今年のGWは旅行に行く? 円安、激混み、物価高… 「行かない」が8割のリアル

 4月25日から5月7日までのGW期間中に旅行をする人は前年比6・9%減、国内旅行は7・2%減——。JTBがまとめた旅行動向で、こんな実態が明らかになった。どこへ行ってもオーバーツーリズムで、と嘆く向きもあるうえ、曜日の並びもあまり良くない面もあり、旅行する人は全体の2割にとどまる。せっかくのGWに気軽に旅行もできないほど、日本人は貧乏になったのか? 【画像】暑くなる前に訪れたい…GW「穴場の城」 GWに旅行に行く人は20・9%に留まる  JTBが発表した「2025年ゴールデンウィークの旅行動向」によると、総旅行者数は前年比6・9%減の2,345万人で、うち国内旅行が同7・2%減の2,290万人。国内旅行の平均費用は3万6,600円と前年に比べ1・4%増加したものの、国内旅行の全体の消費額は8,381億円で前年を6・0%下回った。 「混雑するから」「旅行費用が高いから」「家計に余裕がない」という理由で…  JTBの分析によると「物価高騰や家計の事情、混雑を避けて旅行時期をずらす傾向」が旅行者減につながったとみられる一方で、平均旅行費用が「物価高などの影響で微増」となったという。国内旅行者数はコロナ禍以前と比べると2014年以来の水準に回復。平均旅行費用は4万円前後が続いた後に急落した2009年(3万6,900円)に次ぐ水準だ。  4月25日〜5月7日に旅行へ行くかどうかを尋ねた設問では、「行く」「たぶん行く」と答えた人が、前年から5・6ポイントも減少し、全体の20・9%となった。JTBの調査は今回から対象期間が拡大したが、前年までと同じ4月25日〜5月5日を対象とすると、「行く」「たぶん行く」の合計は18・7%となり、前年比7・8ポイント減と大きく落ち込んだ。行かない理由は「GWは混雑するから」が最多の45・9%だが、「GWは旅行費用が高いから」「家計に余裕がないので」という理由がそれぞれ34・6%、25・9%で続いた。家計の厳しさが増していることが如実に表れている。 「性年代別でみると、すべての世代で旅行意欲が前年よりも低下しています」(JTB)  元来、旅行意欲の高いとみられる若年層も、男性では29歳以下で33・9%と前年比6・6ポイント減、女性の29歳以下も同8・2ポイント減の31・5%と旅行離れは深刻だ。 旅行に行く人でさえも……  一方、旅行へ出掛ける人の傾向も、物価高が影を落とす。旅行へ行くと応えた1,846人を対象にした調査では、「昨年同時期に比べて、お出かけや外出する頻度を減らす」とした人が1・1ポイント増の5・7%に。「頻度を増やす」とした人は2・1ポイント減の8・1%に。また「ガソリン代が高いので車の利用は控えたい」という人も0・5ポイント増の4・9%、「ガソリン代に関係なく車を利用したい」人は1・6ポイント減の15・1%という結果が出た。  にもかかわらず、平均旅行費用が前年を上回っているのは、いわゆるインバウンドの増加によるオーバーツーリズムで、ホテルの宿泊代などが上昇していることなどが背景にあるとみられる。実際、「旅行先を選んだ理由」として「観光客などで混雑してなさそうだから」というものが、前年比0・9ポイント増の7・9%となるなど、オーバーツーリズムに辟易していることも読み取れるような回答が増えているのが現状だ。  インバウンドの増加の一因ともなっているのが、過度な円安だが、「旅行先を選んだ理由」の中では「円安などの影響を受けて、旅行先を海外から国内に変更した」とする回答も4・4%(前年段階はこの項目がないため、前年との比較なし)あり、旅行を楽しむことができる層の中でも、物価高や円安が一定程度の影響を及ぼしている姿が浮き彫りとなった。 GWでなくとも旅行は行けない?  2025年のGWは、土日と祝日がうまく繋がらず、連休としてはやや使いづらい日程になっている。とはいえ来年以降の日本の旅行動向についても決して明るい見通しではない。 「今の自身の生活とGWの旅行について当てはまる状況を聞いたところ、家計の厳しい状況がうかがえます。その影響もあってか、節約志向が明確に示される結果となりました」(JTB)  具体的には、1万人を対象にしたアンケートで「仕事や会社の業績が良化し収入が増えそうだ」という人は0・3ポイント減の7・2%、逆に「減りそうだ」という人は0・9ポイント増の14・5%に。「家計に余裕がある」は0・9ポイント減の4・1%、「余裕がない」は1・1ポイント増の25・7%。「趣味や旅行などにかける費用を減らしている」人は1・5ポイント増の18・1%で、「減らしていない」人(0・4ポイント減の6・7%)を大きく上回る。先行きが見通しづらい中で「大きな支出は控えておきたい」とする人が1・3ポイント増の18・1%となるなど、旅行をする余裕が削がれている現状が浮き彫りになっている。 逆資産効果も… 「インバウンドで価格がつりあがっているからなあ」 「円安になって、インバウンドはじゃぶじゃぶ金を出すから」 「GW期間中は貧乏旅行もおいそれとできやしない」 「人ごみに出掛けたくないし、物価は高いし」 「何よりホテルが高すぎる。インバウンドの影響に引くわ!」  こうした声がネットやSNS上では散見される。インバウンドによる一定の効果はあるにせよ、普段でさえ混みあっている観光地へ、連休中に出掛けるのを避けるのは無理からぬ行動かもしれない。  経済アナリストの森永康平さんは、これらのJTBの調査結果について、 「やはり物価高騰によって家計がダメージを負う中で、(巷間言われる)インバウンドによるホテル価格の上昇が原因の1つだと考えます」  と指摘。さらに、 「3月下旬から株式市場が下がったこともあり、逆資産効果が働いた可能性もあったのかと考えています」  SNSなどで見られる叫びは、これからの日本でさらに広がっていくことになるかもしれない。 デイリー新潮編集部

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