【天皇賞・春】ブローザホーン95点 430キロ前後でも立派なキ甲と首差し 心身ともに昨年から一変!

 ◇鈴木康弘氏「達眼」馬体診断  競馬界の“小さな巨人”が盾決戦のヒーローだ。鈴木康弘元調教師(81)がG1有力候補の馬体を診断する「達眼」。第171回天皇賞・春(5月4日、京都)ではブローザホーンをトップ指名した。わずか430キロ前後の小さな馬体から達眼が捉えたのは昨年とは一変した立ち姿と雄大なキ甲(首と背中の間の膨らみ)。山椒(さんしょう)は小粒でもピリリと辛い…のことわざを体現した競走馬が昨年の宝塚記念に続くG1タイトルをつかむ勢いだ。  行楽客でにぎわう筑波山にはゴールデンウイークを待ちかねたように黄色い小花が咲き始めました。初夏に旬を迎える花山椒。雄花のつぼみは直径3ミリ程度でも香りが良いので吸い物に入れます。辛みがあるので焼き魚の薬味にも加えます。花山椒は小粒でもピリリと辛い初夏の風物詩。ブローザホーンの小粒な体も初夏を迎えてピリッとしてきました。  430キロ前後の馬体には不釣り合いな立派なキ甲。筑波山の男体山のように力強くせり上がっています。首差しもたくましい。馬はキ甲で重量を背負い、首差しで後肢のパワーを全身運動に換えます。G1舞台で58キロの重量を背負って500キロ超の大型馬と互角に渡り合えるのはこのキ甲と首差しのおかげです。  前後肢の筋肉は小さくても非常に柔らかく映る。短距離馬の瞬発力を生み出す強大な筋肉ではなく、疲れのたまりづらい柔軟な筋肉。長距離戦ではこういうソフトな筋肉が威力を発揮するのです。  山椒は四季の移ろいによって風味が変化するものですが、この山椒馬も昨年から大きな変化を遂げた。昨年の有馬記念(12着)時には「全身の毛が長く、腹周りが細く映る」と辛口にコメントしましたが、今回は全身に伸びていた冬毛が奇麗に抜けて抜群の毛ヅヤです。細かった腹周りもふっくらしています。  変わったのは体だけではありません。昨春の天皇賞・春(2着)時には「立ち姿に力みが目立っている」と辛口評価しましたが、今春はとてもリラックスしている。こんなふうに落ち着き払っていれば、長距離戦のゆったりした流れにも力まず対応できるでしょう。  前後肢の筋肉の上には血管がうっすらと浮き出ています。過去のG1馬体写真には見られなかった。薄い皮膚を持つ馬が鍛え込まれると、こういう血管が写るのです。状態もすこぶる良い。昨年の宝塚記念に続くG1タイトルを狙える状態になりました。  小さな巨人といえば、「巨人の星」の星飛雄馬や「ドカベン」の里中智。実在の投手ならヤクルトスワローズの石川雅規でしょうか。競走馬になぞらえるなら、93年に天皇賞・春の最低体重勝利記録(430キロ)をつくったライスシャワー。ブローザホーンも同じぐらいの体重で盾本番を迎えます。旬を迎えた花山椒のように初夏のターフに咲き誇る競馬界の“小さな巨人”です。 (NHK解説者)  ◇鈴木 康弘(すずき・やすひろ)1944年(昭19)4月19日生まれ、東京都出身の81歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70〜72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許取得、東京競馬場で開業。94〜04年に日本調教師会会長。JRA通算795勝。重賞27勝。19年春、厩舎関係者5人目となる旭日章を受章。

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