「(日本で)左ハンドルがそんなに売れると思えない」石破総理、発言。 トランプ大統領「日本でアメリカ車が売れていない」に対して… 人気「ジープ」はアメ車だから売れているワケではなかった

「日本でアメ車が売れない」トランプ大統領の指摘 日本はどう答えるべき? 「日本ではアメ車がほとんど走っていない」と、米トランプ大統領はよく指摘する。    一方で、アメリカでは日本車シェアは4割に達しており、アメリカ各地で日本車を見かけないことはない。     このような日本とアメリカの街の風景の違いから、なぜそうなのかという疑問を持つのはトランプ大統領だけではないだろう。    ただし、その背景にあるのはアメリカが主張する「非関税障壁」ではなく、国民性、交通事情、市場の特性などの影響が色濃い。 「日本でアメ車が売れない」トランプ大統領の指摘 日本はどう答えるべき?(画像は日本で人気のジープ「ラングラー」)  こうした状況を、石破茂総理は十分に理解しているはずだ。 【画像】めちゃカッコいい! 「人気のアメ車」の画像を見る!(30枚以上)  実際、4月21日の参議院予算委員会で委員とのやり取りがあった。  国民民主党の上田清司議員が「なぜアメリカのクルマが日本で売れないのか?」という観点で、石破総理に質問している。  これに対して、石破総理は、「左ハンドル車の日本でのあり方」「燃費に対する考え方」「ジープ好調の理由」といった切り口で、日本におけるアメ車の置かれた立場について、事務方が用意した最新情報をもとに私見を交えて答弁した。  なお報じられる石破総理の発言として「そもそも日本で左ハンドルの車がそんなに売れるとは思えんのですよね」、「なんでジープが売れてるのか。やはり日本人の好みに合ったクルマであり、販売店網がきちんとしているから」と挙げられる。  では、日本におけるアメ車の状況を深堀りしてみよう。  まず、輸入車市場全体を見てみる。  日本自動車輸入組合(JAIA)によれば、2024年度(2024年4月-2025年3月)の総販売台数は33万830台。  メーカー別では、メルセデス・ベンツが5万2761台でトップ。  次いで、ホンダが5万2572台、BMW(3万6551台)、フォルクスワーゲン(2万5653台)、アウディ(2万375台)と続く。ホンダはインドから輸入する「WR-V」が増加した。  アメ車のトップはジープ(9721台)で、ポルシェに次ぐ12位だった。  また、GMシボレーが518台。新型コルベットとカマロに対する根強い人気がある。  そのほか、GMキャデラックが468台。正規輸入がないフォードが220台、ステランティスのダッジが124台となっている。  なお、テスラは国内販売台数を公表していない。  こうしたデータから、日本での輸入車は未だにドイツ車が強く、フランス車、アメ車、中国車、韓国車などがそれぞれのブランド価値を活かしながら善戦していることがわかる。  では、なぜアメ車の中でジープが売れているのか。 アメ車だから「ジープ」が売れているワケではない! 日本人が求めるものはファッション性?  石破総理は答弁の中で、販売店の努力を引き合いに出した。これは、日本国内での積極的な店舗展開と、ユーザーを巻き込んだ様々なマーケティング活動を総称したものだと言える。  ただし、ジープ人気はラングラーが牽引しており、ジープブランド全体の底上げはこれからさらに進むだろう。  その上で、ジープが売れる理由は、特化したデザインと高度な悪路走破性にあることは、ジープに触れたことがないユーザーでも想像できるはずだ。  ただし、多くの国内のジープユーザーは、ファッション性を重んじてラングラーなどを購入する傾向が強く、実際にハードなオフロード走行をする人はあまり多くない印象。  これは、「ランクル」や「ジムニー」のユーザーでも同様の、「人とちょっと違うSUVに乗りたい」という志向だ。  さらに言えば、ジープユーザーが、アメ車としてのジープを強く意識しているとは思えない。 2024年に発表したジープ「ラングラー」はファッションの発信地・渋谷で行われた  ファッション性としてアメリカンカルチャーが好きという人がいるだろうが、アメ車好きという観点ではないはずだ。  こうした日本人のアメ車感はテスラについても同じ。  テスラユーザーは、他社EVにはない、テスラの商品性に魅力を感じているわけで、テスラがアメ車だから買う、またはテスラがアメ車だから買わない、という考え方は持っていない。  つまり、日本でアメ車を売るには、魅力的な商品と、それを支える充実した販売網とサービス体制が必須だと言える。  これはアメ車や輸入車に限った話ではなく、自動車ブランドとして当然の戦略だ。 アメリカ市場の特殊性も問題? どういうこと?  視点をさらに広げると、アメリカ市場の特殊性があげられる。  市場全体の7割強を、ライトトラックが占める。これは、SUVとピックアップトラックを指す。  1990年代半ばのジープ「チェロキー」ブームを起点に、1990年代後半から2000年代にかけて、当時のビッグ3(現在のデトロイト3)、日系メーカー、ドイツメーカーが相次いでミッドサイズSUVとフルサイズSUVのモデルラインアップを拡大した。  また、乗用車ではC/Dセグメントと呼ばれる中小型セダンで、「カローラ」「シビック」「カムリ」「アコード」が、高い品質と高いリセールバリュー(再販価格)からアメリカ人にとっての安全パイという傾向が長らく続いた。 米国市場ではいまでも「ピックアップトラック」が高い人気を誇っている(画像はトヨタ「タンドラ」)  それが近年、「RAV4」「CR-V」など、C/DセグメントでのセダンからアメリカでのコンパクトSUVへシフトが加速している。  こうしたアメリカ市場の特性が、ミニバンや軽自動車が主流の日本市場にマッチしにくいという根本的な課題がある。  また、EVについてはEV充電インフラの適合性なども、非関税障壁だという指摘があるが、これはグローバルEV市場における充電インフラ標準化の問題であり、日米間だけの課題だとは言えない。  いずれにしても、日米政府双方が、それぞれの国での自動車の状況を再認識しながら、フェアな貿易交渉を続けることが望まれる。

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