月9が月9をイジる…Netflix礼賛&歴代タイトルのパロディー “自虐脚本”に怪作の予感

「続・続・最後から二番目の恋」  俳優の小泉今日子(59)と中井貴一(63)がダブル主演を務めるフジテレビの新月9ドラマ「続・続・最後から二番目の恋」の初回(14日放送)が世帯平均視聴率9.4%、個人平均視聴率5.5%、(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録し話題となっている。  *** 【写真】「神回」「スゴイ!」と驚きの声…NHKに登場したキョンキョン、大物歌手との2ショットも  低迷が続く月9の個人平均視聴率では2023年4月期の「風間公親−教場0−」の7.2%以来、2年ぶりに5%超えを達成。好発進から1週間後の第2回(21日放送)は世帯8.4%、個人4.8%とやや下がったものの、低迷が続いたこれまでの月9の歴史を振り返れば上出来の数字といえる。 小泉今日子  連続ドラマをウォッチングしている放送ライターがこう解説する。 「『最後から二番目の恋』は小泉演じるテレビ局プロデューサーの吉野千明と、中井演じる鎌倉市役所勤務の公務員・長倉和平の恋と人生を描いたロマンチック&ホームコメディーです。脚本は岡田惠和氏が担当。2012年に『最後から二番目の恋』とスペシャル版の『最後から二番目の恋2012秋』が放送され、2014年には『続・最後から二番目の恋』が放送されました。 『続・続』はそれから11年後の2人を描いています。シリーズ3作にわたり出演する坂口憲二(49)、内田有紀(49)、飯島直子(57)ら豪華キャストも健在です。とくに難病を公表した坂口は、2014年の『続・最後から二番目の恋』以来11年ぶりの連ドラレギュラー出演となり話題を呼んでいます。主題歌を3作連続で浜崎あゆみ(46)が担当していることもシリーズの歴史を感じさせます」  2012年放送の初編は古都・鎌倉を舞台に、45歳独身女性(小泉)と50歳独身男性(中井)が繰り広げる大人の青春ドラマという設定だった。14年放送の続編では、2人のその後を描いている。いずれも木曜劇場の枠だったが、シリーズ3作目の今回は月9枠へ移動した。小泉と中井は1995年の月9「まだ恋は始まらない」で共演しており、この際も岡田氏が脚本を担当している。こういった事情から同局は編成的なインパクトを狙って「木曜」から「月曜」への枠移動に踏み切ったのだろう。  ただ、この枠移動によって思わぬ“ハプニング”が劇中で勃発している。例えば初回に登場したテレビ局プロデューサーの千明(小泉)のせりふ。千明は定年を控えた社員セミナーに参加し「やっぱ考えちゃうよね。あたし、この後どうなっていくんだろうってさ」と還暦後の仕事に不安を隠さず。  さらには、「配信とかやりたいよね。なんでNetflixは私を誘わないのかね?」とボヤく姿に、視聴者が敏感に反応しSNSで話題となった。しかも、劇中で千明の同僚たちは「(Netflixは)予算すごいらしいですもんね」「スタッフのギャラも高いらしいですよ」とフジテレビや月9の苦境に塩を塗り込むような自虐ネタで盛り上がったのだ。 独立した小泉今日子 「ドラマ『北の国から』の倉本聰氏が原作・脚本、俳優の本木雅弘が主演し若松節朗氏が監督を務めた24年公開の映画『海の沈黙』が、Netflixで4月15日から配信を開始しました。小泉はこの映画に重要な役どころで出演しています。『なんでNetflixは私を誘わないのかね?』という千明のせりふはフジへのあてこすりにも見えて痛快です。 『続・続』では実際にNetflixの担当者から千明に電話がかかってくるシーンも登場しました。内容は千明が昔作ったドラマの素材を使用したいという申し出。現在放送されている作品よりも、千明が手掛けた過去作の方が評価されているわけです。脚本の岡田氏は、現在のテレビ業界をとりまく厳しい環境と、配信に王座を奪われてしまったテレビ局のふがいなさを同時に嘆いているのかもしれません」(前出の放送ライター)  さて、フジ月9へのディスリにはまだ“続編”がある。第1話と第2話で登場したJMTテレビ「月9企画募集」のチラシには、月9の歴代代表作品として10作のドラマタイトルが並んでいた。1995年には「マウンテンボーイズ」と書かれているが、これは97年7月期に放送された反町隆史(51)と竹野内豊(54)主演の月9「ビーチボーイズ」のパロディーであるのは明らか。同ドラマの脚本は「続・続」と同じ岡田氏なのだ。  同様に2002年の「ディナーの王様」は同年7月期の「ランチの女王」(竹内結子主演、以下同)、12年の「全力ボーイ!!」は2011年7月期の「全開ガール」(新垣結衣)、21年の「真冬の人魚姫」は23年7月期の「真夏のシンデレラ」(森七菜と間宮祥太朗)が元ネタのようだ。これらは歴代月9が採用した安易なタイトルへの皮肉にも映る。  小泉とテレビ局の複雑な関係についてフジテレビ関係者がこう話す。 「小泉にとって『続・続』は11年ぶりの月9出演です。2015年に自分の制作会社を立ち上げ、大手芸能プロダクションから独立しました。しかし、その後は政治への発言や率直な物言いが、体質の古い業界内で不興を買い芸能界の中心から離されてしまったのです。  小泉自身、2023年末のラジオ番組で『プロダクションの中にいるとやりたくないこともやらないといけない』『(芸能界が)おかしな構造になっていった』などと発言しています。これはジャニーズ騒動で明らかになったように、力のある大手芸能プロがドラマのキャスティングや台本にまで口を出してくる現状への“告発”に等しかった。  はっきりした意見や政治への発言などテレビ局としては扱いにくい面もあったでしょうが、脚本の岡田氏はそれも含めて、テレビ局内にはびこる忖度体質を問いたいのでないでしょうか」  小泉演じる千明や飯島直子演じる典子の喫煙シーンも、これまでの民放ドラマだったらタブー視されカットされていたはず。2024年1月放送のTBS系「不適切にもほどがある」で主人公役の阿部サダヲ(54)による喫煙シーンがやっと“解禁”されたが、これもテレビ局の現場にはびこる過剰な自主規制への問いだった。  千明の友人で出版社勤務の荒木啓子(森口博子)と音楽プロデューサー・水野祥子(渡辺真起子)との会食シーンでは、アニメ偏重のテレビ番組や音楽について嘆く一方で、新たな恋への期待感もはつらつと描かれた。 「Netflixにスカウトされなかった千明は社内で募集されている新月9の企画に募集することを表明しました。さっそくチームで企画会議に入りましたが、月9ドラマ内で月9ドラマを検討するというメタな脚本が秀逸です。もしかしたら、学芸会とも揶揄されるこれまでのテレビドラマの常識をひっくり返す“怪作”が提案されるかもしれません」(前出のフジテレビ関係者) “不適切”な月9を期待したいものだ。 デイリー新潮編集部

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