観光都市としてグレードアップする「バルセロナ」 スペイン・バルセロナに行ってきました。「サグラダ・ファミリア」や「グエル公園」など、建築家・ガウディが手掛けた建築物でよく知られるバルセロナですが、2週間ほどの滞在で国際観光都市としてさらに一皮むけたように感じました。 前編『スペインに行って驚いた…!FCバルセロナの「こだわりの育成」と、本拠地スタジアムの「大規模リノベ」で勢いづく《国際観光都市の大胆戦略》』では、世界的に知られるサッカーチーム「FCバルセロナ」の本拠地で1957年に竣工した「カンプノウ」の大胆なリノベーションを紹介しましたが、バルセロナの魅力はそれだけにとどまりません。 観光客にとっても、また日常生活を送る上でも、テクノロジーがふんだんに生かされた街づくりによって、快適な滞在を実現しているのです。 それはレストランのオーダーから、市当局の対応まで、隅々に行き届いているようでした。 快適なバルセロナでの生活 以前はバルセロナでの生活の不便な点として、レストランのメニューがカタルーニャ語やスペイン語でしかオーダーできないということがありました。 グーグルの翻訳アプリなどを使っていましたが、今では写真を撮ってChatGPTなどの生成AIアプリですぐに画像ごと日本語や英語などに翻訳できるので、不便はほとんどなくなりました。 また、同じくスペイン語もしくはカタルーニャ語しか話せない店員との会話も、生成AIアプリの音声認識を使えばスムーズに翻訳してくれ、その返信も店員が使っている言語にすぐ翻訳して表示できるので、格段に便利になりました。 バルセロナのような大都市に滞在するときは配車アプリが便利ですが、昨年まではCabify(キャビファイ)などのローカルアプリが主体でした。それが、今年からはUber全盛となっていて、空港にも専用の待合場所ができていました。 ふだん、筆者が生活しているシンガポールなど東南アジアでは配車アプリとしてGrabの独占状態ですが、やはりUberの方が地図の性能やUIが優れていて使いやすいので、Uber主体となったことも便利でした。 快適な理由は「テクロノロジー活用」にあり また、今回の滞在中に妻が体調を崩し、一時的に39度を超える高熱を出しましたが、その際も現地に移住している知人のアドバイスの下で、「REMPe」という医療アプリを使うと、ビデオコールして医師の診察をすぐに受けることができました。REMPeを使えば、バルセロナ市内のどの薬局でも医師が処方した薬を入手できるようになっていて驚きました。 診察料も薬代も30ユーロ程度と安く、保険でカバーされていない旅先での病気も安価に対応できて、無事にシンガポールに戻ってくることができました。 私たちのような観光客だけでなく、マッキンゼー時代の後輩で現地で暮らす知人に話を聞いても、実に快適な生活を送っているようでした。彼はあまりスペイン語が上手ではありませんが、当地への移住の手続きなども生成アプリを使えば自分一人で全てを完結させることができたようです。 知人によれば、市当局の運営もじつに効率的なのだそうです。例えば、ごみ収集は分別された大きなボックスを収集車が釣り上げて、底を開閉させてスピーディに収集するスタイルで、毎日複数回集めてもらえるとのこと。日本では、ごみ袋とネットでカラスや害虫などの問題が相変わらずあります。日常生活からもバルセロナのすぐれた点が発見できるようです。 さまざまな国から観光客が集まるバルセロナですが、このように言語のハンディがあっても各種アプリでよりスムーズに暮らせるようになっています。 今回の滞在では、ガウディ没後100年となる26年の完成を目指して急ピッチで建設されているサグラダ・ファミリアの夜間のライトアップも初めて見て、その姿に改めて感動しました。 このようにサッカーチームも街全体の雰囲気も長年培った伝統を守りつつも、最新のテクノロジーの適用にも積極的なバルセロナを定期的に訪れていきたいと考えています。 さらに連載記事『トランプ復活で大激変…!スーパーボウルの「巨額CM」で予想する、これからアメリカで「伸びる業界」「消えゆく業界」』でも、激変していく世界の様子をルポしていますので、ぜひ参考になさってください。 【つづきを読む】トランプ復活で大激変…!スーパーボウルの「巨額CM」で予想する、これからアメリカで「伸びる業界」「消えゆく業界」