外国語を勉強してみたい。だけど何から始めればいいか分からない。教科書選びに文法習得、単語の暗記、アプリの使い方…どこまでやればいいのか見当がつかない。チャレンジしてみたけど、挫けてしまった。そんな人は多いのではないだろうか。 『外国語独習法』では、100の言語をあやつる若き天才学者が初めて明かした「絶対に挫折しないための50のルール」を収録している。 ※本記事は4月24日発売の大山祐亮『外国語独習法』の一部を抜粋、編集したものです。この記事では第5章『独習の秘訣〜読解、暗記編〜』からルール33を紹介します。 ルール33 写経は最強の暗記法 暗記にはいろいろな手段を併用すべきだとお伝えしましたが、特におすすめしたいのが写経、つまり書き写しです。書いて覚えるという作業は効率が悪いと言われがちです。たしかにそうかもしれませんが、書くこと「も」するべきです。特に、勉強の最初に写経をするのを強くおすすめします。 写経にはいくつもメリットがあります。まず、書き写すことは一種の手の運動で、難しいことを考えなくてもできる点です。一見すると、これはただの無意味な単純作業で、むしろマイナスのイメージが強いように思えます。しかし単純作業は、ウォーミングアップに適しているという長所があります(70ページのルール5にも通底しますね)。勉強はやっているうちにだんだん乗ってくるものですから、単純作業ほど脳みそのエンジンをかけるのに向いています。 勉強を習慣化しようとして失敗する要因の1つに、勉強の開始直後にいきなり難しい作業をしてしまうことがあります。勉強の最初に写経をすることは暗記の一助となるだけではなく、それ以降の勉強への繫ぎにもなります。さらにノートのような成果物が形として残りますので、長期的なモチベーション維持にも効きます。 狙うべきは「読み書き」 その言語の単語や文章を書く経験を積んでいくことで、どういう綴りが多く、どういう綴りはあまり見かけないのかというのが感覚として摑めるようになってきます。見て音読するだけでは綴りが覚えにくい単語もありますから、書き間違いやタイピングの間違いを減らすためには、繰り返し手で書いて覚えるのが一番です。英語の「パラレル」の綴りはparallelですが、どこがrでどこがlだったか、ただ見るだけでは覚えにくいのではないでしょうか。 ラテン文字以外の言語でも、写経は文字を覚えるための王道です。AならAだけ、BならBだけといったように、特定の文字を連続して書いて覚えるのはあまり意味がありません。教科書に例として出てくる単語をたくさん書き写すことで覚えていきましょう。これはギリシア文字でもアラビア文字でも楔形文字でも、文字である限りはすべて同じです。書いて覚える際の極意は、文字を覚えるなら単語単位で書き、単語や文法を覚えるなら文単位で書くということです。 また、個人的に写経を推したい理由として、「書く」技能は意外と母語話者のレベルに迫りやすいという点があります。我々は会話力ではどうあがいても母語話者には勝てませんが、母語話者であっても文字の読み書きは学校で習わなければなりません。特に「書く」技能は、ちゃんと練習して経験を積まなければ上達しません。ですから、母語話者との差が詰めやすいのは読み書きです。まして、英語などの場合には発音から予測できない綴りが山ほどあります。「手が覚えている」は案外侮れません。 60歳からでも遅くない!100言語マスターが明かす「何歳からでも語学を始めていい理由」