5月1日昼すぎ、大阪市西成区の小学校のそばで、子ども7人が車にひかれる事件がありました。この事件について、神奈川県警で捜査一課長や交通部長を務めた鳴海達之さんが解説します。 ◇ 鈴江奈々キャスター 「当初は事故とみられていましたが、捜査一課が加わり捜査を始め、殺人未遂の疑いで東京都東村山市在住の無職・矢沢勇希容疑者(28)を逮捕しました。殺人未遂の疑いで逮捕に至ったというところ、どのようにみていますか?」 元神奈川県警捜査一課長 鳴海達之氏 「通常であれば交通事故で処理されるとは思うのですが、交通事故はいわゆる過失犯です。自動車を運転してなにか不注意があって小学生たちをひいてしまったということですが、刑事事件であるということは、故意犯だということです。あえて車を小学生たちに衝突させて殺そうとしたという疑いが濃厚なので、それで捜査一課が入って捜査を始める形になったのだろうと思います」 鈴江キャスター 「逮捕された男が『全てが嫌になったから人を殺そうとして車で突っ込んだ』などと話しているということです。こういった供述からもやはり、故意に事故を起こしたということが考えられますね」 元神奈川県警捜査一課長 鳴海達之氏 「そうですね。おっしゃる通りです。目撃者の話からしても、あえて小学生たちに車を向けて向かっているわけですから、車を運転する者であれば、車を衝突させればどういう結果が生まれるのかわかっていることですから、当然そこには未必の故意というものがあるわけで、間違いなく殺すつもりで車を衝突させたんだということがわかります」 鈴江キャスター 「目撃者によると、『車がくねくねとした動き』『子どもたちを引きずるように進んだ』という情報があります。また、車に乗っていた運転手の男はその後しばらく車から降りず、先生たちに引きずり出されるように車を降りた、マスクをした男性で放心状態だった、という目撃情報もあります。こういった情報から矢沢容疑者がどういう状態だったことが考えられますか?」 元神奈川県警捜査一課長 鳴海達之氏 「犯行場所自体は狭い道路で、大きい乗用車を使っていることからすれば、なかなか逃げ道がないところなので、容易に人に車をぶつけることは可能だということです」 「では、ここを最初から狙っていたかというと、ちょっとそこは言い切れない部分があると私は考えます。周りの道路を見ても、ここだけ狭くてたまたま小学生がいたから、誰でもいいやということで狙ってやったのかもしれない。ある意味、通り魔的な犯行なのかと私は思っています」 「全てが嫌になって誰でもいいんだということを被疑者が供述していますから、特に小学生だけを狙ったというわけではないのかなという感じは受けます」 鈴江キャスター 「今後の捜査のポイント、そして小学生が歩く道で起きてしまった事件ということで、交通対策としてはどんなことが求められると考えますか?」 元神奈川県警捜査一課長 鳴海達之氏 「『ゾーン30』など、学校の周辺には時速30キロで走りなさいというゾーンもあるのですが、こういう狭いところだと監視員もそんなにいない。交通の監視をされている人もほとんどがボランティアが多く、その人たちの協力がなければ、いつもの交通安全は成り立っていかないというのが現状です。協力していただける方がいれば、見回りに立っていただきたいという思いがあります」 鈴江キャスター 「28歳の矢沢容疑者が殺人未遂の疑いで逮捕されましたが、今後の捜査のポイントはどこになるでしょうか?」 元神奈川県警捜査一課長 鳴海達之氏 「この車をなんのために借りたのか、なぜ大阪に来て犯行をしたのか、いろいろな疑問点がまだたくさんあるので、その疑問をひとつひとつ解消していけば、犯行に至った動機が出てくると思います。細かい疑問を解いていくことが一番大事だと思います」 鈴江キャスター 「今回、事件を起こした車が『わナンバー』でレンタカーだったということで、そのポイント、さらには東京都東村山市在住でなぜ大阪で事件を起こしたのか、というところがポイントですね」