輸入車の「簡略審査枠」、政府が倍増検討…非関税障壁を主張するトランプ氏へアピール

 政府は、米国との関税交渉で、輸入自動車の安全審査に関する手続きを簡略化する優遇措置「輸入自動車特別取扱制度(PHP)」の制限台数の上限を増やす案を提示する方向で検討に入った。  トランプ米大統領が安全基準といった非関税障壁を問題視していることを考慮した。北極圏への進出などで重要性が増す砕氷船の造船技術での協力も打診する方向だ。  複数の政府関係者が明らかにした。政府は、米国産のトウモロコシと大豆の輸入拡大案などとあわせたパッケージで米側に示し、米国による関税措置の見直しにつなげたい考えだ。赤沢経済再生相が30日にも訪米し、ベッセント財務長官らとの協議でパッケージ案を説明する見通しだ。  PHPを利用すると、通常の審査に必要な提出書類が簡略化され、車両を使った審査などの一部手続きも免除される。メーカーにとっては検査期間を短縮できる利点があるが、年間の輸入台数は1車種あたり5000台までに制限されている。制限台数はかつて2000台だったが、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加に向けた日米事前協議で2013年に5000台に引き上げられた。  5000台の制限台数の引き上げ幅は、米側との協議を踏まえつつ今後詰めるが、政府内では、倍増させる案が出ている。  実現すれば、制度上は米国車の日本での販売がしやすくなる面があり、米国車の輸出拡大にこだわるトランプ氏にアピールしたい考えだ。現行制度の対象拡大のため、日本国内での理解も得やすいとの利点もある。  水面に張った氷を砕きながら航行できる砕氷船の造船を巡る日米協力も、トランプ氏の関心に沿う提案として検討されている。トランプ氏は資源開発などを念頭に北極圏進出への意欲を強めているが、米国の砕氷船の造船技術はロシアなどに後れを取っているとされる。日米協力が促進されれば、日本にも利益となる案件になりそうだ。  このほか、日本政府は米国産のコメの輸入拡大案も検討している。米側の出方を見極めつつ、交渉カードに用いる方針だ。

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