通算200勝は見られるのか…ストレート打たれまくり“大炎上”で二軍降格の「田中将大」 復活の「必須条件」をアナリストが分析

 毎年多くの新星が登場するプロ野球の世界。今年もルーキーの宗山塁(楽天)や伊原陵人(阪神)らが期待通りの活躍を見せて大きな戦力となっている。一方で、実績はありながら、苦しい立場に追い込まれている選手がいることも事実だ。その筆頭格と言えるのが、オフに楽天から巨人に移籍した田中将大である。【西尾典文/野球ライター】  *** 【写真を見る】復活が期待される「マーさん」と先日41歳になった「愛妻」とのツーショット どうしても目立つ「ストレートの衰え」  キャンプからフォーム改良に取り組み、その成果もあってか開幕ローテーション入りを果たすと、4月3日の中日戦では5回を1失点と好投し、移籍後初勝利をマーク。日米通算198勝に辿り着いた。 移籍後初勝利までは順調に見えたのだが…(4月3日)  しかし、2度目の登板となった17日のDeNA戦は立ち上がりから連打を浴びて1回にいきなり2失点。続く回も三者連続タイムリーでさらに失点を重ね、2回6失点で早々に降板した。翌日には選手登録が抹消され、現在は二軍での再調整となっている。  田中の不振を語る際によく話題となるのが、ストレートの衰えだ。24勝0敗という大活躍でチームを日本一に導いた2013年には、最速で156キロを計測し、登板した試合の大半で150キロ以上をマークした。  日本球界に復帰した2021年も150キロ以上を計測することは珍しくなく、勝敗こそ4勝9敗ながら155回2/3を投げて、防御率は3.01。1イニングあたりの被安打と与四球で示すWHIPも1.03と、先発投手として十分な数字を残している。    だが、それ以降は年々スピードが低下。昨年は右肘のクリーニング手術を受けた影響で一軍ではわずか1試合の登板に終わった。この試合の最速は147キロにとどまっている。  今年、ここまで先発した2試合の最速はいずれも149キロと昨年よりもスピードが上がってはいるとはいえ、平均球速は145キロ前後であり、まだ本来のスピードを取り戻すことができていない。 ストレートの被打率が5割を超えている  それでも、最速で140キロ台後半が出ていれば、十分なスピードがあると思われるファンも多いのではないだろうか。実際に140キロ台前半のストレートでも先発として活躍している投手は多く存在している。  ただ、もともと速くなかった投手と、田中のように過去に150キロ以上を投げていた投手でスピードが落ちたケースでは決定的に違う部分があるという。ある球団のアナリストは、こう話してくれた。 「例えば、同じ『145キロ』でもかつて150キロを投げていた投手の『145キロ』と、以前から145キロだった投手の『145キロ』では、前者の方が明らかに打たれるケースが多いです。打者から見ると、その投手のボールの印象、イメージがありますから、それに比べて、ボールが来ていないと感じることがあるのではないでしょうか。あと、オーソドックスな右投手は、ストレートのスピードが落ちると被打率が悪化します。これもよくあること。“投手の基本はストレート”と言いますが、データ的にもそれは当てはまっていると思います」  今シーズン、田中が登板した2試合でのストレートの被打率は5割を超えている。田中はオーソドックスな右投手であり、まさに、アナリストが指摘した通りになっている。  では、田中が復活するためには何が必要なのだろうか。  単純にいえば、ストレートのスピードや勢いを取り戻すことだが、過去の例を見ても35歳を超えてスピードがアップするケースはめったにない。  昨シーズン限りで引退した和田毅(元ソフトバンク)が40歳を超えてから自己最速スピードをマークしたことが話題となったが、和田は元々ストレートが速い投手ではなく、田中とはタイプが異なる。このため、田中がこれを目指すのは簡単ではないだろう。 これまでの野球人生を振り返れば「復活」は不可能でないはず  だからといって、田中の復活が不可能というわけではないはずだ。前出のアナリストは、「まだまだ復活の余地はある」と指摘したうえ、以下のように続ける。 「ストレートのスピードを戻す以外にできることとしては、投球スタイルの変更があると思います。速いストレートとスプリットで勝負する——これが田中投手の基本線ですが、それが通用しなくなっているのであれば、他のパターンを考える必要があるでしょう。手っ取り早いのは、新しい球種を覚えることですよね。日本球界に復帰してからは、以前投げていなかったツーシームやチェンジアップに取り組んでいますが、まだ有効な武器になっていません。使える球種を増やせば、相手打者の印象も変わりますし、結果として、ストレートが生きてくることもあるのではないでしょうか」  プロの一軍レベルで通用する球種を覚えることは簡単ではないが、過去の例を見ても、ストレートのスピードが落ちてきた投手が新たな変化球をマスターしたことによって復活したという例は少なくない。田中の恩師とも言える故・野村克也氏が監督を務めていた時代のヤクルトでは、川崎憲次郎がシュートをマスターして鮮やかに復活している。  元をたどれば、田中の高校時代はストレートとスライダーが中心の投手であり、スプリットが軸となったのは、プロ入り後のことだ。この経緯を考慮すると、投球スタイルの変更は不可能ではないはずだ。  残りのシーズン、新たな投球スタイルで復活を遂げる田中の姿に期待しつつ、心からエールを贈りたい。 西尾典文(にしお・のりふみ) 野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。 デイリー新潮編集部

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