完全復活以上の活況 フジテレビの4月期ドラマに、旧ジャニーズ系(現STARTO ENTERTAINMENT所属)のアイドルが大量出演している。各ドラマの主要キャストにまんべんなくキャスティングされており、まるで“ジャニーズ祭り”の様相だ。 *** 【写真】ジャニー喜多川氏に“最も愛された二人” フジの新ドラマの出演者に、STARTO ENTERTAINMENT所属の面々がズラリと並んだ。 北川景子主演の「あなたを奪ったその日から」(月曜午後10時)にSnow Manの阿部亮平、「人事の人見」(火曜午後9時)にTravis Japanの松田元太、「パラレル夫婦 死んだ“僕と妻”の真実」(火曜午後11時)にHey! Say! JUMPの伊野尾慧(いのお・けい)とTravis Japanの松倉海斗、「Dr.アシュラ」(水曜午後10時)にAぇ!groupの佐野晶哉、「ミッドナイト屋台〜ラ・ボンノォ〜」(土曜午後11時40分)にWEST.の神山智洋とTravis Japanの中村海人といった具合である。 フジテレビ ジャニーズといえば、2023年3月にBBCドキュメンタリーが創業者の故ジャニー喜多川氏による性加害問題を放送したことをきっかけに、各テレビ局は旧ジャニ勢のタレントの出演を見送ってきた。だが、徐々に出演が再開され、NHKが同年9月から新規出演の起用に踏み切ったことで全面再開となった。 スポーツ紙記者がこう指摘する。 「かつてのテレビ局はジャニーズ系のタレントがいないと番組が作れない、とまで言われたほど頼りきっていました。性加害問題でいっせいに排除された時期はありましたが、いまや完全復活以上の活況です。旧ジャニのファンにとってはうれしい悲鳴でしょうが、業界内ではあまりの旧ジャニ頼みでドラマの質が低下している、とささやかれています。とくに、裏で『プロダクション行政に最も弱いテレビ局』と呼ばれているフジの、のめりこみぶりが目立ちます」 旧ジャニーズ系アイドルの大量起用は何もフジに限ったことではないが、問題はその人気へのあまりの偏重だ。 「4月期のフジの新ドラマで危険水域に入っているのが、Travis Japan松田元太が初めてドラマ単独主演を務める『人事の人見』です。松田といえば2023年6月放送のフジ系トーク番組『酒のツマミになる話』に出演した際、九九の6の段を聞かれると『ろくいちがろく、ろくにじゅうに、ろくさんにじゅうし、ろくしにじゅうご、ろくろくさんじゅうろく、ろくごにじゅうご』などと答えて爆笑を誘いました。それで話題となり、『ぽかぽか』『芸能人が本気で考えた!ドッキリGP』に加え、今回の『人事の人見』に大抜擢されたのです」 露骨な“松田推し” フジが“おバカキャラ”で大ブレークした松田に入れ込んでいるのは確かなようだ。例えば4月7日放送の「FNSドラマ対抗お宝映像アワード 2025春」。番組内では新作ドラマの紹介やハプニング映像、撮影の裏側などが紹介されたが、松田は特別扱いのように度々どアップで抜かれるなど露骨な“松田推し”が目立った。 「『人事の人見』はそんな松田の“おバカキャラ”全開のストーリーです。脚本家が松田にヒアリングしたうえで主人公のキャラを作り上げたのですが、その手法はどうなのか。脚本を最重要視するNetflixドラマとは正反対の方向性といえます。しかも、台本が1986年公開の豪コメディー映画『クロコダイル・ダンディー』のように古臭く、共演の鈴木保奈美や前田敦子はせりふを叫びっぱなし。初回から個人視聴率は3%台と伸び悩んでおり、TVerのお気に入り数も、『Dr.アシュラ』の57.4万を下回る52.0万とパッとしません」(前出のスポーツ紙記者) 低視聴率が続くと今後の単独主演に悪影響が及びそうだが、実はフジにとってはかっこうの言い訳が成り立つという。 「大卒予定者の採用の際、東大、京大、一橋大、早大、慶大などの指定学生が優先されるいわゆる“学歴フィルター”の問題がよく批判されます。これは採用活動の効率化を図るために、各企業の人事部が採用している手法。入社後、採用された学生の評判が良くない場合、人事部は『東大早慶なので活躍してもらえると思ったのですが……』と学歴フィルターをたてに言い訳ができます。 実はテレビ局にもこれは当てはまる部分があり、視聴率について局内で議論されたら制作サイドは『いや、STARTO ENTERTAINMENTのタレントさんですからもう少し視聴率イケるかな、と思いまして。ハハハ』などと言い訳できるという理屈です。フジのドラマが軒並み低調なのはこんな“旧ジャニフィルター”を持ち出す思考方法から抜け出せていないからでしょう。まるで旧ジャニ依存症のようです」(フジテレビ関係者) 松本若菜主演「Dr.アシュラ」に初期研修医役で出演しているAぇ!groupの佐野晶哉にも「絶叫型演技が悪目立ちしている」との声がある。そもそも同ドラマ自体、鈴木亮平主演で23年4月期に放送されたTBS系「TOKYO MER〜走る緊急救命室」と米倉涼子主演のテレビ朝日系「Doctor-X 外科医・大門未知子」シリーズを混ぜ合わせたような印象だ。 放送中の月9「続・続・最後から二番目の恋」のように“脚本ファースト”になることはあるのだろうか。 デイリー新潮編集部