永田町の「大型連休」の風物詩閣僚の“外遊ラッシュ”。今年は例年になく、出発前から物議を醸しています。その理由とは? 【写真で見る】外遊は「不急だ」と反対する立憲・笠国対委員長 閣僚の“外遊ラッシュ”なぜGWに? 高柳光希キャスター: このゴールデンウイークは石破総理に加えて、閣僚19人のうち14人が外遊へと向う“外遊ラッシュ”となっています。例年と比べてどうなのでしょうか。 TBS報道局 政治部 橋口由侍 記者: 例年GWの大型連休の期間は、今年と同じくらいの人数の閣僚が外遊していますので、今年が特別、多いというわけではありません。 高柳キャスター: GWではなく、夏休みや冬休みではダメなのでしょうか? TBS報道局 政治部 橋口 記者: 通常国会は1月にスタートして、会期の延長がなければ6月の下旬までです。その間、閣僚は委員会への出席を求められていて、まとまった休み・日程が取りにくい状況です。 また、休日の合間の平日も国会日程が少ないことが、行けるタイミングの理由になっています。 夏季休暇などで衆参の委員会では議員団がメンバーを組んで海外に行くこともありますが、閣僚は、夏季休暇は地元に戻って盆踊りなどへの参加し、普段できない政治活動で地盤固めをするため、GWが(外遊に)好まれる傾向にあると言えます。 “外遊”ラッシュに異例の苦言 外遊先はどう決まる? 高柳キャスター: “外遊ラッシュ”に苦言を呈す人もいます。 立憲民主党 笠 国対委員長 「物価高対策やトランプ関税に専念すべき」 公明党 山口 元代表 「過半数の閣僚が国内にとどまるべき」 総理を含めて同じ期間に14人の閣僚がいなくなるわけではありませんが、何か起きたらどうするのでしょうか。 TBS報道局 政治部 橋口 記者: 笠氏も山口氏も最もな指摘だと思いますが、政府は問題が起きないように体制を整えています。総理が不在のときには「内閣官房長官」、大臣が不在のときには「副大臣」が、代理で対応することにしています。 トップが外遊中だからといって、行政が止まるわけではありませんが、こうした懸念を払拭するためには、外遊に見合う成果が必要になります。 井上貴博キャスター: もちろん、19人中14人は多すぎだという声はありますが、一方で、日本は国会に縛られすぎていて、「国会期間中に大臣が全く身動きできないのはどうなのか」という意見もあります。必要な仕事なのであれば(外遊に)行って良いのではないかと感じます。 スポーツ心理学者(博士) 田中ウルヴェ京さん: 何のために行くかという根拠はあるはずです。課題の解決のために、他国に対面で行かなければならない理由があれば、(その外遊は)とても大事なことだと思います。 研究者であっても、国の助成金などで海外視察に行く際には、▼なぜオンラインではなく対面なのか、▼何の役割なのかを示さなければいけません。(国から)お金を貰って行く根拠が必要になるということですね。 出水麻衣キャスター: 外遊先はどうやって決まっているのでしょうか。 TBS報道局 政治部 橋口 記者: 例えば、▼赤沢経済再生担当大臣は日米関税交渉のためにアメリカへ、▼加藤財務大臣はアジア開発銀行の年次総会への出席のためにイタリアへ行くことになっています。 このように、喫緊の課題の交渉や、国際会議への出席が主な目的となっています。 「コストに見合う成果を」“外遊”めぐる問題、過去にも 高柳キャスター: 過去にも、国会議員の外遊をめぐる問題が話題にもなりました。 2023年、当時・自民党女性局長を務めていた自民党・松川るい参院議員は、3泊5日でフランス研修に行っていました。エッフェル塔の前でポーズを取った写真をSNSに投稿して、「まるで観光旅行のようだ」などと物議を醸しました。 国会議員の外遊の不透明性も問題になっていると思いますが、費用や成果の報告についてはどうなっているのでしょうか。 TBS報道局 政治部 橋口 記者: 大まかに3つに分けられると思います。 ▼閣僚や総理の場合、費用は公費で賄われ、メディアの同行取材などで内容が明らかになります。 ▼国会の議員団の場合も、費用は公費で賄われ、衆参のHPでの公開など報告の義務があります。 ▼議連・個人の場合、費用は党費で支援するケースもありますが、基本的には自己負担で、報告の義務はありません。そのためホームページ等での発信以外に資料がないということになっています。 国会の議員団の公費には予算がついています。今年度の海外渡航予算総額は、衆議院で約2億7000万円、参議院は約1億2700万円となっています。 議員の“外遊” 必要なのは… 高柳キャスター: 予算や報告義務もさまざまですが、外遊とはどうあるべきなんでしょうか。 TBS報道局 政治部 橋口 記者: 必要なのは「コストに見合う成果を出すこと」、「議員からの情報発信」の2つです。 現地に行かないとわからないこともたくさんありますから、海外視察自体が悪いことではありませんが、税金を使う場合には、コストに見合う仕事をしたと、きちんと説明しなければなりません。 一部からは、物価高で国民の生活が大変なときに「海外旅行に行っていいな」という指摘もありますから、外遊の仕事を国民に理解してもらう必要性があると思います。 スポーツ心理学者(博士) 田中さん: 何をしたかということは知りたいですよね。 ========== <プロフィール> 橋口由侍 TBS報道局政治部 与党キャップ 総理官邸・外務省・防衛省などを取材 田中ウルヴェ 京さん スポーツ心理学者(博士) 五輪メダリスト慶應義塾大学特任准教授 こころの学びコミュニティ「iMiA(イミア)」主宰