トランプ大統領「日本人はアメ車を買わない!」のウラで…バンス副大統領は「人生で初めて買った車はホンダのシビック」と告白していた

 第1回【「トランプ大統領」が日本に難癖つけるも「アメリカ人すらアメ車を買わない」不都合な真実…米国内のアメ車販売シェアは“過半数割れ”との声】からの続き──。トランプ大統領が「日本ではアメリカ車を排除するため、ボウリングのボールを高さ20フィート(約6メートル)の高さから落とすテストをしている」と事実無根の言いがかりを付けたことは日本でも大きく報じられた。(全2回の第2回)  *** 【写真を見る】強権発動し続けるトランプ大統領の切り札は「美し過ぎる司法長官」…2度の結婚を経て現在は同棲中  トランプ大統領は「アメリカ車は日本市場から不当に排除されている」と主張している。確かにアメリカ車が日本で売れていないのは事実だろう。だが、アメリカ車はアメリカ国内でも売れているわけではない。 トランプ大統領の右腕となったバンス副大統領  アメリカの消費者はアメリカの車を熱烈に支持しているわけではないのだ。燃費や性能の問題は大きい。にもかかわらず、トランプ大統領は無理矢理にアメリカ車を日本人に買わせようとしている。  では、ここでアメリカのバンス副大統領に登場していただこう。彼が社会人になって初めて乗用車を買った時、一体、どこの国のメーカーを選んだのだろうか。  答えをお伝えする前に、バンス副大統領の生い立ちについて触れておきたい。彼は1984年、オハイオ州のバトラー郡にあるミドルタウンという小さな街に生まれた。2020年現在、人口は約5万人だという。  製鉄で栄えた“企業城下町”だったが、70年代にアメリカの製造業は壊滅状態となる。そのためミドルタウンは現在、典型的な“ラストベルト”の地方都市だと言える。  日本語では「さび付いた工業地帯」と訳される。街には貧困、暴力、窃盗、薬物汚染が蔓延しており、住民のモラル低下は著しい。 子供の尿を必要とする母親  バンス副大統領も貧困家庭に生まれ育ち、幼い時に両親は離婚。母親は睡眠薬などの処方薬に依存し、次々に男性と交際した。そのうちの何人かとは再婚したが、短期間で離婚してしまうという極めて不安定な家庭環境だった。  その苛酷な人生は自伝『ヒルビリー・エレジー アメリカの繁栄から取り残された白人たち』(光文社)に詳しく描かれている。  何しろ母親が薬物検査で陽性反応が出ることを恐れ、息子に「クリーンな尿をくれないか」と頼むような生活なのだ。精神的な安定からは遠く、バンス副大統領は地元の高校をドロップアウトする寸前だったという。  だがバンス副大統領には裕福ではないものの、それなりに安定した日々を送る祖父母がすぐ近くに住んでいた。ただし祖父母の生活も“普通”という概念からは遠い。  特に祖母は良くも悪くも出色の存在だ。ヘビー・スモーカーで常に銃を手元に置き、独自の信仰心と信念を持ちながら、たくましく悪口雑言を吐きながら生きる。読者は強い印象を受けるだろう。  母ではなく祖父母の家に住むことでバンス副大統領は静かな日常生活を手に入れた。学業を立て直すことにも成功し、SAT(大学進学適性試験)で高得点を得る。 海兵隊を選んだ副大統領  貧困層を対象とする奨学金を利用し、バンス副大統領はオハイオ州立大学に進学することを一度は決断した。しかし「普通の人生」を知らない不安から、大学生として一人暮らしができるか自信が持てない。  何しろミドルタウンで多数派を占める貧困層は食生活ならジャンクフードが中心、炭酸飲料の飲み過ぎで歯はボロボロ、勤労意欲が低いため簡単なバイトも休みがちで、家計は借金だらけだ。我が子にクリスマスプレゼントを購入するため、犯罪で金を得ようとする両親も決して珍しくない。  そこでバンス副大統領は高校を卒業後、海兵隊に入隊することを決める。大学の学費を自分で稼ぐという目的もあったが、何よりも普通で健全な日常生活を送れる社会人になりたかったのだ。  結論を先に言えば、副大統領の判断は正しかった。規則正しい生活、栄養バランスの取れた食事。海兵隊員として仕事に従事することで、貧困と虐待で著しく低下していた自己肯定感を取り戻すことに成功した。一人の社会人として普通に生きていけることを学んだのだ。 「彼の自伝で興味深いのは、海兵隊では新兵のため給与をバランス良く使う家計管理や、貯金や投資の意味を教える授業も用意されていることです。自伝によると初任給は1500ドル(約21万円)。すぐに先輩の隊員がバンス副大統領を海軍の信用金庫に連れて行き、口座を作ってくれたと回想しています。海兵隊は民間企業とは異なり、勤務時間が終わっても身だしなみや部屋を清潔にしているか上官がチェックします。バンス副大統領の母親は育児放棄も日常的だったので、プライベートに積極的に介入し、規律を守らせる海兵隊の伝統に自伝で感謝しています」(同・記者) BMWからホンダへ  初任給を預金する銀行口座でさえ先輩が指導してくれるのだ。海兵隊に入って初めて車を買う時も同じだった。自伝の該当部分をご紹介しよう。 《初めて車を買いに行ったときも、上官が年長の隊員を指導役として私に同行させたので、本当はBMWが欲しかったのに、実用的なトヨタやホンダといった車に落ち着くことになった》 《23歳の誕生日の数日後、私は人生初の大きな買い物をした。手に入れた中古のホンダ・シビックに乗り込み、除隊書類とともに、ノースカロライナ州チェリーポイントからオハイオ州ミドルタウンまでの最後の家路についた》(関根光弘・山田文訳)  バンス副大統領が生まれて初めて買った車のメーカーはホンダだった。しかも、最初に思い描いていたのはBMWであり、それを上官が日本車に変えるよう説得したのだ。バンス副大統領も上官も、アメリカ車を全く想定していないというのは衝撃的な事実だろう。 「アメリカでレンタカーを借りた人から面白い話を聞いたことがあります。大手のハーツに行くと、何かのキャンペーンでアメ車から日本車への“アップグレード”が期間限定で無料、と大々的に宣伝されていたそうです。どれだけアメリカで日本車が人気かよく分かるわけですが、トランプ大統領が関税で脅迫し、日本にアメ車の購入を要求するのは全くの反則技です。とはいえ、トランプ大統領を擁護するわけではありませんが、裏ワザを使わなければアメ車を日本人に買ってもらうのは不可能、ということなのかもしれません」(同・記者)  第1回【「トランプ大統領」が日本に難癖つけるも「アメリカ人すらアメ車を買わない」不都合な真実…米国内のアメ車販売シェアは“過半数割れ”との声】では、アメリカ車がアメリカ国内でも売れていない事実を、2023年の販売シェアから明らかにしている──。 デイリー新潮編集部

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