が格段に増しているのがわかるよ」とと語る。元々高い潜在能力を持っていた山本が、2年目で確かにつかんだ自信。メジャーでもトップを走る日本人右腕の快進撃は、仲間の言葉から生まれたものだった。(Full-Count編集部)

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