全国で書店の閉店が相次ぐ中、ブックオフや無印良品などさまざまな企業が街に書店を残そうという試みを行っています。 【写真を見る】書店ゼロの町に「本と出合える場所を」“異業種企業”が今あえて本屋さんを作るワケ【THE TIME,】 町の施設に「書店」併設でコストゼロに 「4〜5年は本屋に行っていない」 「アプリで漫画を読むようになったので本を買わなくなった」 電子書籍、ネット書店など時代の移り変わりから、年々減少する書店。 今や「書店の無い自治体」は493にものぼります。 人口約5800人の三重県・木曽岬町(きそさきちょう)も、この35年間書店がありませんでしたが、ついに書店ができたということで行ってみると… そこは、図書館。 その図書館の奥の一角に『ふるさとブックオフ』と書かれたのぼりが!付近の棚に並ぶ本を見てみると… 番組ディレクター: 「しっかり値札が貼ってあります。本当にブックオフの本なんですね」 実はここ、書店の無い自治体と、全国に834店舗を展開する総合リユース店大手の「ブックオフ」が協定を結び、“公共施設の一角を間借り”して展開している書店なのです。 本棚にはベストセラー小説から生活に役立つ本など、約4000冊の書籍が並んでいますが、図書館の蔵書との差別化を意識して半分以上を文庫本やマンガが占めています。 小4女子: 「週にほぼ1回くらい来る」 「友達と読んだりできるから嬉しい近いし良いなと思ってここで読んでいる」 図書館の向かいには小学校があり、夕方には授業を終えた子ども達も来店。 都心のブックオフ同様、買わずに立ち読みだけでもOKで、書店なのにイスだけでなく“こたつ”まで置いてあり、くつろぎながら本を読めるようになっています。 もちろん大人にも好評。 中には「図書館でチェックして、無いなと思ったらここで買う」(70代女性)という人もいて、長期的に使用するレシピ本や、手軽に持ち運びが出来る文庫本は特に人気があるといいます。 しかしなぜ、このような取り組みを始めたのでしょうか? 『ブックオフコーポレーション株式会社』伊神純一郎さん: 「実際に書店がない地域が年々増えている中で、特に子供たちが本であったり文化資本に気軽に触れられる場所が減っていることが問題。それは地方と都市で結構ギャップがある。そのギャップを埋めていきたいというのが一番の目的」 とはいえ、新規出店となるとコストがかなりかかってしまうため、“既存の施設の空きスペースを利用する”ところがポイント。 実際に店舗を作るのに比べ、初期投資に関しては「限りなくゼロに近くなるように設計している」(伊神さん)といいます。 また、図書館の中に書店を設けたことで予想外の相乗効果もあったといいます。 『木曽岬町役場』総務政策課 小島裕紹課長: 「図書館の中にブックオフがある珍しさもあって、他所の市町からも来ていただいて図書館の来館者も増えた」 無印良品では初の「ブックカフェ」も “書店の無い地域に本を届ける” その取り組みは、生活雑貨や食品がメイン商品の『無印良品』でも。 全国60の店舗では、書籍販売コーナー「MUJI BOOKS」を展開。 当初は暮らしに関する本だけを扱っていましたが、「本のジャンルを増やしてほしい」という要望に応え、今では一部店舗で、雑誌・小説・児童書など様々なジャンルを揃えています。 さらに、3月に開店した「無印良品 イオンモール橿原」(奈良県)には、約10万冊の本が並ぶ橿原書店とカフェが隣接した、無印良品初のブックカフェも併設しています。 『株式会社良品計画』MUJI BOOKS担当 小野真児さん: 「本に触れられる、出会える場所を色々な形で作っていきたい。“本って暮らしの中に必要だよね”って思ってもらえるような取り組みを今後もしていきたい」 コンビニで「書店」併設のワケ さらにコンビニ大手『ローソン』も、2021年から利便性の向上を目的にした書店併設型の店舗「LAWSONマチの本屋さん」を拡大中。 向ヶ丘遊園南店(神奈川・川崎市)では、約8000タイトルもの書籍が並びます。 書店のない地域への出店で、書籍と合わせてコンビニ商品の買い合わせを狙う他、他店との差別化も図れることもあり出店を拡大。現在、全国に14店舗を展開しています。 形を変えゆく書店。改めて“本のある暮らし”に目を向けるきっかけになりそうです。 (THE TIME,2025年4月29日放送より)